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📑 この記事の目次(タップで開く)
まず結論:CPUを認識できない状態のままでも、マザーボードのBIOSは書き換えられます
新しいCPUに交換した、あるいは新品のマザーボードに最新世代のCPUを載せた。ところが電源を入れてもファンは回るだけで画面には何も映らない。そんな状況で結論から3行でお伝えします。
- 原因の多くは故障ではなく「マザーボードのBIOSが、そのCPUをまだ知らない」だけです。ソケットの形状が合っていても、BIOSが古いままだと起動しません。
- この場合、CPU・メモリ・グラフィックボードを認識できない状態のままでも、電源ユニットとUSBメモリだけでBIOSを書き換えられる機能が、多くのマザーボードに用意されています。
- ただしその機能はすべてのマザーボードに載っているわけではありません。まず自分の型番で搭載の有無を確認するところから始めます。
この機能はメーカーによって呼び名が違い、一般にASUSでは「BIOS FlashBack」、MSIでは「Flash BIOS Button」、GIGABYTEでは「Q-Flash Plus」、ASRockでは「BIOS Flashback」と案内されているとされます。名前は違っても考え方は同じで、BIOS画面に一度も入れない状態から抜け出すための最後の逃げ道です。
そしてもうひとつ、作業に入る前に必ずお伝えしたい大切なことがあります。すでにCPUを取り付け済みなら、この作業のためにCPUを外す必要はありません。この機能は「CPUを外さないと使えない機能」ではなく、「CPUを認識できていない状態でも使える機能」です。必要のないCPUの着脱は、ソケットのピンを曲げてしまうという回復が難しい二次被害を招きます。載せたままで進めてください。
1. 読み進める前の1問だけの分岐
この記事は読者を絞ってあります。次の1問だけ、先に自己判定してください。
「パーツを交換した直後から一度も画面が映っていない」のか、「今まで普通に使えていたPCが、ある日突然映らなくなった」のか。
- 後者(今まで動いていたのに突然)の方は、この記事の対象外です。原因が互換性ではなく別の場所にある可能性が高いため、パソコンの電源は入るのに画面が映らない場合の切り分け手順をご覧ください。原因がまだ特定できていない段階の方は、まずそちらが入口になります。
- ビープ音が規則的なパターンで鳴っている方は、その音自体が診断情報です。ビープ音の回数と間隔から原因を読み取る方法を先にご確認ください。音のパターンの意味は本記事では扱いません。
- CPUを載せ替えた、または新品のマザーボードに新しい世代のCPUを載せて、一度もPOST(起動時の自己診断)を通っていない方が、この記事の対象です。
なお、最小構成でのテストやCMOSクリア(ボタン電池の抜き差しによる設定初期化)をまだ試していない方もいらっしゃると思いますが、それらの実際の手順は既存記事に譲ります。CMOSクリアについてはCMOS電池の交換とBIOS初期化の手順をご覧ください。ただし先に申し上げておくと、CMOSクリアをしても、マザーボードに存在しない新しいCPU用のマイクロコード(CPUを制御するための情報)が追加されるわけではありません。そのため今回の症状には効きません。時間を使う前に、この点だけ覚えておいてください。
この記事でわかること
- ソケットが物理的に合っているのにCPUが動かない、その本当の理由
- マザーボードのCPUサポートリストにある「必要BIOSバージョン」欄の読み方
- 自分のマザーボードがCPUなしでのBIOS書き換えに対応しているかを、最短で見分ける方法
- メーカーごとの機能名と、リネーム後のファイル名の考え方
- USBメモリの要件(形式・容量・規格・置き場所)と、ここでつまずかないためのコツ
- ボタンの押し方、LEDの点滅の読み方、完了の判断基準
- 書き換え中に絶対にやってはいけないこと
- LEDが反応しない、点滅が止まらないなど、うまくいかないときの分岐
- そもそも機能が非搭載だった場合の、買い替え以外の現実的な選択肢

なぜ「ソケットが合う=動く」ではないのか
ここが今回の症状の核心です。多くの方は「対応ソケットのCPUを買ったのだから動くはず」と考えます。その感覚はごく自然ですが、実際にはもう一段階、条件があります。
1. マザーボードは出荷時に知っていたCPUしか動かせない
マザーボードには、電源を入れた瞬間に最初に動き出すプログラムであるBIOS(現在はUEFIと呼ばれることも多い仕組み)が書き込まれています。このBIOSの中には、どのCPUをどう扱えばよいかという情報が含まれています。
ところがCPUは後から新しい世代が発売されます。マザーボードが工場から出荷された時点では、その後に登場するCPUの情報はまだ存在しません。つまり、同じソケットに物理的に収まっても、BIOSが「この石は何者かわからない」と判断すれば、そこで処理が止まります。画面出力の初期化まで到達しないため、モニターには何も映らず、ファンだけが回り続けるという見え方になります。
これは故障ではありません。CPUもマザーボードも壊れていない状態で起きる、いわば「顔合わせができていない」状態です。だからこそ、BIOSを新しいものに書き換えるだけで解決する余地があります。
2. CPUサポートリストの「必要BIOSバージョン」欄を読む
