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📑 この記事の目次(タップで開く)
- まず結論:Word・Excelが「消えた」ように見えても、いきなり再インストールしないでください
- 1. 30秒でわかる切り分け:あなたはどのパターンですか
- 2. 【最近増えている原因】アイコンと名前が変わったので「消えた」と錯覚している
- 3. アプリが本当に存在するかを確認する4つの方法
- 4. 分岐①:アイコンだけ消えた場合の戻し方
- 5. 分岐②:アプリはあるのに起動しない・すぐ落ちる
- 6. 分岐④:アプリはあるのに使えない(ライセンスの問題)
- 7. 分岐⑤:別のWindowsユーザーアカウントで見えていないだけ
- 8. 【最大の詰まりどころ】どのMicrosoftアカウントに紐づいているか分からない
- 9. 再インストールする前に:失うもののチェックリスト
- 10. 分岐③:本当に消えている場合、まず購入形態を判定する
- 11. 形態別・再インストールの正しい経路
- 12. プリインストール版の落とし穴:プロダクトキーは基本的に再入力できません
- 13. Office 2016・2019 が入っていた方へ:入れ直す前の判断材料
- 14. 今すぐ書類を開かないと困る人への応急処置
- 15. パソコンの初期化・リカバリ後にOfficeが戻らない
- 16. やってはいけないこと・進んでよい条件
- 17. 再発を防ぐための備え
- 18. よくある質問
- 19. まとめ:今すぐやること
まず結論:Word・Excelが「消えた」ように見えても、いきなり再インストールしないでください
Word や Excel がパソコンから見当たらなくなったとき、いちばんやってはいけないのが「とりあえず再インストール」です。実際にはアプリ自体は残っていて、アイコンや名前が変わっただけ・別のユーザーで見えていないだけ・ライセンスが切れただけというケースが非常に多く、再インストールしても直らないどころか、Outlookの設定や個人用テンプレートを失うだけで終わることがあります。まずは30秒で「本当に消えたのか」を確認してください。
1. 30秒でわかる切り分け:あなたはどのパターンですか
Windows の検索ボックス(タスクバーの虫めがね、またはスタートボタンを押してそのままキーボードで入力)に excel と入力してください。この1操作の結果だけで、進むべき道が5つに分かれます。
| 検索した結果 | あなたの状態 | 読むべき章 |
|---|---|---|
| Excel が候補に出てきて、クリックすると普通に起動する | ①アイコンだけが消えている(アプリは無事) | 第2章・第4章 |
| 候補には出るが、クリックしても起動しない・エラーが出る・すぐ落ちる | ②アプリはあるが起動できない | 第5章 |
| 候補に出てきて起動するが「サブスクリプション」「ライセンス認証」の警告が出る、編集できない | ④ライセンスが切れている(アプリは無事) | 第6章 |
| 候補にまったく出てこない | ③本当に消えている可能性(要確認) | 第3章(存在確認)→ 該当すれば第10章 |
| 家族や別の人のアカウントでは使えている、または最近サインインし直した | ⑤別のWindowsユーザーで見えていないだけ | 第7章 |
検索しても何も出てこない場合、Windowsの検索機能側の不調でアプリが隠れているだけのこともあります。第3章3-2(設定のアプリ一覧)と3-3(実行ファイルの場所)で必ず裏取りしてから③と判断してください。
この記事は上から順に読む必要はありません。上の表で自分の行を見つけて、該当する章に飛んでください。ただし、③に該当した方も、第9章「再インストールで失うもの」だけは作業前に必ず読んでください。後戻りできない項目が含まれています。

2. 【最近増えている原因】アイコンと名前が変わったので「消えた」と錯覚している
2025年から2026年にかけて、Microsoft は Office 関連のアプリ名とアイコンデザインを立て続けに変更し、さらにWindows 11 のスタートメニュー自体も刷新されました。ここを知らないと、今までと違う見た目のタイルを目の前にしながら「Wordが消えた」と判断してしまいます。実際にはアプリはそこにあります。とくに2-4は、現在いちばん多い勘違いの正体なので必ず目を通してください。
2-1. アイコンのデザインが刷新された
Microsoft 365(Office)各アプリのアイコンは、2018年以来およそ7年ぶりとなる全面刷新が行われ、2025年10月下旬以降、順次新しいデザインへ切り替わっています。Word の青、Excel の緑、PowerPoint のオレンジといった基調色は引き継がれていますが、形状・立体感・グラデーションの印象がかなり変わりました。
重要なのは、この切り替えが段階的な展開(ロールアウト)だという点です。同じ会社の隣の席のパソコンが新アイコンでも、自分のパソコンはまだ旧アイコンということが普通に起こります。逆に、ある日突然アップデートで自分のパソコンだけ新アイコンになり、「見慣れたアイコンが無い=消えた」と感じるのがこのパターンです。
2-2. ハブアプリの名前が2度変わった
ここは混同しやすいので、整理して覚えてください。
| 対象 | 名前の変遷 | 今どうなっているか |
|---|---|---|
| 各アプリをまとめる「ハブアプリ」 | Office アプリ → Microsoft 365 アプリ(2022年11月。発表自体は2022年10月)→ Microsoft 365 Copilot アプリ(2025年1月15日にロールアウト開始) | 「Office」という名前のハブアプリは現存しません。スタートメニューで「Office」を探しても見つからないのが正常です |
| Word・Excel・PowerPoint・Outlook などの個別アプリ | 名称変更なし | アプリ名自体はそのまま。検索すれば「Word」「Excel」で見つかります |
つまり、「Officeというアイコンが消えた」は正常な変化で、「Wordというアイコンが消えた」は要調査です。この区別だけで、必要のない再インストールをかなりの割合で回避できます。
なお、Web版(ブラウザで開くOffice)の入口も office.com と microsoft365.com のどちらからでも入れる状態が続いていますが、表示されるページ名やロゴは Microsoft 側の更新で変わります。画面の文言が記事と違っていても慌てず、色と機能で判断してください。
2-3. Windows 11 のスタートメニューが刷新され、アプリが「まとまり」の中に隠れている
ここが、現在いちばん多い「消えた」の正体です。2025年10月の更新プログラム(KB5067036)以降、Windows 11 のスタートメニューは刷新されました。2026年1月から幅広いユーザーへ展開が始まっていますが、配信は段階的で、お使いの端末に届く時期には幅があります。
変わったのは次の2点です。
| 項目 | 以前 | 現在(新しいスタートメニュー) |
|---|---|---|
| 全アプリを見る場所 | 右上の「すべてのアプリ」を押して別ページへ移動 | 「ピン留め済み」の下に同じ画面のままスクロールできる「すべて」セクション |
| ボタンの名前 | 「すべてのアプリ」 | 「すべて」 |
つまり、別ページで開く「すべてのアプリ」はもうありません。「すべてのアプリという文字が見当たらない」と戸惑うのは正常な変化です。ただし更新の適用状況によっては、まだ従来の「すべてのアプリ」表記の環境も残っています。以降の手順では新しい「すべて」を前提に書き、環境によって旧表記の場合を併記します。
