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マンションで光回線を契約しているのに、速度測定をすると毎回90Mbps前後で止まる。ルーターを買い替えても、Wi-Fiのチャンネルを変えても、数字がまったく動かない。それは設定の問題ではなく、建物の中の配線が「VDSL方式」で、物理的な天井にぶつかっている可能性が高い状態です。
VDSL方式は、電柱から建物までは光ファイバー、建物の共用部から各部屋までは既設の電話線(メタルケーブル)を使う配線方式です。この電話線区間があるかぎり、契約が1Gbpsのプランであっても実効速度はおおむね100Mbps級が上限になります。ここを越えるには、機器の買い替えではなく「配線方式そのものを光配線方式(NTT西日本では「ひかり配線方式」と表記)へ変更する」しかありません。
この記事では、①本当に100Mbpsで頭打ちなのかを数値で確定させる方法、②自宅がVDSL方式かどうかを自力で見分ける方法、③なぜ機器交換では越えられないのかという原理、④VDSLではない人が本当のボトルネックを見つけるための無料チェック、⑤配線方式の変更を申請する具体的な手順(管理会社への依頼文テンプレ付き)まで、順を追って解説します。なお、料金・工事費・受付条件・対象建物は時期や地域、契約している事業者によって異なります。本記事では断定を避け、必ず公式の最新情報で確認していただく前提でご案内します。
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この記事でわかること
- 「100Mbpsで頭打ち」を、思い込みではなく測定データで確定させる手順(有線直結・時間帯・上り下り)
- 壁の差込口と宅内機器を見るだけでできる、VDSL方式/光配線方式の自力判定
- ルーター買い替え・IPv6化・Wi-Fi設定変更では絶対に越えられない天井が存在する理由
- VDSLではなかった人のための、無料でできる本当のボトルネック探し(LANケーブル・ハブ・リンク速度)
- 光配線方式への変更申請の手順と、管理会社・管理組合へ送る依頼文テンプレート
- 建物が変更対象外だった場合に残る選択肢と、その判断基準
先にひとつだけ強調しておきます。Wi-Fiの電波干渉・チャンネル・ルーターの設置場所の話は、この記事の主題ではありません。 それらは「無線区間」の問題であり、本記事が扱うのは「有線でLANケーブルを直結しても速度が上がらない」という、建物の配線そのものが持つ天井の話です。Wi-Fi側の遅さについては当サイトの別記事(マンション・アパートでWi-Fiが遅い理由と対策)をご覧ください。切り分けの順序としては、まず有線での上限を確定させてから無線の話に進むのが正解です。
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早見表:症状から原因を切り分ける
まずは自分がどのパターンかを大まかに掴んでください。詳細はこのあとの各章で説明します。
| 症状(有線直結での実測) | 疑われる原因 | 機器交換で改善するか | 読むべき章 |
|---|---|---|---|
| いつ測っても下り85〜95Mbps付近で張り付く。上りもほぼ同じ水準 | VDSL方式の物理上限(建物内のメタル区間) | 改善しない(配線方式の変更が必要) | 第2章・第3章・第5章 |
| 下りは200Mbps以上出るが、上りだけ90Mbps台で止まる | 宅内LAN機器のどれかが100Mbps級で動作している疑い | 改善する可能性が高い | 第4章 |
| 昼は300Mbps出るが、夜だけ30Mbps以下に落ちる | 混雑(網側の輻輳)。IPv6 IPoEの利用有無が効くことがある | 設定変更で改善する余地あり | 第4章・FAQ |
| 有線は速いのに、Wi-Fiだけ遅い | 無線区間の問題(本記事の対象外) | 別記事を参照 | — |
| 時間帯を問わず数Mbps〜十数Mbpsしか出ない | VDSLのノイズ・線路長の影響、または機器・回線側の異常 | 要問い合わせ(宅内装置の交換等) | 第3章/うまくいかない時のチェックポイント |
この表で「下り85〜95Mbps付近で張り付く」に当てはまる方は、ほぼ確実にVDSL方式です。第2章で物理的に確認していきましょう。

1. まず「本当に100Mbpsで頭打ちか」を数値で確認する
最初にやるべきは、原因探しではなく症状の確定です。「なんとなく遅い」という体感のまま管理会社に相談しても話が進みませんし、そもそも原因がVDSLではないケースもあります。ここでは、誰が見ても同じ結論になる測定手順を作ります。
1. Wi-Fiを切り、有線LANでルーターに直結して測る
これがもっとも重要な工程です。Wi-Fi経由の測定は、電波状況・距離・干渉・端末の無線性能といった変数が多すぎて、回線側の上限を測るには不向きです。
- パソコン(できればデスクトップ、もしくはLANポートのあるノート)を用意します。LANポートがない場合は、USB接続の有線LANアダプタを使います。このときアダプタ自体がギガビット対応である必要があります(100Mbps止まりの安価なアダプタを使うと、それが原因で100Mbpsに見えてしまいます)。
- パソコンのWi-Fiをオフにします。オンのままだと、測定の通信が無線側に流れてしまうことがあります。
- LANケーブルで、ルーター(またはホームゲートウェイ)のLANポートとパソコンを直接つなぎます。途中にハブやスイッチを挟まないでください。
- VPN・セキュリティソフトの通信保護機能・プロキシ設定など、通信経路に割り込むものを一時的に無効化します(測定後に必ず戻してください)。
- 他の端末(スマートフォン、テレビ、ゲーム機など)の通信を可能な範囲で止めます。動画配信やクラウド同期が走っていると、測定値が下振れします。
- この状態で、速度測定サイトで下り(ダウンロード)と上り(アップロード)の両方を測ります。
2. 時間帯を変えて、最低でも3回以上測る
1回の測定値だけで判断してはいけません。回線の混雑は時間帯で大きく変わるため、「一番速いはずの時間帯でどこまで出るか」を知ることが判定の鍵になります。
