Amazon Goをご存知でしょうか?
現在大人気のWeb通販サービスのAmazonをご存知の方は大勢いらっしゃると思いますが、そのAmazonが新たに打ち出した小売業のコンセプトがAmazon Goなのです。
その最大の特徴は店内にクルマの自動運転技術などで話題のAIを導入しているところですが、小売業にAIを導入することで私たちの買い物にどのような変化が訪れるのでしょうか?
この記事ではAmazon Goのシステムやその利用方法を説明していきます。
Amazon Goとは
まず初めにAmazon Goがどのようなものなのか、その特徴とともに見ていきましょう。
Amazon Goとは
Amazon Goはアメリカ・ワシントン州シアトルに本社を置くWebサービス会社Amazon.com,Inc(アマゾン・ドット・コム)が運営する食料品店です。
店舗の広さは1800平方フィート(約167平方メートル、坪数にして約50.6坪)で、日本のコンビニと同程度の広さとなっています。
商品は食品(惣菜、加工食品、生鮮食品)や飲料、弁当、お菓子を多く取り揃えていますが、日本のコンビニのように生活アイテムは充実しておらず、あくまで食料品をメインに販売しています。
普通のコンビニとは違う⁉
Amazon Goを知らない、または利用したことのない方々は(商品の種類に違いこそあれど)日本のコンビニとあまり変わらないという認識を持つかもしれません。
しかしAmazon Goには私たちが普段利用するコンビニとは決定的に異なる特徴があります。それはレジ(での精算)がないことです。
レジがないというのは、決して商品がタダで手に入るわけではありません。Amazon Goの店内には至るところにセンサー、そして天井には数十台のカメラが設置されており、これらのセンサーとカメラが連動して客の行動を追跡します。
これにより、客が棚から商品を手に取るだけでその商品を買ったと店側が機械的に認識するのです。このセンサーとカメラの連動にはセンサー技術に加えて人工知能(AI = Artificial Intelligence)研究のディープラーニングが用いられています。

商品の購入による決済は客が店を出た後に自動的にキャッシュレスで行われます。客はレジに並ぶ必要が無く、商品を選んだらそのまま歩いて出るだけでスムーズに買い物が行えるため、このAmazon Goの技術はJust Walk Out Technologyと名付けられました。
店員は要らないのか?
Amazon Goではレジが無いためレジ係を必要としません。しかし店内にはそれぞれ役割を担うスタッフが常駐しています。
店の入り口にはゲート(入店した客を認識するためのゲート)の管理や商品の搬入を行うスタッフが3,4名ほど稼働しており、アルコール類を販売するコーナーでは(アメリカでは酒の販売が21歳以上に対してのみ認められているため)スタッフ1名が商品を手にする客のIDチェックを行っています。
さらに店内には調理スペースがあり、こちらでは数名のシェフが店で販売するサンドイッチなどの軽食や総菜を作っていて、店の外からその様子を眺めることができます。
他にも、スーパーで見かけるように商品を品出しをするスタッフや店の外で入店の際のルールを説明するスタッフもいます。
このようにレジなしのシステムを導入してもスタッフが必要なくなるわけではなく、むしろAmazon Goでは店舗の広さに対するスタッフの人数が多いため、人件費を対象としたコスト削減は難しいのが現状です。
Amazon Goの利用方法
次に、Amazon Goで実際に買い物をする方法をご紹介します。
専用のアプリが必要
Amazon Goを利用するには、Amazon Goアプリをインストールしたスマートフォンを用意しなければなりません。Amazon Goアプリの初期設定時には利用ガイドが表示され、そこにはAmazon Go利用上のルールが書かれていますが、以降ではAmazon Goのルールについて簡単に見ていきます。
バーチャルカートで買い物
店の入り口付近にはゲートが設置されており、このゲートにAmazon Goアプリ内のQRコードをスキャンすることでバーチャルカートが用意され買い物が始まります。QRコードは必ずしも一人ひとりが用意しなければならないわけではなく、1つのQRコードを共有して複数人がゲートを通過することも可能です。
ただしこの場合、QRコードは一つでも一人ひとりがゲートを通過する際にそのQRコードをスキャンする必要があります。また一つのQRコードに(QRコード情報に紐づけられた)一つのバーチャルカートが用意されるため、複数人が一つのQRコードを共有することは皆で一つのバーチャルカートを共有することを意味します。
バーチャルカートには客が棚から手に取った商品が追加され、商品を棚に戻すと削除されます。これは店内に設置されたセンサーとカメラが連動して客の行動を追跡することで可能となります。
しかしある客が棚から取った商品を異なるバーチャルカートを所有する別の客に渡してしまうと、渡した客と渡された客の両方のバーチャルカートにおいて精算が合わなくなるため、Amazon Go店内では客同士の荷物の受け渡しが禁止されています。
購入する商品をすべて選んだら、あとはゲートを出るだけでチェックアウトとなります。ゲートから出た直後はアプリには「Thanks for visiting!」と表示されるだけで、店から出て10分ほど経過すると購入品目や滞在時間、商品の価格が載った購入リストを確認することができます。
この時点では決済はまだ完了しておらず、決済が完了するのは店を出てから1時間以上経過した後になります。なお、決済が完了するとAmazon Goアプリ内に表示されるステータスが「completed charges」となります。ちなみに入店してゲートを出入りしたものの何も購入しなかった場合は購入リストがアプリに残らないようになっています。
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