2-4. 「すべて」の一覧にWordやExcelが見当たらない最大の理由
新しい「すべて」セクションには「カテゴリ」「グリッド」「一覧」の3つの表示方法(ビュー)があります。そして初期状態ではカテゴリ表示になっており、アプリが自動的に種類別のまとまりへグループ化されます。この分類は自動で行われ、利用者が変更することはできません。
その結果、Word や Excel が種類別のまとまりの中に畳み込まれて表示され、Windows 10 のようなアルファベット順の一覧に見えないため「一覧に無い=消えた」と誤認するのが、現在いちばん多い勘違いです。
従来どおりのアルファベット順に戻す手順は次のとおりです。
- スタートボタンを押します
- 「ピン留め済み」の下にある「すべて」の右側にある「ビュー」を選びます
- 表示方法の候補から「一覧」を選びます
- Windows 10 と同じアルファベット順(五十音・英字順)の一覧に戻ります
この操作だけで「消えた」が解決する方が相当数います。再インストールを考える前に、必ず一度試してください。
2-5. 大型アップデート後にピン留めが消えた場合
大型アップデートの直後にピン留めの配置がリセットされることがあります。ピン留めが消えただけならアプリは無事です。第4章の手順で1分あれば戻せます。もしピン留めだけでなく「すべて」の一覧(2-4の手順で「一覧」表示に切り替えた状態)からも消えているなら、第7章(別のWindowsユーザーで見えていないだけ)を先に確認してください。
3. アプリが本当に存在するかを確認する4つの方法
錯覚か本当の消失かを確定させます。上から順に、確実性の高い順で並べています。
3-1. 実行ファイル名で検索する
アプリの表示名ではなく、プログラム本体のファイル名で検索すると、表示名の変更やアイコンの破損に影響されずに存在を確認できます。検索ボックスに次のいずれかを入力してください。
- Word を探す場合:
winword - Excel を探す場合:
excel - PowerPoint を探す場合:
powerpnt - Outlook を探す場合:
outlook
Word の実行ファイル名が「word」ではなく winword である点に注意してください。ここで候補が出てくれば、アプリは間違いなくパソコンに存在します。
3-2. インストール済みアプリの一覧で確認する
- キーボードの Windows キーと
Iを同時に押して「設定」を開きます - 左側の「アプリ」を選び、右側の「インストールされているアプリ」を開きます
- 検索欄に「Microsoft」と入力します
ここで表示される名前が、あなたのOfficeの種類を知る重要な手掛かりになります(第10章で詳しく使います)。代表的な表記は次のとおりです。
| 一覧に出てくる名前の例 | 意味すること |
|---|---|
| Microsoft 365 – ja-jp | サブスクリプション版、または最近のプリインストール版のクイック実行形式 |
| Microsoft Office Home & Business 2019 – ja-jp などの年号付き | 買い切り版、またはその年式のプリインストール版 |
| Microsoft Office Desktop Apps | ストアアプリ版のプリインストールOffice。再インストール経路が特殊です(第12章) |
| Microsoft 365 Copilot(単体で出てくる) | ハブアプリ。これはWord・Excel本体ではありません |
この一覧に Office 系の項目が1つも無い場合は、本当にアンインストールされている可能性が高くなります。
3-3. 実行ファイルの場所を直接見る
ここから「クイック実行形式」という言葉が出てきます。この記事の第10章・第11章の分岐はすべてこの言葉を軸にしているので、先に意味だけ押さえてください。クイック実行形式とは、インターネット経由で配信され自動更新される、現在の標準的なOfficeのインストール形式です。Microsoft Store から入る「ストアアプリ版」とは別物で、置かれる場所も再インストールの入口も異なります。
より確実に確認したい場合は、エクスプローラーのアドレスバーに次のパスを貼り付けてEnterを押します(クイック実行形式の一般的な場所です)。
- 64ビット版Windowsで64ビット版Officeの場合:
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16 - 64ビット版Windowsで32ビット版Officeの場合:
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16
フォルダーが開いて中に WINWORD.EXE や EXCEL.EXE があれば、アプリは存在しています。ただしこのフォルダー名(Office16 の部分)はバージョンやインストール方式によって異なる場合があります。フォルダーが見つからないことだけを根拠に「消えた」と断定せず、3-1と3-2の結果を優先してください。ストアアプリ版はこれとは別の場所に配置されるため、この方法では確認できません。
3-4. スタートメニューの全アプリ一覧をたどる
検索が不調でアプリが出てこないことがあるため、目で直接たどる方法も押さえておきます。
- スタートボタンを押します
- 「ピン留め済み」の下の「すべて」(環境によっては右上の「すべてのアプリ」)を選びます
- 「すべて」の右の「ビュー」から「一覧」を選び、アルファベット順表示にします(第2章2-4)
- 「E」の行に Excel、「W」の行に Word があるかを目で確認します
ここに並んでいれば、アプリは存在しています。3-1の検索で出てこなかったのに、この一覧には並んでいる場合は、アプリではなくWindowsの検索機能側の不調です。パソコンを再起動すれば直ることが多く、Officeの再インストールは不要です。
4. 分岐①:アイコンだけ消えた場合の戻し方
第3章でアプリの存在が確認できたなら、やることは「置き場所を作り直す」だけです。再インストールは一切不要です。
4-1. スタートメニューにピン留めし直す
- スタートボタンを押します
- 「ピン留め済み」の下にある「すべて」を選びます(更新が適用されていない環境では、右上の「すべてのアプリ」です)
- 「すべて」の右の「ビュー」から「一覧」を選びます。初期状態のカテゴリ表示のままだと、Excel が種類別のまとまりの中に隠れて見つけにくいためです
- 一覧を「E」の行までスクロールして Excel を探します。見つからなければ検索ボックスから
excelで探しても構いません - Excel を右クリックし、「スタートにピン留めする」を選びます
4-2. タスクバーに常駐させる
- 同じく Excel を右クリックします
- 「詳細」(環境によっては「その他」)にマウスを合わせます
- 「タスクバーにピン留めする」を選びます
一度アプリを起動してしまえば、タスクバーに出ているアイコンを右クリックして「タスクバーにピン留めする」を選ぶ方法でも同じ結果になります。こちらのほうが確実な場合があります。
4-3. デスクトップにショートカットを作る
デスクトップ派の方はこちらです。
- スタートの「すべて」(旧表記では「すべてのアプリ」)で Excel を見つけます。見当たらないときは「ビュー」から「一覧」に切り替えてください
- Excel をデスクトップの何もないところへドラッグ&ドロップします
- デスクトップにショートカットが作成されます