- 平日の午前中(10時前後):もっとも空いている時間帯のひとつ。ここでの数値が「その回線の実力値」に近くなります。
- 平日の深夜(1時〜3時):同じく空いています。午前と深夜で似た数値なら、その値が上限だと考えられます。
- 平日の夜(21時〜23時):もっとも混む時間帯。ここだけ落ちるなら混雑要因です。
- 休日の午後:混雑の傾向を補強する材料になります。
判定の要点はシンプルです。「空いている時間帯でも90Mbps前後を越えない」なら、混雑ではなく物理的な天井です。逆に、空いている時間帯には300Mbps出るのに夜だけ落ちるなら、それは混雑であって、VDSLの天井の話ではありません。
3. 上り・下りの両方を記録する
VDSL方式では、下りだけでなく上りもおおむね同程度の水準で頭打ちになる傾向があります(実際の上下バランスは方式・設備・線路条件で変わります)。一方、「下りは速いのに上りだけ100Mbps弱で止まる」という非対称なパターンは、VDSLではなく宅内のLAN機器のどこかが100Mbps級でリンクしていることを強く示唆します。この違いは第4章の切り分けに直結するため、必ず両方を記録してください。
4. 測定結果を表に記録する
そのまま管理会社や事業者への相談資料になります。以下のようなメモを残してください。
| 測定日時 | 接続方法 | 下り | 上り | Ping | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7月10日 10:20 | 有線直結 | 92.4Mbps | 88.1Mbps | 12ms | 他端末オフ |
| 7月10日 22:30 | 有線直結 | 71.5Mbps | 65.9Mbps | 18ms | 混雑時間帯 |
| 7月11日 02:10 | 有線直結 | 93.8Mbps | 89.0Mbps | 11ms | 深夜 |
5. 判定基準:90〜95Mbpsの壁が見えたらVDSLを疑う
空いている時間帯に有線直結で測って、下りが90Mbps台の前半で必ず止まり、100Mbpsを一度も越えない。この症状が出たら、VDSL方式である可能性が非常に高いと考えてください。理由は単純で、100Mbps級のリンクでは、プロトコルの制御情報(オーバーヘッド)を差し引いた実効値が90Mbps台に落ち着くからです。「ちょうど100Mbpsに届かない、しかし90Mbps台では安定する」という数字の形そのものが、100Mbps級のリンクに閉じ込められている証拠になります。
逆に、120Mbpsや250Mbpsといった中途半端な数値が出るのであれば、それは100Mbps級のリンクではありません。混雑・機器の処理能力・Wi-Fi区間など、別の要因を探す必要があります。
2. 自宅がVDSL方式か光配線方式かを自力で判定する
数値でおおよその見当がついたら、次は物理的な確認です。工事の記憶がなくても、部屋を見れば判定できます。 判定材料は「壁の差込口」「宅内装置の有無」「機器のラベル」の3つです。
1. 壁の差込口を見る:電話用モジュラージャックか、光コンセントか
回線の入口になっている壁のプレートを確認してください。
- 電話用モジュラージャック(6極のコネクタ・固定電話と同じ形)から線が伸びている → VDSL方式の可能性が高い。VDSL方式は、建物内の電話線を通信に流用する方式だからです。
- 光コンセント(多くの場合「光」の表記や、光ケーブル用の差込口)から細いケーブルが伸びている → 光配線方式の可能性が高い。光ファイバーが部屋の中まで来ています。
- LANのモジュラージャック(8極・LANケーブルと同じ形)から線が伸びている → LAN配線方式の可能性。建物内をLANケーブルで配線している方式で、これも設備の世代によっては100Mbps級で頭打ちになることがあります。
光コンセントの光ファイバー用コネクタには規格上いくつかの種類があり、住宅向けでは「SC」と呼ばれる形状が用いられることが一般的とされます。ただし、コネクタの形状で厳密に判定しようとするより、「電話のケーブルが刺さっているか、光のケーブルが刺さっているか」という大枠で見るほうが確実です。光ファイバーのケーブルは細く、無理に折り曲げると破損するため、触るときは必ず優しく扱ってください。
2. 宅内装置(VDSLモデム)があるかを確認する
もっとも分かりやすい決め手がこれです。VDSL方式では、部屋の中に「VDSL宅内装置」と呼ばれる小さな箱が必ず設置されます。
- 見た目:手のひらから文庫本ほどの大きさの白い箱で、多くの場合ルーター(またはホームゲートウェイ)とは別に置かれています。
- 接続:壁の電話用モジュラージャックから、この箱に線が入る。そして箱からLANケーブルが出て、ルーターのWAN(インターネット)側に入ります。この「電話線が入って、LANケーブルが出る」という接続の形が、VDSL方式の決定的な特徴です。
- ランプ:VDSL用のリンク状態を示すランプが並んでいることが一般的です。
一方、光配線方式では、光コンセントから光ファイバーがONU(回線終端装置)またはホームゲートウェイに直接入ります。 電話線が通信経路に登場しません。したがって、「壁の電話ジャックから通信の線が来ているか?」という一点だけで、実質的に判定できます。
3. 機器のラベル・型番を確認する
宅内装置やホームゲートウェイの底面・側面・背面には、型番と機器名が印字されたラベルが貼られています。ここに「VDSL」の文字が含まれていれば確定的です。ラベルには機器名のほか、レンタル機器であることを示す表記や、事業者名が併記されていることもあります。型番をメモしておくと、事業者へ問い合わせるときに話が早く進みます。
なお、機器の名称やラベル表記は世代・地域・契約事業者によって異なります。判断に迷ったら、無理に自己判定を続けず、次の手順に進んでください。
4. 契約書類・請求内容から確認する
契約時の書類、開通のお知らせ、会員向けのマイページなどに、プラン名や配線方式が記載されていることがあります。「マンションタイプ」「VDSL方式」「光配線方式」といった表記が見つかれば、それが公式の答えです。表記の名称や確認できる場所は事業者によって異なるため、見当たらない場合は次へ進みます。