各マザーボードメーカーの公式サポートページには、製品ごとに「CPUサポートリスト」「対応CPU一覧」といった表が公開されているのが一般的です。ここが今回いちばん大事な情報源になります。
この表は、単に対応しているCPUの名前が並んでいるだけではありません。多くの場合、CPUの型番の行に「このCPUを動かすには、BIOSのバージョンがいくつ以上必要か」が併記されています。表記は製品によって異なりますが、BIOSのバージョン番号そのものが書かれていたり、対応を開始したバージョン以降であることを示す注記が添えられていたりします。
読み方の手順は次の通りです。
- 自分のマザーボードの型番で公式サポートページを開きます。
- CPU対応に関するタブや項目を探します。
- 今回取り付けたCPUの型番を表の中から探します。
- その行に書かれている必要バージョンを確認します。
- そのバージョンが、いま自分のマザーボードに入っているBIOSより新しければ、それが起動しない理由です。
もし表の中に自分のCPUがそもそも載っていない場合は、そのマザーボードでは現時点でそのCPUに対応する予定がない、もしくは対応情報がまだ公開されていない可能性があります。この場合はBIOSを更新しても動かないことがあるため、作業を始める前に必ず確認してください。表の内容は随時更新されるため、ここで見た情報が数か月後も同じとは限りません。作業当日に改めて公式ページで確認するのが確実です。
3. 箱や基板に貼られたシールを見る
新品のマザーボードを購入した場合、製品の外箱に「特定の世代のCPUに対応済み」であることを示すシールが貼られていることがあります。流通在庫の中には、出荷時期の違いによって出荷時のBIOSバージョンが異なる個体が混在しています。そのため、店頭で見分けられるようにこうしたシールが用意されることがあります。
シールの文言や有無はメーカー・時期・製品によって異なり、貼られていない製品も普通にあります。シールが無い=非対応、とは限りません。あくまで「あれば手がかりになる」程度に受け止め、最終判断はサポートページの表で行ってください。
また、マザーボード本体の基板上や、リアパネル付近に現在のBIOSバージョンが記されたラベルが貼られている製品もあります。箱を捨てていない方は、捨てる前に一度確認しておくと後々役立ちます。
4. BIOS画面に入れないから通常の更新方法が使えない
BIOSの更新方法として一般的に知られているのは、BIOS画面(UEFI設定画面)に入って、そこにある更新機能を使う方法です。ASUSであればEZ Flash、MSIであればM-FLASHといった名前で案内されているとされます。
しかし今回の症状では、そもそも画面が映らずBIOS設定画面に入れません。つまりこれらの方法は使えません。ここが「BIOS画面から更新できる人」と「今回の読者」の決定的な分かれ目です。
もしあなたが画面を表示できていて、BIOS設定画面に入れる状態であれば、この記事の手順は不要です。その場合はBIOS画面からの更新手順を扱っているメモリのプロファイル設定で起動しなくなった場合の対処の中の更新手順の説明をご覧ください。BIOS画面に入れる状態からの通常のダウンロードから更新までの流れは、そちらで詳しく扱っています。
5. 診断LEDが点いている場合の読み方
マザーボードによっては、起動の進行状況を示す小さなLEDが基板上に並んでいます。今回の症状に限って言えば、CPUを示すLEDが点いたまま止まっている場合、BIOSがそのCPUを認識できていないサインとして読むことができます。互換性が理由で止まっているという見立ての裏づけになります。
ただし、LEDの色や点灯パターンが何を意味するかの詳細な一覧は本記事では扱いません。詳しく知りたい方はビープ音とエラー表示から原因を診断する記事をご覧ください。ビープ音が鳴るタイプのマザーボードをお使いの方も、そちらが担当です。
メーカー別の名称と早見表
まず全体像を押さえます。下の表は、各社がこの機能をどう呼んでいるか、そして一般にどんなファイル名にリネームするよう案内されているかの目安です。
重要な前提として、この表は「当たりをつけるための地図」であって、そのまま鵜呑みにして作業するためのものではありません。同じメーカーでも世代や製品によって指定が変わることがあり、リネームが不要な製品や、専用ツールで自動的にリネームする製品もあります。必ずお使いの型番の製品マニュアル、および公式サポートページの案内で最終確認してから作業してください。
| メーカー | 一般的な機能名 | 案内されることの多いファイル名の考え方 | 確認するもの |
|---|---|---|---|
| ASUS | BIOS FlashBack(USB BIOS FlashBack) | ダウンロードした圧縮ファイルにリネーム用のツールが同梱されている場合があり、それを使うと機種ごとの正しい名前へ自動で変換されるとされます | 製品マニュアルの該当ページ |
| MSI | Flash BIOS Button | 拡張子を含めた指定の名前へ手動でリネームするよう案内されているとされます | 製品マニュアルの該当ページ |
| GIGABYTE | Q-Flash Plus | 展開したフォルダ内のBIOS本体ファイルを、指定の名前へ手動でリネームするよう案内されているとされます | 製品マニュアルの該当ページ |