ドラッグがうまくいかない場合は、デスクトップの何もない場所を右クリックして「新規作成」から「ショートカット」を選び、項目の場所に第3章3-3で確認した実行ファイルのフルパス(例:C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\EXCEL.EXE)を入力する方法もあります。
4-4. デスクトップのアイコンがまとめて消えている場合
Word や Excel だけでなくデスクトップ上のアイコンが全部消えているなら、Office とは無関係の別問題です。次を順に確認してください。
- デスクトップの何もない場所を右クリックし、「表示」の中の「デスクトップ アイコンの表示」にチェックが入っているか
- OneDrive のバックアップ機能によってデスクトップの内容が OneDrive 側へ移動していないか(エクスプローラーの OneDrive の下に「デスクトップ」フォルダーがないか)
- Windows にサインインしているユーザーが、いつもと同じユーザーか(第7章)
5. 分岐②:アプリはあるのに起動しない・すぐ落ちる
アイコンをクリックしても何も起きない、エラーが出る、起動途中で消える。この場合は修復(リペア)で直る可能性が高く、再インストールより先に試すべきです。修復は既存の設定を極力残したまま実施されます。
5-1. まずパソコンを再起動する
拍子抜けするかもしれませんが、Office のアップデート直後は再起動を挟むまで正常に起動しないことがあります。「シャットダウン」ではなく「再起動」を選んでください。高速スタートアップの影響で、シャットダウンでは完全に電源が落ちきらない環境があるためです。高速スタートアップとは、終了を速くするためにシステムの状態を保存しておく仕組みで、これが有効だとシャットダウンでは電源が完全には落ちきりません。だからこそ「再起動」が必要になります。
5-2. セーフモードで起動して原因を切り分ける
アドイン(追加機能)が原因かどうかを、無料かつ数秒で判定できます。
- Windows キーと
Rを同時に押して「ファイル名を指定して実行」を開きます excel /safeと入力して Enter を押します(Word ならwinword /safe、PowerPoint ならpowerpnt /safe)
これで起動できたなら、アプリ本体は壊れていません。アドインか設定が原因です。通常起動したうえで「ファイル」から「オプション」を開き、「アドイン」の管理欄から COM アドインなどを1つずつ無効にして、原因を特定してください。COMアドインとは、Officeのオプション画面の「アドイン」の下部にある「管理:」というプルダウンで選ぶ項目名です。ここで「COM アドイン」を選んで「設定」を押すと、有効になっているアドインの一覧が出ます。プリンターメーカーやセキュリティソフト、クラウドストレージが追加したアドインが原因になることがあります。
セーフモードでも起動しない場合は、次の修復へ進みます。
5-3. クイック修復を実行する
- Windows キーと
Iで「設定」を開きます - 「アプリ」から「インストールされているアプリ」を開きます
- 一覧から「Microsoft 365 – ja-jp」や「Microsoft Office ○○ – ja-jp」を探します(第3章3-2で「Microsoft Office Desktop Apps」と表示されていた方は5-6へ進んでください)
- 右端の「…」を押して「変更」を選びます
- 「ユーザー アカウント制御」が出たら「はい」を選びます
- 「クイック修復」を選んで「修復」を押します
5-4. それでも直らなければオンライン修復
同じ画面で「オンライン修復」を選びます。こちらは実質的に入れ直しに近い処理で、インターネット接続が必須です。両者の違いは次のとおりです。
| 項目 | クイック修復 | オンライン修復 |
|---|---|---|
| やっていること | 壊れたファイルの検出と置き換え | Officeを削除して入れ直すのに近い処理 |
| インターネット接続 | 不要な場合が多い | 必須 |
| 所要時間の目安 | 短い(数分から十数分程度) | 長い(数十分から1時間以上かかることもある) |
| 直る範囲 | 軽度の破損 | 設定やコンポーネントを含む広範囲 |
| 先に試すべきか | こちらが先 | クイック修復で直らなかった時だけ |
所要時間はパソコンの性能や回線速度で大きく変わります。時間に余裕のあるときに実行してください。オンライン修復の途中で電源を切らないでください。また、オンライン修復のあとはサインインを求められることがあるので、次章のアカウント確認を先に済ませておくとスムーズです。
オンライン修復でも直らなかったら、ここが修復ルートの終点です。以後は「入れ直し」の道に移ります。順路は必ず次のとおりにしてください。第9章(再インストールで失うもののバックアップ)→ 第10章(購入形態の判定)→ 第11章(形態別の入れ直し)です。とくに第9章と第10章を飛ばして先にアンインストールすると、入れ直す入口そのものを失います。なお、この順路を進んでも再インストール自体が通らなかったときだけ、16-2で触れる「Office削除ツール」の出番になります。順番を前倒ししないでください。
5-5. 「このアプリケーションを実行するように構成されていません」と出る場合
起動時に構成に関するエラーが表示される場合も、まずはクイック修復が基本の対処です。それでも直らない場合はオンライン修復に進みます。この段階でレジストリの直接編集を勧める情報が多く出回っていますが、初手で触るべきではありません。理由は第16章に書きます。
5-6. ストアアプリ版(Microsoft Office Desktop Apps)の場合の修復
第3章3-2で「Microsoft Office Desktop Apps」という名前だった方は、5-3・5-4の「変更」ボタンが画面に表示されません。ストアアプリ版はクイック実行形式とは修復の入口が違うためです。画面に「変更」が無いのは異常ではありません。次の手順に進んでください。
- Windows キーと
Iで「設定」を開きます - 「アプリ」から「インストールされているアプリ」を開きます
- 「Microsoft Office Desktop Apps」の右端の「…」を押します
- 「詳細オプション」を選びます(「変更」ではありません)
- 画面を下へスクロールし、「修復」を押します
「修復」はアプリのデータを保持したまま不具合の解消を試みる処理です。まずはこちらを実行してください。
修復で直らなかった場合、同じ画面のすぐ下にある「リセット」に進みます。ただしこちらはアプリが初期化され、設定が失われます。押す前に必ず第9章(失うもののチェックリスト)を先に読み、Outlookの設定・署名・個人用テンプレートなどを退避してください。
| 操作 | 設定やデータ | 進んでよい条件 |
|---|---|---|
| 修復 | 保持される | 条件なし。最初に試してよい |
| リセット | 初期化される | 修復で直らず、第9章のバックアップを済ませてから |
リセットでも直らない場合は、第9章(バックアップ)→ 第10章(購入形態の判定)→ 第11章11-2(ストアアプリ版の入れ直し)へ進んでください。

6. 分岐④:アプリはあるのに使えない(ライセンスの問題)
起動はする、しかし黄色い警告バーが出る、編集ができない、保存できない。これはアプリが消えたのではなくライセンスの問題で、再インストールしても永久に解決しません。ここを取り違えると一晩を無駄にします。
6-1. 表示メッセージから原因を特定する