5. どうしても分からない場合は、契約先に確認する
最終手段であり、もっとも確実な方法です。問い合わせ先は「回線の契約先」であって、必ずしもNTT東日本・NTT西日本とはかぎりません。 ここは非常に間違えやすいポイントなので、第5章で詳しく整理します。問い合わせるときは「自宅の配線方式(光配線方式かVDSL方式か)を教えてください」と、はっきり聞けば回答が得られます。
6. 3つの配線方式の比較
| 配線方式 | 共用部から部屋までの配線 | 部屋の入口 | 宅内装置 | 速度の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 光配線方式(ひかり配線方式) | 光ファイバー | 光コンセント | ONU/ホームゲートウェイ | 契約プランの上限まで期待できる(ベストエフォート) |
| VDSL方式 | 電話線(メタル) | 電話用モジュラージャック | VDSL宅内装置 | 実効でおおむね100Mbps級が上限とされる |
| LAN配線方式 | LANケーブル | LAN用モジュラージャック | 不要な場合が多い | 設備の世代により100Mbps級で頭打ちのことがある |
ここで「VDSL方式だ」と確定した方は、ルーターの買い替えを検討するのを一度やめてください。 理由を次章で説明します。
3. VDSLがなぜ100Mbps級で頭打ちになるのか
この章は、遠回りに見えて実はもっとも大事です。原理を理解しておかないと、効果のない対策にお金と時間を使い続けることになるからです。
1. 建物の中に「メタル区間」が残っている
光回線という言葉から、多くの方は「自宅まで光ファイバーが来ている」と想像します。しかしVDSL方式では、光ファイバーは建物の共用部(MDF室などと呼ばれる設備スペース)までしか来ていません。そこに設置された集合装置で光の信号が電気信号へ変換され、そこから各部屋までは、建物にもともと敷設されている電話用のメタルケーブルを通って届きます。
つまり経路はこうです。
- 電柱・地中の光ファイバー(超高速)
- 建物の共用部:集合装置(ここで光から電気へ変換)
- 共用部から各部屋まで:電話線(メタル)← ここが天井
- 部屋のVDSL宅内装置(ここで電気信号をLANの信号へ変換)
- ルーター、そしてパソコンやスマートフォンへ
水道にたとえるなら、道路の下には太い本管が来ているのに、建物の中の枝管だけが細いままになっている状態です。蛇口(ルーター)をいくら高級なものに替えても、細い枝管を通る水の量は増えません。 これがVDSLの本質です。
2. ルーターを買い替えても越えられない
Wi-Fi 6・Wi-Fi 7に対応した高性能ルーターを買っても、VDSLの天井は動きません。ルーターが速くできるのは「ルーターより家側(宅内)の通信」であって、ルーターより外側にあるVDSL区間の帯域を増やすことはできないからです。もし新しいルーターにして数値が変わったように見えたなら、それは古いルーターの処理能力が低すぎて、VDSLの上限にすら届いていなかったという話であり、100Mbpsの壁そのものは越えていないはずです。
3. IPv6 IPoE化でも越えられない
「IPv6にすれば速くなる」という話は、半分正しく、半分誤解を招きます。IPv6 IPoEなどの接続方式は、網側の混雑ポイントを避けることで、混んでいる時間帯の落ち込みを緩和する効果が期待できる仕組みです。しかし、混雑とVDSLの上限はまったく別の問題です。渋滞を避ける裏道を見つけても、自宅の車庫の入口が狭いままなら、通れる車の幅は変わりません。
したがって、VDSL環境でIPv6 IPoEを利用すると「夜に30Mbpsまで落ちていたのが、夜も80Mbps台を維持するようになった」という改善は起こり得ますが、「300Mbps出るようになった」ということは起こりません。この区別が、対策を無駄にしないための分かれ目です。なお、IPv6 IPoEの利用可否・申込方法・追加費用の有無は契約プランや事業者によって異なるため、公式の案内でご確認ください。
4. Wi-Fiのチャンネル変更・設置場所の工夫でも越えられない
Wi-Fiのチャンネル変更や、ルーターを部屋の中央に置く、といった対策は無線区間の改善策です。有線で直結しても90Mbps台で止まっているなら、無線区間は原因ではありません(無線より手前で天井にぶつかっています)。有線で速度が出ているのにWi-Fiだけ遅い場合は無線側の問題なので、その場合は当サイトの別記事(マンション・アパートでWi-Fiが遅い理由と対策)をご覧ください。本記事では、この話題はこれ以上扱いません。
5. ノイズと線路長で、上限からさらに下がることがある
VDSLはメタルケーブルに高い周波数の信号を流す方式のため、外来ノイズの影響を受けやすいという性質があります。また、共用部から部屋までの線が長いほど信号は減衰します。そのため、上限が100Mbps級であっても、実測が常にそこに届くとはかぎらず、環境によっては数十Mbps台にとどまることもあります。
ノイズ源として一般に指摘されるのは、電源系のノイズを出す機器の近くを配線が通っているケースなどです。ただし、建物内の配線経路は住民が変更できるものではないため、個人でできる対策は限定的です。宅内装置の近くに強いノイズを出しそうな機器を置かない、電源タップを分ける、といった工夫を試す価値はありますが、劇的な改善は期待しないでください。根本的な解決は、あくまで配線方式の変更です。
6. まとめ:VDSLで効果があるものと、ないもの
| 対策 | 100Mbpsの天井を越えられるか | それでも意味があるか |
|---|---|---|
| 高性能ルーターへの買い替え | 越えられない | 宅内のWi-Fi品質・同時接続台数には効く |
| IPv6 IPoEの利用 | 越えられない | 混雑時間帯の落ち込み緩和には効くことがある |
| Wi-Fiのチャンネル変更・設置場所の見直し | 越えられない | 無線区間の改善には効く |