| ASRock | BIOS Flashback | 指定の名前へ手動でリネームし、USBメモリのいちばん上の階層へ置くよう案内されているとされます | 製品マニュアルの該当ページ |
1. 名前が違うだけで、考え方は共通している
4社の呼び名はバラバラですが、実際にやることの骨格は驚くほど共通しています。
- USBメモリを決められた形式で用意する
- 公式からBIOSファイルを入手し、決められた名前にする
- マザーボードに電源だけをつなぐ(PC本体は起動しない)
- 専用のUSBポートにUSBメモリを挿す
- 専用のボタンを長押しする
- LEDの点滅が終わるまで、何もせずに待つ
この6段階は共通です。違うのは「ファイル名」「ボタンの場所」「ポートの場所」「LEDの見え方」「所要時間の目安」といった細部です。だからこそ、細部だけは必ず自分の型番のマニュアルで確認するという進め方が有効になります。
2. 同じメーカーでも搭載モデルと非搭載モデルがある
ここで先に落胆を避けるためにお伝えします。この機能は、すべての製品に搭載されているわけではありません。一般に上位・中位のモデルには搭載されている傾向がありますが、価格を抑えたエントリーモデルでは省かれていることがあります。
手順をすべて読み終えてから「自分のボードにはボタンが無かった」と気づくのは時間の無駄です。そこで次章で、まず搭載の有無を確認する作業を先に置きます。ここで非搭載と判明した方は、記事の後半にある「非対応だった場合の選択肢」まで飛んでいただいて構いません。
ステップ0:自分のマザーボードが対応しているかを確認する
1. マザーボードの型番を確認する
すべての確認は型番から始まります。型番はマザーボードの基板上、多くの場合はメモリスロットの近く、あるいはCPUソケットの周辺やチップセットのヒートシンク付近に印字されています。購入時の箱や、購入店の注文履歴からも確認できます。
型番の調べ方でつまずいている方は、マザーボードの型番と仕様の調べ方をご覧ください。基板上のどこを見ればよいか、リビジョン表記をどう読むかまで扱っています。
注意したいのは、同じ製品名でもリビジョン(版)が異なる場合、対応するBIOSファイルが別になることがある点です。基板に「Rev.」で始まる表記がある場合は、その数字までメモしてください。ここを取り違えると、後の工程で正しくないファイルを掴んでしまいます。
2. 公式製品ページの仕様欄で機能名を探す
型番がわかったら、メーカー公式サイトでその製品のページを開きます。「仕様」「特徴」「Specifications」といった項目の中に、前章の表で挙げた機能名が書かれているかを探します。書かれていれば搭載、どこにも見当たらなければ非搭載の可能性が高い、という判断になります。
あわせて、製品ページからダウンロードできるPDF形式の製品マニュアルを必ず入手しておいてください。この後の工程で必要になる「専用ポートの位置」「ボタンの位置」「リネーム後の正しいファイル名」「LEDの見え方」は、すべてこのマニュアルに書かれています。作業中にスマートフォンで開けるようにしておくと安心です。
3. リアパネルのボタンと専用USBポートを目視で探す
紙の情報と並行して、現物も見ます。PCケースの背面、マザーボードの端子が並んでいる面(リアI/Oパネル)を見てください。
- 小さな押しボタンが単独で付いていないか。多くは端子の並びの端のほうにあります。
- そのボタンの近く、あるいはUSBポートのひとつに、機能名や「BIOS」といった刻印・印字が入っていないか。
- ポートの色が他と違う、枠が白く塗られているなど、1つだけ見た目が違うUSBポートが無いか。
この「1つだけ特別なUSBポート」が、書き換え専用のポートです。ここ以外のポートに挿しても機能しません。見た目の差がわかりにくい製品もあるため、必ずマニュアルの背面パネル図と照らし合わせてください。
なお、製品によってはボタンがリアパネルではなく基板上にある場合もあります。ケースに組み込んだままでは見えない位置にあることもあるので、マニュアルの図を優先してください。
4. 非搭載だった場合はここで手順を離れる
ボタンが見つからず、仕様欄にも該当する機能名が無い場合、そのマザーボードは今回の方法に対応していません。この先の手順を試しても意味がないので、記事後半の「マザーボードが非対応だった場合の現実的な選択肢」まで進んでください。買い替え以外の道を先に検討します。
ステップ1:USBメモリを正しく用意する
ここが実は、いちばん失敗が多い工程です。手順そのものは単純なのに、USBメモリの条件が合っていないせいで「ボタンを押しても何も起きない」という状態に陥る方が非常に多くいらっしゃいます。少し丁寧に見ていきます。
1. FAT32でフォーマットする
BIOSを書き換える段階では、まだWindowsのような本格的な仕組みは動いていません。マザーボード上の非常に小さなプログラムがUSBメモリを読むため、読める形式が限られます。一般にはFAT32という形式が指定されており、製品によってはそれより古いFAT16も許容されるとされています。
近年のUSBメモリは、購入時にexFATという別の形式になっていることがあります。この形式のままでは読み取れない可能性が高いため、別のパソコンでFAT32にフォーマットし直してから使ってください。フォーマットすると中のデータは消えるため、大切なファイルが入っていないUSBメモリを使うか、事前に退避させてください。