| 表示されるメッセージの趣旨 | 起きていること | 向かう先 |
|---|---|---|
| サブスクリプションの期限切れ、サブスクリプションの更新を促す内容 | Microsoft 365 の契約期間が終了している | 更新、または買い切り版・Web版へ移行 |
| ライセンス認証されていない、期限までにライセンス認証するよう促す内容 | インストールはできたがアクティブ化が未完了 | 正しいアカウントでサインイン |
| 製品のライセンス認証が取り消された、という内容 | 別デバイスへの移行や契約変更でこの端末の認証が外れた | サインインし直す |
| サブスクリプションを確認できませんでした、という内容 | 通信の一時的な失敗であることが多い | 再試行、ネットワーク確認 |
| 現在、Office デスクトップ アプリを含む Office ライセンスが割り当てられていません | 職場・学校アカウント側でライセンスが割り当てられていない | 自力では解決不可。第6章4節へ |
実際の画面文言は Microsoft 側の更新で変わります。一字一句が一致しなくても、上の「趣旨」で判断してください。
6-2. どのアカウントでサインインしているか確認する
ライセンス系のトラブルは、ほぼすべてが「思っているアカウントと違うアカウントでサインインしている」ことに帰着します。確認手順は次のとおりです。
- Word か Excel を起動します(新規作成画面のままで構いません)
- 左上の「ファイル」を選びます
- 左側の一番下あたりにある「アカウント」を選びます
- 「ユーザー情報」に表示されているメールアドレスを確認します
- 右側の「製品情報」に表示されている製品名(Microsoft 365 Apps for business、Office Home & Business 2019 など)を控えます
ここで表示されたメールアドレスが、あなたのOfficeのライセンスが紐づいているはずのアカウントです。心当たりのないアドレスが出ていたら、それが原因です。
6-3. Microsoft 365 の期限切れだった場合
契約が切れると、アプリは削除されるのではなく機能が制限された状態になります。一般に、既存ファイルの閲覧や印刷はできても、新規作成や編集ができなくなる形です。制限のかかり方や猶予期間は契約の種類やタイミングで変わりますので、詳細はご自身の契約内容と公式の最新案内をご確認ください。
大切なのは、この状態で作ったファイルが消えるわけではないということです。慌ててファイルを別ソフトへ移す必要はありません。当面の作業は第14章のWeb版でしのげます。
6-4. 職場・学校アカウントのライセンスが外れた場合
退職・卒業・部署異動・契約プランの変更などで、管理者側がライセンスの割り当てを外すと、次のメッセージが出ます。
「現在、Office デスクトップ アプリを含む Office ライセンスが割り当てられていません」
これは利用者側の操作では絶対に解決できません。次の順で動いてください。
- まず Word の「ファイル」から「アカウント」を開き、個人用のMicrosoftアカウントではなく職場または学校のアカウントでサインインしているかを確認する
- いったんサインアウトして、正しい職場・学校アカウントでサインインし直す
- それでも同じメッセージが出るなら、勤務先・学校の情報システム担当(Microsoft 365 管理者)に「Officeデスクトップアプリを含むライセンスの割り当て」を依頼する
なお、契約プランによってはそもそもデスクトップ版のインストール権が含まれていないことがあります。その場合はブラウザで使うWeb版が正規の利用方法になります。管理者に問い合わせる際は「デスクトップ版が使えるプランかどうか」を併せて確認すると話が早く済みます。
7. 分岐⑤:別のWindowsユーザーアカウントで見えていないだけ
意外と多いのがこれです。家族共用のパソコン、あるいはWindowsの更新やトラブルの後に新しいユーザープロファイルが作られてしまったケースで発生します。
7-1. 今どのユーザーでサインインしているか確認する
- スタートボタンを押します
- スタートメニューの下部(または左下)に表示されているアカウント名を確認します
- そこをクリックすると、このパソコンに存在する他のユーザーが表示される場合があります
あるいは、設定の「アカウント」から「ユーザーの情報」「他のユーザー」を開いて、このパソコンにいくつのユーザーがあるかを確認します。
7-2. 別ユーザーに切り替えて確認する
心当たりのある別ユーザーに切り替え、そちらで Word や Excel が見えるかを確認します。そちらで見えるなら、アプリは消えていません。
この場合の対処は次のように分かれます。
| 状況 | 対処 |
|---|---|
| 普段使いのユーザーを間違えていただけ | 普段のユーザーでサインインし直せば解決 |
| 新しいプロファイルが作られてしまい、そちらで使いたい | 新しい方でOfficeを起動し、ライセンスが紐づくMicrosoftアカウントでサインインする |
| アプリ一覧には出るのにピン留めだけが無い | ユーザーごとにピン留めは独立しているため、第4章の手順で作り直す |
ここで重要な注意があります。元のユーザープロファイルを削除しないでください。デスクトップやドキュメントに保存したファイル、Outlookのデータ、ブラウザのお気に入りなど、そのユーザーだけが持っている情報がまとめて失われます。まずは元のユーザーでサインインできる状態を維持したまま作業してください。
8. 【最大の詰まりどころ】どのMicrosoftアカウントに紐づいているか分からない
ここが本題です。ほとんどの解説記事は「Microsoftアカウントにサインインしてください」で終わりますが、実務で詰まるのはそのアカウントが何なのか分からないときです。パソコンを買ったときに店頭で作ってもらった、家族が代わりに設定した、仕事用と私用を使い分けている。こういう方が非常に多いのです。
8-1. まずOffice側から答えを取りに行く(最短経路)
アプリがまだ起動できる状態なら、これが最速です。
- Word または Excel を起動する
- 「ファイル」から「アカウント」を開く
- 「ユーザー情報」に表示されているメールアドレスを控える
ここに出ているアドレスが、そのOfficeが認識しているアカウントです。アプリが完全に消えてしまってこの方法が使えない方は、次の8-2へ進んでください。
8-2. Microsoftアカウントのページで所有製品を確認する
- ブラウザで
account.microsoft.comを開く - 心当たりのあるアカウントでサインインする
- 「サブスクリプション」または「サービスとサブスクリプション」にあたるページを開く
- ページ内の「購入済みの製品」(表記は「購入した製品」の場合もあります)に Office 製品が並んでいるかを確認する
製品名の右側に「インストール」に相当するリンクがあれば、そのアカウントが当たりです。逆に何も表示されなければ、そのアカウントは違います。ページ名やボタンの表記は Microsoft 側で変わることがあるため、「サブスクリプション」「サービス」といった語を手掛かりに探してください。
8-3. 心当たりを順に潰していく
当たりが出るまで、次の優先順位で試すのが最短です。
| 優先順位 | 候補 | 見つけ方のヒント |
|---|---|---|
| 1 | このパソコンの初期設定に使ったアカウント | 設定の「アカウント」から「ユーザーの情報」を開くと、サインイン中のメールアドレスが確認できます |