| 1Gbps・10Gbpsプランへの変更 | 越えられない(VDSLのままなら) | 配線方式が変わらないかぎり効果は限定的 |
| 光配線方式への変更 | 越えられる(上限が外れる) | 本記事の本命。第5章参照 |

4. VDSLではなかった人へ:無料でできる「本当のボトルネック」探し
ここは、第2章で「うちは光配線方式だった」と判明した方、あるいは「下りは速いのに上りだけ100Mbps弱で止まる」という非対称な症状の方のための章です。この場合、天井を作っているのは建物ではなく、ほぼ間違いなく自宅の中の機器・ケーブルです。しかも、その多くは無料で解決できます。
なお、VDSL方式だと確定した方も、この章のチェックはやっておく価値があります。配線方式を変更した後で「実は宅内のLANケーブルも古かった」と判明すると、せっかくの工事の効果が出ないからです。
1. パソコン側のリンク速度が100Mbpsになっていないか
もっとも見落とされがちで、もっとも効果が大きいチェックです。パソコンの有線LANポートが「100Mbpsでリンクしている」状態になっていると、回線がどれだけ速くても100Mbps以上は絶対に出ません。
- Windowsの場合:ネットワークの設定画面から、使用中のイーサネット接続のプロパティ(詳細情報)を開くと、リンク速度が表示されます。ここが「100/100(Mbps)」のような表示になっていたら、それが犯人です。「1000」や「1.0Gbps」といった表示なら正常です。
- Macの場合:システム設定のネットワークから、イーサネットの詳細(ハードウェア)を開くと、速度や通信方式が確認できます。
画面名やメニューの位置はOSのバージョンによって異なるため、見つからない場合は「リンク速度」「速度」「デュプレックス」といった項目名を手がかりに探してください。100Mbpsでリンクしている場合の原因は、次に挙げるケーブル・ハブ・ポートのいずれかであることがほとんどです。
2. LANケーブルのカテゴリを確認する
LANケーブルには規格(カテゴリ)があり、古いカテゴリのケーブルは100Mbps級までしか対応していません。ケーブルの外皮には、通常「CAT5」「CAT5e」「CAT6」といった印字があります。
- CAT5と印字されている(末尾にeが付かない):1000Mbpsでのリンクが安定しない可能性があります。交換の検討対象です。
- CAT5e・CAT6以上:一般的なギガビット環境では十分とされます。まずこれで問題ありません。
- 印字が読み取れないほど古いケーブル、断線・折れ癖・被覆の損傷があるケーブル:状態の良いものへ交換してください。
「とりあえず引き出しにあったケーブルを使った」というケースは非常に多く、そのケーブルが10年以上前のものだったという例も珍しくありません。回線・ルーター・部屋の配線がすべて先端でも、ケーブル1本が古いだけで全体が100Mbpsに落ちます。
3. 100Mbps級のハブ・スイッチが混入していないか
ルーターとパソコンの間に、ハブやスイッチを挟んでいる方は要注意です。古いハブは100Mbps級までしか対応していないことがあり、それが経路上にあると、そこで全体の速度が制限されます。
- ハブ・スイッチの本体(多くは底面や背面)にある表記を確認します。「1000BASE-T」「ギガビット」といった記載があれば、ギガビット対応です。
- 記載が「100BASE-TX」までしかない、もしくは何も分からない古い機器なら、一度そのハブを経路から外して、ルーターに直結して測り直してください。数値が跳ね上がれば、ハブが原因です。
- 電源不要の小型ハブや、家具に埋め込まれた壁内配線用のハブなど、見えにくい場所にあるものも忘れず確認してください。
4. ルーターやONUのポートが100Mbps級ではないか
古いルーターやホームゲートウェイでは、LANポート自体が100Mbps級ということがあります。とくに、無線は高速なのに有線ポートが古い、という組み合わせは実在します。機器の仕様表で「LANポート:1000BASE-T対応」といった記載を確認してください。仕様が分からない場合は、型番で公式のサポートページを調べるのが確実です。
また、ルーターのWAN側ポートも同様です。WAN側が100Mbps級であれば、そこですべてが制限されます。
5. IPv6 IPoEを利用しているか(混雑対策)
「夜だけ極端に遅い」場合は、接続方式の見直しが効くことがあります。IPv6 IPoEなどの方式は、混雑しやすいポイントを回避できる仕組みとして案内されることが多く、夜間の落ち込みが改善する事例が知られています。利用できるかどうか、どう申し込むか、追加費用が発生するかは契約している事業者・プランによって異なるため、契約先の公式ページやマイページで確認してください。すでに利用中の場合は、ルーターがその方式に対応しているか(対応機器かどうか)もあわせて確認します。
6. 機器の再起動とファームウェアの更新
地味ですが、長期間電源を入れっぱなしのONU・ルーターは、内部の状態が不安定になって速度が落ちることがあります。
- ルーター、続いてONU(またはホームゲートウェイ)の電源を抜きます。
- 2〜3分ほど待ちます。
- ONU(ホームゲートウェイ)→ ルーターの順に電源を入れ、それぞれランプが安定するまで待ちます。
- ランプが正常になったら、再度速度を測ります。
あわせて、ルーターの管理画面からファームウェアの更新も確認しておきましょう。更新手順は機種ごとに異なるため、メーカーの公式サポート情報に従ってください。
7. 宅内チェックリスト
| 確認項目 | 正常な状態 | これが原因だった場合の対処 |
|---|---|---|
| パソコンのリンク速度 | 1000Mbps(1.0Gbps)と表示 | ケーブル・ハブ・ポートを順に交換して切り分け |
| LANケーブルのカテゴリ | CAT5e以上 | CAT5e以上のケーブルへ交換 |
| 経路上のハブ | ギガビット対応、もしくはハブなし | ハブを外すか、ギガビット対応品へ交換 |
| ルーターのWAN・LANポート | 1000BASE-T対応 | 仕様を満たす機種へ買い替えを検討 |