Windowsの標準機能では、大容量のUSBメモリをFAT32でフォーマットする選択肢が表示されないことがあります。これも、容量の小さいUSBメモリのほうが無難だと言われる理由のひとつです。
2. 容量は小さめのものが無難
BIOSのファイルは、大きくても数十メガバイト程度です。何百ギガバイトもの容量は必要ありません。むしろ大容量の製品ほどFAT32でのフォーマットが煩雑になり、認識されにくい傾向があるとも言われます。
目安としては、手元にある中でいちばん容量の小さいUSBメモリを選ぶくらいの気持ちで問題ありません。使い古しの小容量の製品が、こういう場面でいちばん頼りになります。
3. USB 2.0規格の素直な製品が無難
高速な規格の製品や、暗号化機能・自動起動する管理ソフトが入った多機能な製品は、この場面では相性が出ることがあります。余計な機能が無い、素直なUSB 2.0規格の製品のほうが通りやすいという声は多く聞かれます。
とはいえ、新しい規格の製品が必ず失敗するわけでもありません。「まず手持ちで試し、だめなら別のものに替える」という進め方が現実的です。ここでつまずいたときに交換用のUSBメモリが1本あるかどうかで、解決までの時間がまったく変わります。
4. パーティション形式の指定がある場合に注意する
メーカーによっては、フォーマット形式だけでなくパーティション形式(ディスクの管理方式)にも指定がある場合があります。古い方式であるMBRを指定している案内も見られます。
通常のUSBメモリは購入時点でMBR形式になっていることが多いため、意識せずに使えることがほとんどです。ただし、過去に何かの用途で作り替えたことがあるUSBメモリの場合は、別の形式になっていることがあります。うまくいかないときの確認ポイントとして頭の片隅に置いておいてください。この指定の有無もマニュアルに書かれています。
5. 単一ボリュームで、ルート直下に置く
USBメモリの中身は、次の条件を満たすようにしてください。
- 領域が分割されていない(ひとつのボリュームだけ)状態にする
- BIOSファイルはフォルダの中ではなく、USBメモリを開いてすぐの階層(ルート)に置く
- ファイルは1つだけ置くのが安全
ダウンロードした圧縮ファイルを展開すると、フォルダの中にファイルが入った状態になることがあります。そのフォルダごとUSBメモリにコピーしてしまうと、書き換え側からは見つけられません。フォルダから取り出して、いちばん上の階層に直接置くのがポイントです。
6. 余計なファイルは入れておかない
他のファイルが同居していると必ず失敗するとまでは言えませんが、判断材料を減らすという意味で、USBメモリの中は目的のファイル1つだけにしておくのが確実です。うまくいかなかったときに「余計なファイルのせいかもしれない」という疑いを最初から消しておけます。
また、USBメモリによっては説明書代わりの読み取り専用領域や管理ソフトが最初から入っていることがあります。こうした製品は、この用途には向きません。

ステップ2:BIOSファイルをダウンロードしてリネームする
1. 公式サポートページから自分の型番のBIOSを入手する
ここは手短にいきます。メーカー公式サイトの、先ほど開いた自分の型番の製品ページから、サポートやダウンロードの項目へ進み、BIOSのファイルを入手します。
この工程で守るべきことは2つだけです。ひとつは、必ずメーカー公式のページから入手すること。まとめサイトや個人のアップロード先から入手したファイルは、破損や改変のリスクがあり、失敗すればマザーボードが起動しなくなる可能性があります。もうひとつは、型番とリビジョンが完全に一致するファイルを選ぶこと。名前が似ているだけの別モデル用ファイルは絶対に使わないでください。
なお、BIOS画面に入れる状態の方が通常の手順で更新する場合のダウンロードから適用までの流れは、BIOS設定が原因で起動しなくなった場合の記事で扱っています。本記事では、画面が映らない前提の作業に字数を割きます。
2. 圧縮ファイルを展開する
ダウンロードされるのは、多くの場合ZIP形式などの圧縮ファイルです。これをそのままUSBメモリにコピーしても機能しません。必ず展開(解凍)して、中身のBIOS本体ファイルを取り出してください。
展開すると、BIOS本体のほかに説明書きのテキストファイルや、メーカーによってはリネーム用のツールが同梱されていることがあります。本体ファイルは、たいていフォルダ内でいちばんサイズの大きなファイルです。
3. メーカー指定の名前にリネームする
この記事でいちばん間違いが起きやすい工程です。マザーボードは、決められた名前のファイルしか探しに行きません。名前が1文字でも違えば「ファイルが無い」と判断され、ボタンを押しても書き換えが始まりません。
やり方は大きく2通りに分かれるとされています。
- 同梱ツールで自動的にリネームする方式:圧縮ファイルの中にリネーム用の実行ファイルが入っている場合、それを実行すると機種に合った正しい名前へ自動で変換されるとされます。Windowsパソコン上で動かす形式のため、別のパソコンが必要になります。
- 手動でリネームする方式:マニュアルに書かれている名前へ、自分でファイル名を変更します。拡張子まで含めて完全に一致させる必要があります。
どちらの方式なのか、そして手動の場合の正しい名前は何なのかは、必ずお使いの型番のマニュアルで確認してください。ネット上には各社の名前を紹介する情報が多数ありますが、世代や製品によって指定が変わるため、型番に紐づいた一次情報が唯一の正解です。