| 2 | OneDrive にサインインしているアカウント | タスクバーの雲のアイコンから設定を開くと確認できます |
| 3 | 購入時の確認メールが届いたアドレス | メールを「Microsoft」「Office」「プロダクト キー」で検索します |
| 4 | 普段使っているメールアドレス全部 | キャリアメール、フリーメール、職場アドレスを順に試します |
| 5 | 家族が代理で作ったアカウント | 家族に確認します。子どもや配偶者名義になっていることがあります |
8-4. 個人用アカウントと職場・学校アカウントの取り違えに注意
同じメールアドレスで個人用のMicrosoftアカウントと職場・学校アカウントの両方が存在することがあります。サインイン時にどちらを使うか尋ねられたら、Officeの購入形態に合わせて選んでください。会社が配布したOfficeなら職場・学校アカウント、自分で買ったOfficeなら個人用アカウントです。
8-5. どうしても見つからないとき
すべて試しても見つからない場合、次の情報を手元に揃えてからMicrosoftのサポートに問い合わせるのが確実です。第12章のとおり、プロダクトキーカードは絶対に捨てないでください。
- パソコンのメーカー名と型番
- 購入時期と購入店
- プロダクトキーカード(あれば現物)
- 購入時の領収書や注文番号
- 試したアカウントの一覧
9. 再インストールする前に:失うもののチェックリスト
ここまで来て「やはり入れ直すしかない」と判断した方へ。再インストール(およびオンライン修復)で消える可能性のあるものを、先に把握してバックアップしてください。これを飛ばして後悔する方が非常に多い部分です。
| 失う可能性があるもの | 影響 | 事前にやっておくこと |
|---|---|---|
| Outlookのメールアカウント設定 | 再設定にサーバー情報が必要になる | 受信・送信サーバー名、ポート番号、アカウント種別を控える |
| Outlookの署名 | 作り直しになる | 署名の本文を別ファイルにコピーして保存する |
| Outlookのデータファイル | 設定次第で参照先を見失う | データファイルの保存場所をOutlookの設定画面で控える |
| アドイン(追加機能) | 会計ソフト連携などが動かなくなる | アドイン一覧をメモし、提供元の再インストール手順を確認しておく |
| 個人用テンプレート | 会社の書式や自作のひな形が消える | テンプレートのフォルダーをまるごと別の場所へコピーする |
| オートコレクトの登録 | 単語登録や自動置換が効かなくなる | 重要な登録内容を一覧化しておく |
| クイックアクセスツールバー・リボンのカスタマイズ | 作業効率が一時的に落ちる | Officeのオプションからカスタマイズ内容をエクスポートする |
| 最近使ったファイルの一覧 | 作業中ファイルの場所が分からなくなる | 作業中ファイルの保存場所を確認しておく |
作業前のバックアップ手順は次のとおりです。
- USBメモリか外付けドライブ、あるいはOneDriveなどパソコン以外の場所を用意する
- 「ドキュメント」フォルダーの中身をコピーする(テンプレートが入っていることが多いため)
- Outlookを使っているなら、Outlookの設定画面でアカウント設定とデータファイルの場所を確認して控える
- Officeのオプションから、リボンとクイックアクセスツールバーのカスタマイズをファイルに書き出す
- 上の表の内容をひととおり確認してから作業に入る
なお、WordやExcelで作った書類そのもの(.docx や .xlsx)は、Officeを入れ直しても消えません。消えるのは設定とカスタマイズです。ここを混同して「ファイルが全部消える」と怖がる必要はありませんが、念のためバックアップは取っておくに越したことはありません。
10. 分岐③:本当に消えている場合、まず購入形態を判定する
再インストールの経路は購入形態によってまったく別物です。ここを間違えると、いくら手順どおりに操作しても先へ進めません。
| 購入形態 | 見分け方 | 再インストールの入口 |
|---|---|---|
| Microsoft 365(サブスクリプション) | 製品情報に「Microsoft 365」と表示され、年払いか月払いをしている | Microsoftアカウントのページ |
| 買い切り版(Office 2021・2024 など) | 製品情報に年号が入り、購入は1回きり | Microsoftアカウントのページ(購入済みの製品) |
| プリインストール版(クイック実行形式) | パソコン購入時から入っていた。アプリ一覧に年号付きの名前で出る | Microsoftアカウントのページ |
| プリインストール版(ストアアプリ版) | アプリ一覧にMicrosoft Office Desktop Appsと表示される | まずMicrosoft Store、次にMicrosoftアカウント(第12章) |
| 職場・学校から配布 | サインインしているのが会社や学校のアドレス | 職場・学校のポータルサイト |
判定に迷ったら、第3章3-2で確認したアプリ一覧の表記と、第6章6-2で確認した「ファイル」→「アカウント」の製品情報の2つを突き合わせてください。この2つで、ほぼすべてのケースが確定します。
11. 形態別・再インストールの正しい経路
11-1. Microsoft 365・買い切り版・プリインストール版(クイック実行形式)
- ブラウザで
account.microsoft.comを開き、第8章で特定したアカウントでサインインする - 「サブスクリプション」(または「サービスとサブスクリプション」)のページを開く
- 買い切り版なら「購入済みの製品」の欄に製品名があることを確認し、その行の「インストール」を選ぶ
- Microsoft 365 のサブスクリプションなら、ページ上部の「Microsoft 365 のインストール」に相当するリンクを選ぶ
- 必要に応じて言語とビット数(32ビットか64ビット)を選ぶ
- ダウンロードされたインストーラーを実行する
- 完了後、Word か Excel を開いてサインインし、ライセンス認証を済ませる
ビット数は特別な理由がなければ既定のままで構いません。会社指定のアドインが32ビット版を要求するような事情がある場合だけ変更してください。
11-2. ストアアプリ版(Microsoft Office Desktop Apps)
アプリ一覧に「Microsoft Office Desktop Apps」と出ていた方は、まずこちらを試します。
- スタートメニューから Microsoft Store を開く
- 「ライブラリ」を開き、「アプリ」のタブへ進む
- 「インストールされている製品のみを表示」にあたるフィルターをオフにする(これをしないと、消えた製品は一覧に出てきません)
- 一覧の中から該当の Office 製品を探し、ダウンロードのアイコン(雲のマーク)を選ぶ
この手順は、プロダクトキーなしでライセンス認証できる一部のプリインストール製品を想定した経路です。ここで製品が見つからない、あるいは戻せない場合は、11-1のMicrosoftアカウント経由の手順へ切り替えてください。ストアアプリ版からクイック実行形式へ入れ替わる形になりますが、それが正常な流れである場合があります。
11-3. 職場・学校から配布されたOffice
- 職場・学校のアカウントで
microsoft365.comまたはoffice.comにサインインする - ポータル画面から「アプリをインストール」に相当するボタンを探して選ぶ
- インストール後、同じ職場・学校アカウントでサインインして認証する