| USB有線LANアダプタ | ギガビット対応 | ギガビット対応品へ交換 |
| 夜だけ遅い | 時間帯による差が小さい | IPv6 IPoEの利用可否を契約先へ確認 |
ここまで全部確認しても、有線直結・空いている時間帯・ギガビット環境で90Mbps台から動かないのであれば、原因は宅内ではなく建物側です。次の章へ進んでください。
5. 光配線方式(ひかり配線方式)への変更を申請する手順
ここが本記事の中心です。VDSL方式の天井を外す唯一の方法は、建物の中の配線を光ファイバーに変えること、つまり光配線方式(NTT西日本の表記では「ひかり配線方式」)への変更です。
重要な前提を先に共有します。近年、NTT東日本・NTT西日本ともに、集合住宅のVDSL方式・LAN配線方式から光配線方式への移行を推進する取り組みを進めているとされます。NTT東日本は、集合住宅の入居者から光配線化の要望を受け付ける仕組み(光配線方式の設備、いわゆる光スプリッタの設置要望を送るためのWebフォーム)を用意していると案内されています。NTT西日本も、光スプリッタとVDSL・LAN方式の集合装置が併設されている一部の建物について、ひかり配線方式への移行を案内しているとされます。また、タイプ変更の工事費について無料化・割引の施策が実施されているとの案内もあります。
ただし、適用条件・対象建物・受付期間・費用の扱いは、時期や地域、契約している事業者によって異なり、変更もされます。 本記事では具体的な金額や期限を断定しません。必ず、契約先の公式情報および最新のお知らせでご確認ください。
1. まず「自分の契約先はどこか」を正しく特定する
ここでつまずく方が非常に多いので、丁寧にいきます。マンションの回線は、NTT東日本・NTT西日本と直接契約しているとはかぎりません。
- フレッツ光を直接契約している場合:窓口はNTT東日本またはNTT西日本です(お住まいの地域で東西が分かれます)。
- 光コラボレーション(いわゆる「光コラボ」)の場合:NTTの回線を各事業者が自社サービスとして提供している形態です。この場合、手続きの窓口は契約している事業者になります。NTTへ直接申し込むのではなく、まず契約している事業者のサポートへ連絡してください。「配線方式を光配線方式へ変更したい」と伝えるのが正しい第一声です。
- NTT回線以外(電力系・ケーブルテレビ系・独自設備の事業者など):配線方式の考え方や名称、変更可否は事業者ごとに異なります。契約している事業者のサポートへ確認してください。
請求書・クレジットカードの明細に出ている会社名を見れば、契約先がどこかはすぐ分かります。ここを間違えると、たらい回しになって時間を失います。
2. 建物が光配線方式に対応しているかを確認する
配線方式の変更ができるかどうかは、建物側の設備状況で決まります。大きく3つのパターンがあります。
| 建物の状況 | やるべきこと | 難易度 |
|---|---|---|
| すでに光配線方式の設備が導入済み(VDSLと併設) | 契約先へ「タイプ変更」を申し込むだけ | 低い(住民の手続きで完結する可能性が高い) |
| 光配線方式の設備が未導入 | 建物の共用部への設備導入が必要。管理会社・管理組合の承諾が要る | 中〜高(合意形成が必要) |
| 建物の構造・配管の都合で光ファイバーを通せない | 変更が難しい。第6章の選択肢を検討 | — |
意外に多いのが1番目のパターンです。建物にはすでに光配線方式の設備が入っているのに、自分の部屋の契約だけが昔のままVDSL方式で残っている、というケースがあります。この場合、住民が申し込むだけで変更できる可能性があります。いきなり管理組合に掛け合う前に、まず契約先に「この建物は光配線方式に対応していますか?」と一本確認してください。 ここで解決するなら、話はとても簡単です。
3. 契約先へ配線方式の変更(タイプ変更)を申し込む
建物が対応していると分かったら、そのまま申し込みます。伝えるべき内容は次のとおりです。
- 契約者名・契約中のサービス名・お客さまID(分かる範囲で)
- 住所・建物名・部屋番号
- 「現在VDSL方式で、光配線方式への変更を希望する」という要望
- 第1章で記録した実測データ(空いている時間帯でも90Mbps台で頭打ちである旨)
- 工事費・所要期間・工事の立ち会いの要否についての確認
工事費については、無料化・割引の施策が案内されている時期がありますが、オプションサービスの有無や工事内容によっては別途費用が発生する場合があるとも案内されています。必ず、申し込みの時点で「自分のケースでいくらかかるのか」を明示的に確認してください。 口頭でも構いませんので、金額・工期・条件を必ず控えておきましょう。
4. 設備が未導入なら、管理会社・管理組合へ導入を依頼する
建物の共用部に光配線方式の設備(光スプリッタなど)が入っていない場合、設備の導入には建物の所有者・管理者の承諾が必要です。つまり、賃貸なら管理会社・オーナー、分譲なら管理組合への依頼が必要になります。
ここで挫折する方が多いのですが、要点はひとつです。「個人のわがまま」ではなく「建物の資産価値と入居率に関わる共通の課題」として提示すること。 実際、通信速度は住宅選びの判断材料になっており、設備の更新は建物側にもメリットがあります。また、NTT東日本・NTT西日本が移行を推進しているという状況は、「うちだけの特殊な要望ではない」という説得材料になります。
手順としては、以下が現実的です。
- まず契約先(またはNTT東西)に、建物の設備状況と、導入に必要な手続きを確認する。 「管理会社へどのように話を通せばよいか」も含めて聞いておくと、その後がスムーズです。NTT東日本には入居者からの要望を受け付けるWebフォームがあると案内されているため、入居者側から要望を出せる仕組みがあるかどうかも確認してください。
- 管理会社・管理組合へ、書面(メールでも可)で依頼する。 口頭よりも書面のほうが、担当者が内部で回覧・検討しやすくなります。
- 他の住民の声を集められるなら集める。 「複数世帯が困っている」という事実は、管理組合の議題に上げるうえで強い後押しになります。回覧板・掲示板・住民のコミュニティなどを活用してください。