4. 拡張子の表示を有効にしてから作業する
手動リネームでよくある失敗が、拡張子が見えていない状態でリネームしてしまい、二重に拡張子が付いてしまうというものです。
Windowsは初期設定で拡張子(ファイル名の末尾にある種類を表す部分)を隠していることがあります。この状態で名前を変えると、見た目には正しくても、実際には末尾に余計な文字が残ってしまいます。
エクスプローラーの表示に関する設定から、拡張子を表示する設定を有効にしてから作業してください。メニューの名称や場所はWindowsのバージョンによって異なりますので、お使いの環境の画面でご確認ください。表示を有効にすると、いま自分が何という名前のファイルを扱っているかが正確に見えるようになります。
5. どのバージョンを選ぶか
ダウンロードページには複数のバージョンが並んでいることがあります。どれを選ぶべきかは悩みどころですが、基本的な考え方は次の通りです。
- まずはCPUサポートリストで確認した「必要バージョン」を満たすものを選ぶ。これが最低条件です。
- 特に理由がなければ最新版を選ぶのが素直です。新しいCPUへの対応は、後のバージョンほど広くなっている傾向があります。
- ただし、更新履歴に「このバージョン以降は古い世代のCPUに対応しなくなる」といった趣旨の注記がある場合があります。手元に古いCPUがあり、それも使い続けたい方は、更新履歴を必ず読んでください。一度上げたBIOSを元に戻せない製品もあります。
更新履歴(リリースノート)は英語で書かれていることもありますが、目を通す価値は十分にあります。翻訳機能を使ってでも、注意書きの有無だけは確認しておくことをおすすめします。
ステップ3:配線して書き換えを実行する
ここからが本番です。落ち着いて、順番通りに進めてください。
1. 電源ケーブルを接続する
この機能は「PCを起動させずに、マザーボードに電気だけを供給した状態」で動きます。
- 電源ユニットからマザーボードへ、24ピンのメイン電源コネクタを接続します。
- あわせてCPU補助電源(8ピンなど)も接続するよう案内されている場合があります。必要な本数や有無はマニュアルの記載に従ってください。
- 電源ユニットの背面スイッチを入れ、コンセントに接続して通電状態にします。
- PCの電源ボタンは押しません。システムを起動しない状態のまま作業します。
ここで多い勘違いが「電源ボタンを押さないと動かないのでは」というものです。押す必要はありません。むしろ、起動を試みてしまうと書き換えが始まらないことがあります。通電させるだけで、マザーボード側は待機状態に入ります。
また、冒頭でも触れましたが、CPUやメモリを取り外す必要はありません。すでに取り付けてあるなら、そのままで構いません。この機能は「部品が無くても動く」のであって、「部品を外さないと動かない」わけではないためです。組み立て途中でまだ何も載せていない状態であれば、それはそれで問題なく実行できます。
2. 専用ポートにUSBメモリを直接挿す
ステップ0で特定した専用のUSBポートに、用意したUSBメモリを挿します。ここで注意すべきことが2点あります。
- USBハブや延長ケーブルを経由させない:必ずマザーボードのポートへ直接挿してください。間に何かを挟むと認識しないことがあります。
- 他のUSB機器はできるだけ外す:キーボードやマウスを含め、余計な機器が挿さっていない状態のほうが確実です。判断材料を減らすという意味でも有効です。
ポートの位置を間違えたまま何度もボタンを押して、時間だけが過ぎるというのはよくある失敗です。マニュアルの背面図と、実際の刻印の両方で確認してから挿してください。
3. ボタンを長押しする
準備が整ったら、専用ボタンを押します。軽く1回押すのではなく、3秒程度の長押しが必要とされる製品が一般的です。押す時間の目安は製品によって異なるため、ここもマニュアルの記載を優先してください。
ボタンが小さく、押した感触がわかりにくい製品もあります。指の腹でしっかり押し込み、数秒数えてから離してください。
4. LEDの点滅が始まったら手を離す
正常に開始されると、ボタンの近くのLED、あるいはボタン自体が点滅を始めます。この点滅こそが「読み込みに成功して、書き換えが走っている」という合図です。
製品によっては、開始時に数回まとまって点滅してから継続的な点滅に移る、といった挙動が案内されていることがあります。細かな見え方は製品ごとに異なるので、マニュアルに書かれた「正常時のLEDの動き」を事前に読んでおくと、余計な不安を抱かずに済みます。
点滅が始まったら、あとは待つだけです。
5. 完了までの所要時間の目安
所要時間は製品や状況によって幅があり、数分から10分弱程度かかることが一般的とされています。体感ではかなり長く感じます。
ここで焦って「失敗したのでは」と手を出してしまうのが最悪のパターンです。10分程度は何もせずに待つくらいの心構えでいてください。飲み物でも取りに行って、戻ってきたら終わっている、というくらいがちょうどよいです。
ステップ4:LEDの読み方と、絶対にやってはいけないこと
1. 点滅している間は書き換え中です
LEDが点滅している間は、マザーボード上のBIOSを保存しているチップに対して、新しい内容を書き込んでいる最中です。この間、パソコンは外から見ると何もしていないように見えますが、内部では最も繊細な処理が進んでいます。
2. 消灯すれば完了のサインです