ボタンが見当たらない、あるいは押しても進まない場合は、そのプランにデスクトップ版のインストール権が含まれていない可能性があります。第6章6-4のとおり、管理者に確認してください。
12. プリインストール版の落とし穴:プロダクトキーは基本的に再入力できません
ここが、この記事でもっとも誤解されている論点です。
12-1. なぜキーを入れ直すと弾かれるのか
パソコンに同梱されていたプロダクトキーカードは、最初の1回で「使用済み」となり、Microsoftアカウントに紐づきます。その後は「キーを持っていること」ではなく「そのアカウントでサインインしていること」がライセンスの証明になります。
そのため、再インストール時にキーをもう一度入力すると、次のようなエラーコードが表示されることがあります。
TokenAlreadyRedeemedBySameMSA
これは「そのキーは、すでにあなた自身のMicrosoftアカウントで使用済みです」という意味です。エラーではありますが、悪い知らせではありません。むしろ正しいアカウントに紐づいていることの証明です。このメッセージが出たら、キーの入力はやめて、11-1のアカウント経由の手順に切り替えてください。
12-2. ストアアプリ版が絡むと話がややこしい
実際のトラブル事例では、次のような流れで詰まる方が多く見られます。
- プリインストールされていた「Microsoft Office Desktop Apps」(ストアアプリ版)をアンインストールしてしまう
- プロダクトキーカードを引っ張り出してセットアップページでキーを入力する
TokenAlreadyRedeemedBySameMSAで弾かれる- 行き詰まる
正解は、キーを入れずに、初回設定に使ったMicrosoftアカウントでサインインし、アカウントページの「購入済みの製品」から入れ直すことです。この場合、ストアアプリ版ではなく通常のデスクトップ版(クイック実行形式)として入り直すことになりますが、それで問題ありません。
ただし、ストアアプリ版の扱いについては「Microsoft Storeのライブラリから戻せる」という案内と「戻せないのでクイック実行形式で入れ直す」という案内の両方が流通しており、Microsoft側の運用も時期によって変わっています。そこで実務的には、11-2のストア経由を先に試し、だめなら11-1のアカウント経由へ、という順序が安全です。
12-3. プロダクトキーカードは捨てないでください
「もう使えないなら捨ててよい」と考えがちですが、絶対に保管してください。サポートへ問い合わせる際の所有証明として、キーの一部や購入情報が求められることがあります。製品や時期によって挙動に差があるため、「もう二度と使わない」と断定できません。
12-4. 別のパソコンへ移したい場合
買い切り版を新しいパソコンへ移したい場合は、先に古いパソコン側のライセンス認証を解除する必要がある製品があります。アカウントページの製品欄にある管理メニューから、デバイスの登録解除にあたる操作を探してください。表記や可否は製品によって異なるため、見当たらない場合は公式の案内を確認してください。なお、そもそも他のパソコンへの移行が認められていないライセンス(パソコン同梱専用のものなど)もあります。

13. Office 2016・2019 が入っていた方へ:入れ直す前の判断材料
消えたOfficeが 2016 か 2019 だった場合、入れ直す前に一度立ち止まってください。
Office 2016 と Office 2019 のサポートは、2025年10月14日に終了しています。これは延長サポートを含めた終了で、以後はセキュリティ更新プログラムが提供されません。
誤解しやすいのは次の2点です。
- 「もう再インストールできない」わけではありません。Microsoftアカウントに紐づいていれば、技術的には入れ直せる場合があります
- 「入れ直せば今までどおり安心して使える」わけでもありません。脆弱性が見つかっても修正されない状態が続きます
判断の目安を整理します。
| あなたの状況 | 現実的な選択 |
|---|---|
| とにかく今すぐ書類を開きたい | まず第14章のWeb版で急場をしのぎ、落ち着いてから移行先を検討する |
| インターネットに接続する環境で、メール添付ファイルも開く | サポート中の製品(Microsoft 365 や新しい買い切り版)への移行を優先的に検討する |
| 会社や学校の指定でそのバージョンを使う必要がある | 情報システム担当に相談する。個人判断で入れ替えない |
| ネットに繋がない専用機で、限定的な用途だけに使う | リスクを理解したうえで入れ直す選択もあり得る |
移行の要否は、扱う情報の重要度とインターネット接続の有無で決まります。製品の入手性や価格、提供内容は変わりますので、購入前に公式の最新情報をご確認ください。
14. 今すぐ書類を開かないと困る人への応急処置
再インストールには時間がかかります。締切が迫っているなら、先にブラウザで使えるWeb版で作業してください。インストールは不要です。
- ブラウザで
microsoft365.comを開く - Microsoftアカウントでサインインする(無料のアカウントでも利用できる範囲があります)
- Word・Excel・PowerPoint のアイコンから、目的のアプリを開く
- 手元のファイルを開くなら、いったん OneDrive にアップロードしてから開く
Web版は基本的な編集ができますが、デスクトップ版と機能が完全に同じではありません。締切前に慌てないよう、実務でぶつかりやすい限界を先に把握しておいてください。
14-1. マクロ入りのファイル(.xlsm)を開いたとき何が起きるか
マクロ有効ブック(.xlsm)は開くこと自体はできますが、マクロはブラウザーの中では実行されません。Microsoft の公式説明もこの表現です。ボタンを押しても反応しない、いつも自動で走る処理が走らない、という形で表面化します。
ここで重要なのは、「マクロが動かない=ファイルが壊れた」ではないということです。デスクトップ版で開けば従来どおり動きます。Web版で編集して保存する場合も、マクロの部分を意図的に削らないかぎり、ファイルからマクロが消えるわけではありません。ただし、マクロが前提の集計表を「動かないまま」手入力で埋めてしまうと、あとでデスクトップ版に戻したときに計算が二重になることがあります。マクロ前提のファイルは、Web版では閲覧にとどめるのが安全です。
なお、Excel 4.0 世代の古いマクロ言語を含むブックや、XML対応付けを使ったブックは、そもそもブラウザーで表示できないとされています。この場合はデスクトップ版の復旧を待つしかありません。
14-2. 編集して保存すると何が起きるか
Web版には「保存」ボタンがありません。入力した内容はその場で自動保存されます。デスクトップ版の感覚で「保存しなければ元のまま」と思っていると、意図しない上書きになります。試し打ちをしたい場合は、開いたあとに「ファイル」から「コピーの保存」に相当する操作で複製を作ってから触ってください。
そして、書き換わる対象について正確に整理します。
| あなたの状況 | Web版で編集すると |
|---|---|
| 手元のファイルを手動でアップロードした | アップロードしたコピーを編集する形になり、パソコン内の元のファイルは変わりません |
| OneDrive のバックアップ(フォルダー保護)が有効で、デスクトップやドキュメントが OneDrive 側にある | 手元のファイルと同じ実体を編集していることになり、パソコン側にも反映されます |