- 分譲の場合は、管理組合の総会の議題にしてもらう。 議題として上げるには理事会へ提案する必要があり、時間がかかります。総会の開催時期から逆算して動きましょう。
5. 管理会社・管理組合への依頼文テンプレート
そのままコピーして使えるよう、依頼文の雛形を用意しました。角かっこの部分をご自身の情報に置き換えてください。 断定的・攻撃的な表現を避け、事実と要望を淡々と並べるのがコツです。
件名:インターネット回線設備(光配線方式)の導入に関するご相談
[管理会社名/管理組合 理事会]ご担当者さま
いつもお世話になっております。[建物名][部屋番号]に入居しております[氏名]と申します。
本建物のインターネット回線設備について、ご相談させていただきたくご連絡いたしました。
現在、当室のインターネット回線は「VDSL方式」で提供されております。この方式は、建物の共用部から各住戸までを既設の電話用ケーブルで接続する仕組みのため、契約している回線の速度にかかわらず、実効速度がおおむね100Mbps程度で頭打ちになるという特性があると案内されています。
実際に当室で、Wi-Fiを使わず有線で直接接続し、混雑の少ない時間帯を含めて複数回計測しましたところ、いずれも下り[ ]Mbps・上り[ ]Mbps前後で、それ以上の速度は確認できませんでした。機器の買い替えや設定変更では改善が見込めない状況です。
近年、NTT東日本・NTT西日本におかれましては、集合住宅における「VDSL方式・LAN配線方式」から「光配線方式(ひかり配線方式)」への移行を推進されているとうかがっております。本建物の共用部に光配線方式の設備を導入いただくことで、各住戸の通信速度の上限が改善される見込みがあり、条件によっては工事費の負担が軽減される制度が用意されている場合もあると案内されています。
在宅勤務やオンライン授業、動画配信サービスの利用が一般的になった現在、通信環境は住まいの基本的な設備のひとつになっております。設備の更新は、入居者の利便性の向上のみならず、本建物の競争力の維持にも資するものと考えております。
つきましては、下記についてご検討いただけますでしょうか。
1. 本建物における光配線方式の設備導入の可否について、回線事業者へお問い合わせいただくこと
2. 導入が可能な場合、工事の内容・費用・スケジュールについてご確認いただくこと
3. [分譲の場合]本件を理事会・総会の議題としてお取り上げいただくこと私のほうでも、回線事業者への確認や必要書類の準備など、可能なかぎり協力させていただきます。お手数をおかけしますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
[氏名]
[部屋番号]
[連絡先]
[日付]
この文面のポイントは4つです。①個人の不満ではなく設備の話として書く/②実測値という客観的な根拠を出す/③事業者側にも移行を進める動きがあると示す/④相手の作業負担を減らす(自分も協力すると明言する)。 管理会社の担当者は通信の専門家ではないことがほとんどなので、「何をすればよいか」を具体的に列挙してあげることが、話を前に進める最大のコツです。
6. 申請後の流れと、想定しておくべき期間
申し込みから開通までの流れは、おおむね次のようになります。
- 建物の設備調査:共用部の配管に光ファイバーを通せるか、設備を置くスペースがあるかを確認します。
- 管理者の承諾取得:建物側の合意が必要です。ここがもっとも時間のかかる工程になりがちです。
- 共用部の工事:光配線方式の設備を導入します(すでに導入済みの建物では不要です)。
- 宅内工事:部屋まで光ファイバーを引き込み、光コンセントを設置します。原則として立ち会いが必要とされることが多いため、日程調整が必要です。
- 機器の交換・接続:VDSL宅内装置は不要になり、ONU(またはホームゲートウェイ)に置き換わります。返却が必要な機器がある場合は、案内に従って返送します。
期間については、建物の設備がすでにある場合は比較的短期間で済むことがある一方、共用部への設備導入から必要な場合は数か月単位を見込んでおくのが現実的です。合意形成が絡むためです。「すぐに速くなる」とは考えず、腰を据えて進めてください。 なお、具体的な所要期間は建物の状況と事業者の状況によって異なります。

6. 建物が光配線方式に対応していない・変更対象外だった場合の選択肢
まず最初にお伝えします。この章を読む前に、必ず第5章の「無料でできる配線方式の変更申請」を試してください。 建物にすでに光配線方式の設備が入っていて、申し込むだけで変更できたというケースは、決して珍しくありません。ここまでの手順で解決した方は、回線の乗り換えは不要です。 お金をかける前に、まず申請です。
そのうえで、①建物の構造上、光ファイバーを通す配管がない、②管理組合の合意が得られない、③設備導入の対象外だと回答された、といった理由で配線方式の変更ができないと確定した場合に、残る選択肢を整理します。いずれも「必ず速くなる」と断言できるものではなく、建物や地域の条件に強く依存する点を先にお断りしておきます。
1. VDSLのまま、体感を改善する工夫を積む
上限は変えられませんが、「上限に近い速度を安定して使い切る」ことはできます。
- IPv6 IPoEの利用可否を確認する:混雑時間帯の落ち込みを緩和できる可能性があります。利用条件は契約先の公式情報でご確認ください。
- 重要な端末を有線にする:仕事用のパソコンやゲーム機を有線接続にすれば、限られた帯域を無線区間で無駄にしません。
- 大容量の通信を時間帯でずらす:クラウドのバックアップ、OSの更新、ゲームのダウンロードなどを深夜に回すだけで、日中の体感は大きく変わります。多くのアプリには帯域の上限設定やスケジュール設定があります。
- 宅内装置の周辺環境を整える:ノイズ源になりそうな機器から離す、電源を分ける、といった工夫は試す価値があります(効果は環境によります)。
- 宅内装置の不調を疑う:極端に遅い(数Mbps台など)場合は、機器やメタル区間の異常の可能性もあります。契約先に相談すれば、機器の交換や回線の確認をしてもらえる場合があります。