点滅が止まってLEDが消えれば、書き換えは完了しています。多くの製品で、この「点滅が止まる・消灯する」ことが完了の合図として案内されています。
完了したら、電源ユニットのスイッチを切り、USBメモリを抜いてから、通常通りPCを起動してみてください。
3. 途中で電源を切ると、起動しなくなる恐れがあります
ここが本記事で最も重要な警告です。
書き換えの途中で電源を落とすと、BIOSが中途半端な状態で書き込まれ、マザーボードが起動できなくなる恐れがあります。この状態になると、自力での復旧が難しくなる場合があります。
怖がらせたいのではありません。行動としてやるべきことは、たったひとつです。LEDの点滅が完全に止まるまで、電源スイッチに触らない、コンセントを抜かない、USBメモリを抜かない、PCの電源ボタンを押さない。この4つを守れば大丈夫です。「完了のサインが出るまで、ただ待つ」ということだけを覚えておいてください。
あわせて、作業する時間帯にも配慮してください。雷が鳴っている日や、停電の可能性がある状況での実行は避けます。ブレーカーが落ちやすい環境であれば、他の家電の使用を控えてから始めると安心です。
4. 完了後の初回起動には時間がかかることがあります
書き換えが終わって初めて起動するとき、通常よりも起動に時間がかかったり、一度自動的に再起動がかかったりすることがあります。メモリの状態を測り直す処理などが走るためで、これ自体は異常ではありません。
ここでも、映らないからといってすぐ電源を切らないでください。数分待って様子を見るくらいの余裕を持ってください。
5. 起動できたらBIOSの設定を確認する
無事に画面が出てBIOS設定画面に入れるようになったら、まずバージョン表示を確認し、目的のバージョンになっているかを見ます。あわせて日付や時刻、起動ドライブの順序などが初期状態に戻っていることがあるため、必要に応じて設定し直してください。
メモリの動作設定なども初期状態に戻っている場合があります。以前に設定していた項目がある方は、メモリの動作プロファイルと起動トラブルの記事もあわせてご覧ください。設定を戻した結果また起動しなくなった、という場面での対処を扱っています。

うまくいかないときの分岐
ここからは、実行してみたけれど思った通りにならなかった場合の見立てです。症状ごとに確認するポイントが違います。
1. ボタンを押してもLEDがまったく反応しない
そもそも機能が起動していない状態です。次の順に確認します。
- 電源が来ているか:電源ユニットの背面スイッチが入っているか、コンセントが挿さっているか、24ピンがしっかり奥まで刺さっているか。半挿しは意外と多い失敗です。
- 補助電源の要否:マニュアルでCPU補助電源の接続が求められている場合、それが未接続だと動かないことがあります。
- ボタンの位置が合っているか:他のボタン(起動ボタンや設定初期化ボタンなど)と取り違えていないか。
- 長押しの時間が足りているか:しっかり数秒押し込めているか。
- そもそも搭載されているか:似た形のボタンでも別機能である場合があります。マニュアルの図で再確認してください。
2. LEDが点灯したまま点滅しない
これは「ボタンは効いているが、読み込むべきファイルを見つけられていない」ときに起こりやすい状態です。USBメモリ側に原因があると考えて、次を見直します。
- フォーマット形式が指定通りか(FAT32になっているか)
- ファイル名が指定通りか(拡張子まで完全一致しているか)
- フォルダの中ではなく、いちばん上の階層に置かれているか
- 専用ポートに挿しているか(他のポートではないか)
- ハブや延長ケーブルを経由していないか
この5点をひとつずつ潰していけば、多くの場合ここで解決します。特にファイル名と置き場所は、思い込みで見落としやすい箇所です。別のパソコンで開き直して、自分の目で確認してください。
3. 点滅がすぐに止まってしまう
開始したように見えて、短時間で点滅が終わってしまう場合は、書き換えが正常に完走していない可能性があります。まずはファイルそのものを疑ってください。
- ダウンロードが途中で切れて、ファイルが壊れていないか(もう一度落とし直す)
- 型番・リビジョンが違うファイルを掴んでいないか
- 圧縮ファイルを展開せずにコピーしていないか
それでも変わらない場合は、USBメモリを別の製品に交換して試すのが有効です。前述の通り、USBメモリとの相性で読めないケースは実際に報告されています。ここで交換用の1本があるかどうかが分かれ目になります。
4. 点滅がいつまでも止まらない
判断が難しいのがこのケースです。所要時間には幅があるため、10分程度は正常な範囲と考えて待ちます。
それでも止まらない場合でも、すぐに電源を落とすのは避けてください。書き込みの最中である可能性が残っているためです。まずは、お使いの製品のマニュアルに書かれた所要時間の目安を確認してください。目安を大きく超えている場合の扱いについては、製品によって案内が異なります。判断に迷う場合は、メーカーの公式サポート窓口に問い合わせるのが最も安全です。
5. 書き換えは終わったのに、まだ映らない
点滅が止まって完了サインが出たのに起動しない場合、確認するのは次の点です。
- USBメモリを抜いたか:挿しっぱなしだと起動の挙動が変わることがあります。
- 本当にバージョンが上がったか:他のCPUが手元にあれば載せ替えて起動し、BIOS画面でバージョンを確認します。