第4章4-4で触れたとおり、OneDrive のバックアップが有効な環境では、「デスクトップ」「ドキュメント」の中身そのものが OneDrive 上のファイルです。この場合、Web版での編集は手元のファイルを直接書き換えていると考えてください。どちらの状態か分からないなら、重要なファイルは作業前に必ず別名で複製を取ってから触るのが確実です。
14-3. 印刷・PDF・ファイルサイズ・開けない形式
- 印刷は「ファイル」メニューから行えますが、印刷範囲や改ページの細かい調整はデスクトップ版ほど揃っていません。1枚に収めたい場合は、印刷前に列幅を詰めるなど手前で調整してください
- PDFで残したいときは、印刷画面で出力先(プリンター)に「PDFとして保存」を選ぶ方法が確実です
- ファイルサイズが大きいブックは、保存場所側の上限に触れて開けないことがあります。開かない場合はサイズを疑い、不要なシートを削った軽い複製で試してください
- 古い形式(.xls など)は、新しい形式に変換されたうえで開かれる場合があります。変換後のファイルを取引先へ返す際は、相手の指定形式を確認してください
- アドインを使った処理、一部の高度な関数や書式は、そのまま反映されないことがあります
あくまで「今日を乗り切る」ための道具として使い、本格的な編集は環境を復旧してからにしてください。
15. パソコンの初期化・リカバリ後にOfficeが戻らない
初期化やリカバリの直後にOfficeが見当たらないのは、比較的よくある状況です。ただしメーカーやリカバリ方式によって挙動が違うため、一律の手順はありません。次の順で確認してください。
- まだ入っていないだけの可能性を疑う。初期化直後は、初回起動時に自動でセットアップが走る仕組みになっている機種があります。ネットに接続してしばらく待ち、再起動してからもう一度確認します
- メーカー独自のセットアップアプリを探す。「はじめに」「セットアップ」といった名前のアプリがスタートに用意されている機種があります
- Microsoftアカウントでサインインし直す。初期化でアカウント情報が抜けているだけの場合があります
- アカウントページの「購入済みの製品」を確認する。ここに製品があれば、第11章の手順で入れ直せます
- メーカーのサポートページで、その機種のOffice再セットアップ手順を確認する。機種固有の手順が用意されている場合、それが最も確実です
15-1. 初回セットアップが走らないときの確認箇所
「待っていればセットアップが始まるはず」なのに始まらない場合、原因はたいてい次のどれかです。上から順に潰してください。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| ネットワーク接続 | セットアップはインターネット経由で本体をダウンロードします。Wi-Fiのアイコンに警告が出ていないか、従量制課金接続の設定でダウンロードが抑制されていないかを確認します |
| サインインしているアカウント | ローカルアカウントのまま初期設定を終えていると、セットアップが進まないことがあります。設定の「アカウント」でMicrosoftアカウントに切り替えます |
| Windows Update | 更新が溜まっていると初回セットアップが後回しになることがあります。更新をすべて適用して再起動します |
| ストレージの空き容量 | 空きが数GBを切っているとインストールが失敗して静かに止まります。空きを確保してから再試行します |
| セキュリティソフト | 初期化直後は体験版が入っていることがあり、通信を止めている場合があります |
15-2. メーカー独自のセットアップアプリの探し方
「はじめに」「セットアップ」という名前とは限りません。次の手順で探すのが確実です。
- スタートの「すべて」(旧表記では「すべてのアプリ」)を開き、「ビュー」から「一覧」に切り替えます(第2章2-4)
- 一覧を上から下まで目でたどり、メーカー名で始まる項目を探します(メーカー独自アプリはメーカー名を冠していることがほとんどです)
- それらしいものが無ければ、検索ボックスに
Office、続いてセットアップと入力して候補を見ます - デスクトップに「Officeをセットアップする」といった意味のショートカットが残っていないかも確認します
ここで見つからない場合は、そのまま第11章のMicrosoftアカウント経由の手順へ進んで構いません。メーカー独自アプリは近道であって、唯一の道ではありません。
15-3. 「リカバリ領域からの復元」と「このPCを初期状態に戻す」は挙動が違う
同じ「初期化」でも、どちらを実行したかでOfficeの戻り方が変わります。ここを取り違えると、いつまでも来ないセットアップを待ち続けることになります。
| 方式 | 戻る範囲 | Officeはどうなりやすいか |
|---|---|---|
| メーカーのリカバリ領域からの復元 | 購入時の状態(メーカー独自アプリを含む) | 購入時の構成が戻るため、初回セットアップの仕組みも一緒に戻ってくることが期待できます |
| Windowsの「このPCを初期状態に戻す」(クラウドからのダウンロード) | Microsoftが配布する素のWindows | メーカー独自の要素が入りません。初回セットアップの仕組みごと無くなるため、第11章のアカウント経由で自分で入れ直すのが本筋になります |
| Windowsの「このPCを初期状態に戻す」(ローカル再インストール) | この端末内のWindowsファイルから再構成 | 機種によって残り方が分かれます。まず15-2でメーカー独自アプリを探し、無ければアカウント経由へ切り替えます |
覚えておくべき結論は1つです。クラウドからのダウンロードで初期化した場合、待っていてもOfficeは自動では戻りません。第10章で購入形態を判定し、第11章の経路で自分で入れ直してください。
なお、Windows 10 から Windows 11 へアップグレードするとOfficeが削除される、という説明を見かけることがありますが、原則としてアップグレードでは引き継がれます。アップグレード後に見当たらないなら、それは削除ではなく、この記事の第2章から第7章までのいずれか(ピン留めの消失、ライセンスの再認証待ち、ユーザープロファイルの変化)であることが多いので、まずそちらを確認してください。
16. やってはいけないこと・進んでよい条件
この症状には、危険な「解決策」が数多く出回っています。読者の環境を壊さないために、避けるべきものを明示します。
16-1. レジストリの直接編集をいきなり試さない
レジストリを書き換える手順が紹介されていることがありますが、Officeのバージョンごとにキーの場所が異なり、誤って別の項目を消すとWindows全体が起動しなくなる恐れがあります。クイック修復とオンライン修復で解決できるケースがほとんどですので、まずそちらを尽くしてください。どうしても必要な場合は、事前にシステムの復元ポイントを作成したうえで、公式の手順に従ってください。
16-2. 「Office削除ツール」を最初の手段にしない
Office を完全に削除するためのツールが公式にも用意されていますが、これは再インストールがどうしても通らないときの最後の手段です。最初から使うと、まだ生きていた設定やライセンス情報まで消してしまい、かえって復旧が遠のきます。
正しい順番は次のとおりです。クイック修復(5-3)→ オンライン修復(5-4。ストアアプリ版なら5-6の修復とリセット)→ 第9章のバックアップ → 第10章の購入形態の判定 → 第11章の入れ直し。ここまで進めても再インストールが通らなかったときだけ、削除ツールの出番です。この順番を前倒しして削除ツールから始めるのが、この症状で最も多い遠回りです。