正直に言えば、これらは対症療法です。ただ、100Mbps級であっても、動画視聴や一般的なWeb利用、ビデオ会議であれば実用に耐える場面は多く、「安定して80Mbps出る」状態を作れれば、日常の不満はかなり減ります。
2. 建物内の別の回線設備を確認する
マンションによっては、複数の回線事業者の設備が入っていることがあります。管理会社や、建物のエントランス・掲示板にある案内を確認してください。すでに導入済みの別設備であれば、住民の申し込みだけで利用できる可能性があります。ケーブルテレビの設備が入っている建物も同様です。提供状況・速度・料金は建物と事業者によって大きく異なるため、必ず個別に確認してください。
3. 建物の配線を使わない回線を検討する
建物内の配線がボトルネックである以上、その配線を使わない手段は理屈のうえで有効です。具体的には、コンセントに挿すだけで使えるホームルーター(工事不要のタイプ)や、モバイル回線を利用したサービスがこれに当たります。
ただし、これらは電波の受信状況に左右されるという別の変数が加わります。VDSLの100Mbpsより速くなることもあれば、遅くなることもあります。「必ず速くなる」とは決して言えません。 検討する場合は、事前に対応エリアを確認したうえで、お試し期間や、短期での解約が可能な条件があるかを必ず確認してください。
4. 独自配線の事業者・別の光回線を検討する
事業者によっては、建物への引き込み方法や設備が異なるため、現在の契約では不可能だった構成が可能になる場合があります。ただし、これも建物が対応していなければ意味がありません。申し込みの前に、必ず「この住所・この建物で、どの方式で提供されるのか(VDSLではないのか)」を確認してください。ここを確認せずに乗り換えると、乗り換え先でもVDSL方式のまま、という最悪の結果になります。 これは実際によくある失敗です。
光回線の乗り換えを検討する場合、月額料金・契約期間・違約金・工事費の残債・キャンペーンの条件などは各社で大きく異なり、頻繁に変更されます。金額や条件は必ず公式の最新情報でご確認ください。 本記事では具体的な金額を断定しません。
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建物が光配線方式に対応していない・変更対象外だった場合
まずは無料でできる配線方式の変更申請を試してください。ここまでで解決した方に、乗り換えは必要ありません。建物が対象外で、どうしても100Mbpsの上限を越えられない場合に限り、独自設備の回線への乗り換えが選択肢になります。提供エリア・工事の可否・料金は変動するため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。なお乗り換えても、建物の設備によっては速度が変わらない場合があります。
うまくいかない時のチェックポイント
ここまでの手順を進めても前に進まない場合の、典型的な詰まりどころと対処です。
1. 契約先に問い合わせたら「対応していない」と言われた
この回答は、「どの層の話なのか」を切り分けて聞き直す必要があります。「建物に設備がないから対応できない」のか、「その建物は構造上、設備を入れられない」のか、「そもそも配線方式変更の受付をしていない」のか。意味がまったく違います。 「建物に設備がない」だけなら、管理会社経由での導入依頼という道が残ります。どの理由で不可なのかを、必ず具体的に確認してください。
2. 管理会社から返事が来ない
管理会社にとって、通信設備の相談は優先度が上がりにくい案件です。1〜2週間待って返事がなければ、電話で「先日お送りしたメールの件です」と催促してください。 また、複数の住民から声が上がっているという形にできると、扱いが変わります。分譲の場合は、理事会のメンバーに直接相談するのも有効です。
3. 工事後も速度が変わらない
光配線方式へ変更したのに速度が上がらない場合、ボトルネックが宅内に移っている可能性が高いです。第4章に戻り、LANケーブルのカテゴリ、ハブ、ルーターのポート、パソコンのリンク速度を順に確認してください。回線が1Gbpsになっても、宅内に1本でも100Mbps級の機器があれば、そこで止まります。
4. 契約プランの変更が必要だった
配線方式を変更した際に、契約しているプランやプロバイダ側の手続きが別途必要になるケースがあります。工事は終わったのに接続できない、といった場合は、契約先に「配線方式の変更に伴う設定変更は完了しているか」を確認してください。接続に必要な情報(認証設定など)が変わることもあります。
5. 測定するたびに数値がバラバラで判断できない
測定サイトを変える、測定サーバーの場所を変える、時間帯を分けて回数を増やす、といった対応で傾向を掴んでください。大事なのは1回の最高値ではなく、「空いている時間帯の安定した上限値」です。何度測っても90Mbps台を越えないなら、それが答えです。
よくある質問(FAQ)
1. VDSLでも夜だけ極端に遅くなるのはなぜですか?
2つの要因が重なります。ひとつはマンション内での帯域の共有です。建物に引き込まれた回線を住民で分け合う構成のため、多くの住戸が同時に使う時間帯には、一世帯あたりの速度が落ちます。もうひとつは網側の混雑で、これはVDSLかどうかにかかわらず起こります。後者については、IPv6 IPoEなどの接続方式の利用で緩和できる場合があります(利用条件は契約先の公式情報でご確認ください)。ただし、どちらの対策も100Mbpsの天井そのものを越えるものではありません。
2. VDSL宅内装置を自分で高性能なものに交換できますか?
推奨できません。 宅内装置は多くの場合、事業者からのレンタル機器であり、建物の共用部にある集合装置と対になって動作します。勝手に別の機器へ交換すると、正常に接続できないだけでなく、契約や機器の取り扱いの面でも問題になる可能性があります。 機器の不具合が疑われる場合は、自分で交換せず、契約先へ相談してください。不調が原因であれば、事業者側の判断で交換してもらえる場合があります。そして、仮に機器を新しくしても、VDSL方式である以上、上限は変わりません。
3. 光配線方式に変えれば、必ず速くなりますか?