- CPUサポートリストを読み直す:更新後のバージョンが、そのCPUに必要なバージョンを満たしているかを再確認します。ここで満たしていなければ、さらに新しいBIOSが必要か、そもそも対応予定がないかのどちらかです。
- 互換性以外の原因が残っていないか:BIOSの問題を潰した結果、別の原因が残っている可能性もあります。その場合は電源は入るのに画面が映らない場合の総合的な切り分けに戻って、順に確認してください。ケーブルの接続や表示先の取り違えといった基本的な要因も、この段階で改めて見る価値があります。
6. 途中で電源が落ちてしまった
意図せず停電などで書き換えが中断してしまった場合、まずは慌てず、電源を入れ直した状態でもう一度同じ手順を試してみてください。製品によっては再実行で復旧できる場合があります。
再実行しても反応が無い場合は、自力での対応は難しくなります。その場合は購入店またはメーカーの公式サポート窓口に、いつ・どのような手順で・どの時点で中断したかを具体的に伝えて相談してください。保証の扱いや対応可否は製品・購入時期・状況によって異なるため、ここで断定はできません。
マザーボードが非対応だった場合の現実的な選択肢
ステップ0で「うちのボードにはボタンが無い」と判明した方へ。ここからが本題です。非対応だからといって、いきなりマザーボードを買い替える必要はありません。先に検討すべき、費用のかからない道が残っています。
1. 対応する旧世代のCPUを一時的に用立てる
いちばん確実で、追加費用も抑えられる方法です。そのマザーボードが出荷時点で対応していた世代のCPUを一時的に取り付けて起動させ、通常の手順でBIOSを更新し、その後で新しいCPUに載せ替えるという段取りです。
入手の当てとしては、次のような選択肢があります。
- 友人・知人から一時的に借りる
- 自分の別のPCに載っているCPUを一時的に使う
- 中古で安価な対応CPUを入手し、更新後に手放す
どのCPUなら確実に起動するかは、前述のCPUサポートリストの中で「出荷時のBIOSでも対応している世代」を探せば見当がつきます。迷ったら、そのマザーボードが発売された当時の世代のCPUを選ぶのが安全です。
この方法で更新まで進めば、あとはBIOS画面から通常の手順で更新できます。その流れについてはBIOS画面に入れる状態での更新手順を含む記事をご覧ください。
2. 購入店やメーカーの取り扱いを確認する
自作パソコンのパーツを扱う販売店の中には、BIOSの更新に関するサービスを取り扱っている場合があります。また、CPUメーカーやマザーボードメーカーが、更新のための一時的な貸し出しや対応窓口を用意していることもあります。
ただし、こうしたサービスの有無・条件・料金・対象製品は、店舗や時期によって大きく異なります。また、過去に提供されていたプログラムが現在も同じ形で続いているとは限りません。当記事で「こうすれば必ず受けられる」と断定することはできませんので、お近くの販売店やメーカーの公式窓口に、最新の取り扱い状況を直接お問い合わせください。
問い合わせの際は、次の情報を手元に用意しておくと話が早く進みます。
- マザーボードの型番とリビジョン
- 取り付けたい新しいCPUの型番
- 現在のBIOSバージョン(わかる場合)
- その店舗で購入したかどうか、購入時期
3. それでも解決しない場合に検討すること
旧世代CPUの当てが無く、販売店やメーカーでの対応も難しいとなった場合に、初めて機材そのものの見直しが選択肢に入ります。この場合に検討するのは、CPUなしでのBIOS書き換えに対応したモデルへの入れ替えです。この機能があるかどうかは、次に選ぶときの実用的な判断基準になります。
ただし順番を間違えないでください。この記事の主旨は「買い替えなくてもBIOSの更新で直る場合がある」ということです。まずは1と2を検討し、それが尽きてから最後に考える選択肢だとお考えください。
作業前に手元に揃えておくもの
最後に、実際に作業を始める前のチェックリストです。ここが揃っていれば、途中で作業が止まる場面がぐっと減ります。
| 用意するもの | 条件・ポイント |
|---|---|
| USBメモリ | FAT32でフォーマット済み。容量は小さめが無難。USB 2.0規格の素直な製品が通りやすい。中身は空にしておく。相性で読めない場合に備えて、可能なら形の違うものを2本用意しておくと安心 |
| 作業用の別のパソコン | BIOSファイルのダウンロード・展開・リネームのために必要。スマートフォンだけでは完結しにくい |
| 製品マニュアル(PDF可) | 専用ポートの位置・ボタンの位置・正しいファイル名・LEDの見え方の確認に必須 |
| マザーボードの型番とリビジョン | 基板上の印字または購入時の箱で確認。ダウンロードするファイルを間違えないため |
| 安定した電源環境 | 書き換え中に電気が止まらない状況。雷雨時は避ける |
| 10分程度の余裕 | 途中で中断しないために、まとまった時間を確保してから始める |
特にUSBメモリは、この作業の成否を左右する最重要アイテムです。すでにお伝えした通り、大容量で高速な最新の製品よりも、容量が小さくシンプルな製品のほうがこの用途には向いているとされています。手持ちのUSBメモリで読み込まれない場合に備え、条件を満たす製品を1本確保しておくと、作業当日に立ち往生せずに済みます。
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よくある質問(FAQ)
