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「IBM Watson」って何?概要と活用事例

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「IBM Watson」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?2011年に数十年に渡る長い歴史を持つアメリカの人気クイズ番組「ジョパディ!」にて人間を相手に勝利したことで大きく話題になりました。当時のことを覚えている方も多いかと思います。

「IBM Watson」は、2006年に開発が始まり年月が経つにつれその精度を上げて完成度を高めてきました。既に様々な産業分野にも活用されており、今後も精度向上や活用分野の広がりが期待されています。

本記事では IBM Watsonの概要と活用事例 をご紹介します。現在のAIブームの火付け役と言われることの多い「IBM Watson」ですが、一体どのようなシステムなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

IBM Watsonとは


「IBM Watson」とはアメリカのコンピューター関連製品開発及びサービスを提供する企業「IBM」が開発した質疑応答システム・意思決定支援システム。

IBMが考えるAI

WatsonをAIと捉える人は多いですが、WatsonのAIは一般的なAIとは違う定義がされています。

人工知能(Artificial Intelligence)
拡張知能(Augmented Intelligence)

前者が一般的に知られているAIであり、後者がIBMが定義しているWatsonのAIとなります。AIとは人間に取って代わる物ではなく、あくまで人間の知識を拡張させてくれるものである という考え方です。

IBM Watsonで出来ること

IBMはWatsonをあらゆる言語を理解・学習することで人間の意思決定を支援する「コグニティブ・コンピューティング・システム」と定義しています。

意思決定支援システムは完全にコンピュータで制御する場合と人間との見解を合わせて使用する場合があります。「IBM Watson」は後者で効果を発揮することが多く、精度で上がるにつれて様々な分野での活用が期待されます。

自然言語に対応しているため、膨大な資料の中から最新で質の高い情報を簡単に得ることができます。金融医療 など専門的な知識が問われる分野でもWatsonを活用することで効率的に業務をこなすことができるとされています。

IBM Watsonの活用事例

実際に「IBM Watson」が活用されている現場を見ていきましょう。様々な分野での活用がされているため、ここではほんの一部の紹介となりますが、参考程度にご覧ください。

①「JR東日本」お問い合わせセンター業務支援システム


東日本旅客鉄道がコールセンターのお客の問い合わせに対応するためのシステム 「お問い合わせセンター業務支援システム」 を2018年に開始させています。

Watsonの音声認識機能によってお客の声を自動でテキストデータに変換、質疑応答システムへと渡り事前に用意された学習データと照会。テキストデータを分析して膨大なデータから回答候補を導き出しオペレーターに示すというものです。

これまでオペレーターは顧客の質問を聞いてからデータの入力や検索をすることで質問に対する回答を用意する必要がありましたが、その工程を全てWatsonがやってくれるわけですね。オペレーターが実際にやることは提示された情報を参照しながら質問に答えるだけです。

お客への対応が終わると回答候補が役に立ったかどうか入力することでさらに学習を重ねていきます。お客対応をすればするほど学習データが追加され、その精度も高まっていく仕組みです。

Watsonの導入によって、電話応対にかかる時間を1件あたり3割減らすなど実績を上げています。コールセンターへの問い合わせは1日数万件にも及ぶと言いますから、ものすごい成果を上げていることがよく分かりますね。

②「JFEスチール」制御故障復旧支援システム

鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社は製造ラインで発生するトラブルに対応するシステム 「制御故障復旧支援システム」 を2018年に全製造ラインに導入しています。

故障の発生状況などを入力することで、マニュアルや過去の故障履歴といった膨大なデータを照会。似通った状況などから判断してトラブルに対処するために必要な情報をリアルタイムに提供します。

製鉄所の現場では様々な機械が稼働しています。その全てが想定通りの動きをすれば問題なく製造ラインが機能することになりますが、一つでも問題が起これば全製造ラインが止まってしまうことにもなりかねません。

このようなトラブルには迅速に対応する必要があり、かねてから復旧システムへのAI導入とその適用範囲を検討してきました。

実際に故障やトラブルが発生すると保全担当者が故障状況を専用のモバイル端末に入力。過去の事例などと照会することで過去の事例やその対処法が端末のディスプレイに表示されます。その場から離れることなく故障に関する情報収集を簡単に行えるわけですね。

モバイル端末から参照する情報はトラブルが発生した該当の製鉄所だけではありません。各製鉄所で上がっている報告書や各種マニュアルなどが一元化されたクラウドストレージから参照するため、そのデータは膨大に。類似する状況とその対処法にたどり着くことができます。

また再発防止にも役立てることができるので製鉄所の保全という点でその役目を果たしていると言えます。復旧システムにWatsonを導入することにより、故障復旧にかかる時間を短縮することに成功していると報告も多数上がっています。

③「JAL」バーチャルアシスタント

日本航空はハワイ旅行を検討している顧客へのアシスタントを目的としたバーチャルアシスタント 「マカナちゃん」 を導入しました。期間限定で開始されたサービスですが、機能強化を繰り返して現在は正式にサービスが稼働しています。

「マカナちゃん」はハワイ旅行を検討している顧客からの質問に対してチャット形式で回答するチャットボットとなります。ハワイ旅行に関する質問をAIが自動で分析してその回答を提示するというバーチャルアシスタントサービスです。

「マナカちゃん」は様々な質問に対して対応できるようになっています。観光スポットやグルメといった情報を始め、数千パターンを事前に収集。それらの情報を基にしてチャット形式で回答してくれます。

これまでは顧客の質問を分析するには人間の力が必要とされていましたが、WatsonはAIでも正確に理解して分析することを可能としました。分析さえ正確に行えるのであれば後は簡単です。参照される情報はJALが長年蓄積してきた旅行関連情報ですから、ほぼほぼ最適な回答を導き出せることは間違いありません。

また顧客への対応をするほどデータが蓄積されていくことになります。新しい情報や知識を深めていくことで「マカナちゃん」の精度は高まっていくと考えられます。

「マカナちゃん」サービス開始当初はハワイ旅行限定とされていましたが、現在ではオアフ島まで拡大。応対精度の高まりと同時に利用範囲の広がりも期待されるサービスと言えます。

まとめ

既に様々な事業に活用されている「IBM Watson」でした。

Watsonが情報照会・分析を行うことで人間をサポートしてくれる意思決定支援システムは、その汎用性の高さから今後も活躍の場が広がることは確実です。

企業の業務効率アップは顧客へのサービス向上と同義と言えます。私達が普段利用している身近なサービスにも導入されることを待ちたいですね!ありがとうございました。

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