「必ず速くなる」とは言えません。 正確には、「100Mbps級という物理的な上限が外れる」というのが起こることです。光回線はベストエフォート(最大限の努力をする、という前提)のサービスであり、実際の速度は、建物内での帯域の共有状況、網側の混雑、宅内の機器やケーブル、接続先のサーバーの状況など、多くの要因で決まります。上限が外れたあと、実際にどこまで出るかは環境次第です。 ただし、「絶対に100Mbpsを越えられない状態」から「越え得る状態」へ変わることには、大きな意味があります。 期待値としては、正直にここまでを見込んでおくのが健全です。
4. 工事費は誰が負担するのですか?
ケースによって異なります。住戸内の工事(タイプ変更)に関する費用については、無料化や割引の施策が案内されている時期がありますが、オプションサービスの利用状況や工事の内容によっては別途費用が発生する場合があるとも案内されています。また、建物の共用部への設備導入にかかる費用の負担については、建物の管理者・事業者との取り決めによります。 金額・条件・適用期間は変更されるため、必ず契約先の公式情報で最新の内容をご確認ください。 本記事では具体的な金額を断定しません。
5. 管理組合が承諾してくれない場合はどうすればよいですか?
まず、反対の理由を具体的に把握してください。 費用負担への懸念、工事による共用部への影響、前例がないことへの不安など、理由によって打ち手が変わります。費用が論点なら「工事費の扱いがどうなるか」を事業者に確認して数字を示す、影響が論点なら工事内容の説明資料を事業者から取り寄せる、といった対応が有効です。また、賛同する住民を増やすことがもっとも効果的です。「1世帯の要望」と「複数世帯の要望」では、議題としての重みがまったく違います。分譲の場合、最終的には総会での決議が必要になることもあるため、時間がかかる前提で、粘り強く進めてください。
6. 賃貸ですが、勝手に工事を進めてよいですか?
いけません。 建物の共用部に手を入れる工事は、必ずオーナー・管理会社の承諾が必要です。住戸内への引き込み工事であっても、壁に穴を開ける、配管を通すといった作業が発生する場合があり、原状回復の問題が絡みます。必ず事前に管理会社へ相談し、承諾を得てから進めてください。 逆に言えば、承諾さえ得られれば道は開けます。第5章のテンプレートを使って、まずは相談から始めてください。
7. VDSLではなく宅内LANが原因のときは、どう見分けますか?
決め手は「壁の差込口」です。壁の電話用モジュラージャックから通信の線が来ていて、部屋にVDSL宅内装置があるならVDSL方式です。壁が光コンセントで、光ファイバーがONUに直接入っているなら光配線方式であり、そこで100Mbpsしか出ないなら原因は宅内にあります。数値から見分けるなら、「下りは速いのに上りだけ90Mbps台」という非対称なパターンは宅内の機器を強く疑うべきです。VDSLの天井なら、上下ともに同程度の水準で頭打ちになる傾向があります。詳しくは第4章をご覧ください。
8. 10ギガのプランに契約変更すれば解決しますか?
VDSL方式のままでは、解決しません。 契約上の最大速度をいくら引き上げても、建物内のメタル区間という物理的なボトルネックはそのまま残るからです。高速なプランは、光配線方式になって初めて意味を持ちます。 なお、高速なプランは提供エリア・対応建物が限られる場合があり、対応するルーターやパソコンのポートなど、宅内側の機器要件も高くなります。順序としては、①配線方式を光配線方式へ変更する、②宅内の機器・ケーブルを整える、③そのうえで必要ならプランの見直しを検討する、という流れが正しいです。プランの提供状況・料金は公式の最新情報でご確認ください。
まとめ
マンションの光回線が100Mbpsで頭打ちになる問題は、設定の問題ではなく、建物の中の配線という物理の問題であることがほとんどです。最後に、進め方をもう一度整理します。
- 症状を確定する:Wi-Fiを切り、有線直結で、空いている時間帯を含めて複数回測る。上りと下りの両方を記録する。空いている時間帯でも90Mbps台で張り付くなら、それが天井です。
- 配線方式を判定する:壁の差込口が電話用モジュラージャックで、部屋にVDSL宅内装置があるなら、VDSL方式です。光コンセントから光ファイバーがONUへ入っているなら光配線方式です。
- 原理を理解する:VDSLの天井は、ルーターの買い替え・IPv6化・Wi-Fiの設定変更では越えられません。効果のない対策にお金を使わないでください。
- 宅内も点検する:LANケーブルのカテゴリ、経路上のハブ、ルーターのポート、パソコンのリンク速度。VDSLではない人は、ここに原因があります。
- 配線方式の変更を申請する:まず契約先(光コラボなら、その事業者)へ「この建物は光配線方式に対応しているか」を確認。対応していれば申し込むだけです。未導入なら、テンプレートを使って管理会社・管理組合へ依頼します。
- それでも無理なら、選択肢を検討する:ただし、乗り換え先でもVDSL方式になっては意味がありません。申し込み前に必ず提供方式を確認してください。
もっとも大事なのは、「まず無料でできる申請から手をつける」ことです。建物にすでに光配線方式の設備が入っていて、電話一本で解決したという例は本当にあります。お金をかけて乗り換える前に、まず契約先に「うちの建物、光配線方式にできますか?」と聞いてみてください。 そのひと言が、90Mbpsの壁を壊す最短ルートになるかもしれません。
なお、本記事に記載した制度・受付条件・費用の扱い・対象建物は、時期・地域・契約している事業者によって異なり、変更されることがあります。実際に手続きを進める際は、必ず契約先および回線事業者の公式情報で最新の内容をご確認ください。
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