16-3. 非公式サイトのインストーラーや格安キーを使わない
検索すると、Officeのインストーラーを配布するサイトや、極端に安いプロダクトキーを売るサイトが出てきます。マルウェアの混入や、後日ライセンスが無効化されるリスクがあります。入手先はMicrosoftの公式ページ、Microsoft Store、パソコンメーカーの公式サポートページに限定してください。
16-4. データを消す操作の前に必ず止まる
次の操作に進む前は、必ず第9章のバックアップを済ませてください。
| 操作 | 進んでよい条件 |
|---|---|
| クイック修復 | 条件なし。最初に試してよい |
| オンライン修復 | クイック修復で直らず、第9章のバックアップを済ませてから |
| ストアアプリ版の「修復」(5-6) | 条件なし。データは保持される |
| ストアアプリ版の「リセット」(5-6) | 修復で直らず、第9章のバックアップを済ませてから。アプリは初期化されます |
| アンインストールして再インストール | ライセンスが紐づくアカウントを特定できてから。特定前に消すと入れ直せなくなります |
| ユーザープロファイルの削除 | そのユーザーのファイルを全部退避してから。原則として行わない |
| パソコンの初期化 | この記事の全手順を試し尽くし、データのバックアップを取ってから |
とくに3行目が重要です。「消えているから、いったん綺麗にアンインストールしよう」と考えて実行し、その後どのアカウントに紐づいているか分からず入れ直せなくなる。これがこの症状で最も多い失敗です。アカウントの特定(第8章)を、アンインストールより先に済ませてください。
17. 再発を防ぐための備え
いったん復旧したら、次に同じことが起きたときに5分で終わらせるための準備をしておきましょう。
- ライセンスが紐づくMicrosoftアカウントのメールアドレスを、紙かパスワード管理ツールに記録する。これが最重要です
- そのアカウントのパスワードと、二段階認証の受け取り先(携帯番号や認証アプリ)を確認しておく。機種変更で受け取れなくなる方が多い項目です
- プロダクトキーカード、購入時の領収書、注文番号を1か所にまとめて保管する
- Officeの製品名(「ファイル」→「アカウント」の製品情報)をスクリーンショットで保存しておく
- Outlookを使っているなら、アカウント設定と署名を年に一度バックアップする
- 重要なファイルは OneDrive など、パソコン以外の場所にも置いておく
この6つを済ませておけば、次にアプリが見当たらなくなっても、第8章の「アカウント探し」で消耗せずに済みます。
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18. よくある質問
Q1. スタートメニューから消えただけなら、放っておいても大丈夫ですか
実害はありません。戻し方は第4章にあります。
Q2. 再インストールすると、今まで作った書類も消えますか
書類そのもの(.docx や .xlsx)は消えません。消えるのは設定類です。第9章の表をご確認ください。
Q3. プロダクトキーが手元にありますが、入力すれば直りますか
プリインストール版のキーは、多くの場合すでに使用済みとしてMicrosoftアカウントに紐づいています。入力すると TokenAlreadyRedeemedBySameMSA のようなエラーが出ることがあります。この場合はキーの入力をやめ、初回設定に使ったアカウントでサインインして、アカウントページから入れ直してください。ただし製品や時期によって挙動が異なる場合があるため、キーカードは捨てずに保管してください。
Q4. Wordだけ消えて、Excelは残っています。どういうことですか
まず第3章3-1の方法で winword と検索してください。Word の実行ファイル名は「word」ではなく winword なので、「word」で検索して出てこなかっただけの可能性があります。それでも見つからず、Excelは正常なら、アプリ単位で不具合が起きている可能性が高いので、第5章のクイック修復を試してください。同じOfficeのインストールに含まれる以上、Wordだけがアンインストールされることは通常ありません。
Q5. サブスクリプションが切れました。猶予期間のうちに何をしておくべきですか
期限切れの直後は、いきなり全部が止まるわけではなく、しばらく機能が制限された状態が続くのが一般的です(詳しい期間や制限のかかり方は契約内容によって異なるため、ご自身の契約と公式の最新案内をご確認ください)。この間に優先してやるべきことは「編集」ではなく「取り出し」です。最短手順は次の3つです。
- まず保存場所を確定する。パソコン内のフォルダーに保存したファイルは、契約が切れても消えません。契約と無関係にそのまま残ります
- OneDrive に置いたファイルを先に手当てする。契約が切れると保存容量が無料枠に戻るため、無料枠を超えて保存している場合はファイルが読み取り専用になることがあります。容量の大きいファイルから順に、ブラウザでOneDriveを開いてパソコンへダウンロードしておいてください
- 締切が近い書類はPDFにしておく。編集ができなくなっても、PDFなら誰でも開けて印刷もできます。今まさに使う予定の書類だけでも先にPDF化しておくと、期限切れ後の数日をしのげます
逆に、慌ててやる必要がないのは「別ソフトへの一括移行」です。ファイルは消えないので、落ち着いてから判断して構いません。
Q6. 会社のパソコンでOfficeが使えなくなりました。自分で直せますか
「現在、Office デスクトップ アプリを含む Office ライセンスが割り当てられていません」というメッセージが出ている場合は、利用者側の操作では解決できません。まず職場・学校のアカウントでサインインし直し、それでも変わらなければ情報システム担当に連絡してください。会社のパソコンでは、勝手にアンインストールや再インストールを行わないでください。
Q7. アイコンのデザインが変わりました。ウイルスではありませんか
アイコンの見た目でウイルスかどうかを見分けようとしないでください。正規のアイコンは更新で変わりますし、逆に偽物は正規そっくりのアイコンを名乗れるため、見た目は判定材料になりません。判定は第3章3-3の方法で実行ファイルの場所を確認して行ってください。正しい場所にある WINWORD.EXE や EXCEL.EXE から起動しているなら正規のアプリです。心当たりのない場所にあるファイルなら、起動せずセキュリティソフトで検査してください。
Q8. 「Office」というアイコンが無くなりました。これも消えたのですか
いいえ、正常な変化です。理由と経緯は第2章2-2をご確認ください。
19. まとめ:今すぐやること
WordやExcelが見当たらなくなったとき、再インストールは最後の手段です。実際には、アイコンや名前の変更で見失っているだけ、ライセンスが切れているだけ、別のユーザーで見えていないだけ、というケースが大半を占めます。
そして、もし本当に入れ直しが必要になったとしても、その前に必ず片付けておくべきことが1つあります。ライセンスが紐づいているMicrosoftアカウントを特定することです。これを済ませずにアンインストールしてしまうと、入れ直す入口そのものを失います。
今すぐやることは1つだけです。検索ボックスに excel と入力して、第1章の表で自分がどの分岐なのかを確定させてください。そこから先の道は、この記事の該当する章に書いてあります。
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