1. CPUを外してから作業しないといけませんか?
いいえ、外す必要はありません。この機能は「CPUが無くても動く」機能であって、「CPUを外さないと動かない」機能ではありません。すでに取り付けてあるなら、そのままで実行して差し支えありません。むしろ必要のないCPUの着脱は、ソケットのピンを曲げるという回復の難しい二次被害につながります。組み立て途中でまだCPUを載せていない場合も、そのまま実行できます。
2. どのマザーボードにもこの機能はありますか?
いいえ、すべての製品に搭載されているわけではありません。一般に上位・中位のモデルには搭載されている傾向がありますが、価格を抑えたモデルでは省かれていることがあります。搭載の有無は型番によって異なるため、必ずご自身のマザーボードの公式製品ページと製品マニュアルでご確認ください。判断はメーカー名ではなく、型番単位で行ってください。
3. ファイル名は必ずリネームが必要ですか?
製品によって異なります。専用のリネームツールが同梱されていて自動で処理される場合もあれば、マニュアルに書かれた名前へ手動で変更する必要がある場合もあります。指定される名前もメーカーや世代によって違います。ネット上の情報を一般論としてそのまま当てはめるのは危険ですので、お使いの型番のマニュアルに書かれている指定を最終的な正解としてください。
4. USBメモリはどんなものでもよいですか?
いいえ、条件があります。一般にFAT32でフォーマットされていること、フォルダの中ではなくいちばん上の階層にファイルが置かれていること、が求められます。加えて、容量が小さくUSB 2.0規格の素直な製品のほうが読み込まれやすい傾向があります。暗号化機能や管理ソフトが入った多機能な製品は、この用途には向きません。うまくいかないときは、別のUSBメモリに替えて試すのが有効な切り分けになります。
5. 書き換えの途中で電源が落ちたらどうなりますか?
BIOSが中途半端な状態で書き込まれ、マザーボードが起動できなくなる恐れがあります。これがこの作業で最も避けるべき事態です。対策はシンプルで、LEDの点滅が完全に止まるまで、電源スイッチに触れない、コンセントを抜かない、USBメモリを抜かない、PCの電源ボタンを押さない、これだけです。雷雨時や停電の可能性がある状況では作業を始めないでください。
6. CMOSクリアやボタン電池の交換では直りませんか?
今回の症状には効きません。CMOSクリアはBIOSの設定値を初期状態に戻す操作であり、マザーボードに存在しない新しいCPU用の情報を追加するものではないためです。設定をいじって起動しなくなった場合には有効な手段ですので、その用途についてはCMOS電池の交換とBIOS初期化の手順をご覧ください。今回のように「新しいCPUに交換してから一度も映らない」場合は、BIOSそのものを新しくする必要があります。
7. 書き換えにはどのくらい時間がかかりますか?
製品や状況によって幅がありますが、数分から10分弱程度かかることが一般的とされています。体感ではかなり長く感じるため、失敗したと勘違いして手を出してしまう方が少なくありません。まとまった時間を確保してから始め、点滅が止まるまでは何もせずに待ってください。正確な目安はお使いの製品のマニュアルに記載されている場合があります。
8. 更新したのにまだCPUが動きません。何を疑えばよいですか?
まずUSBメモリを抜いたかを確認し、次に本当にバージョンが上がっているかを確かめます。そのうえで、CPUサポートリストに戻り、更新後のバージョンがそのCPUに必要なバージョンを満たしているかを再確認してください。表に自分のCPUが載っていない場合は、そのマザーボードでの対応が難しい可能性があります。互換性以外の原因が残っている可能性もあるため、その場合は電源は入るのに画面が映らない場合の切り分け手順に戻って、順に確認していくのが確実です。
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まとめ
新しいCPUに交換して画面が映らなくなったとき、最初に疑うべきは故障ではなく「マザーボードのBIOSが、そのCPUをまだ知らない」という互換性の問題です。ソケットが物理的に合っていても、それだけでは動きません。
そして、この状況から抜け出すための手段が、CPUを認識できない状態のままBIOSを書き換える機能です。呼び名はメーカーによって違いますが、やることの骨格は共通しています。
- まず自分の型番で、機能が搭載されているかを確認する
- USBメモリをFAT32で用意し、中身は空にしておく
- 公式からBIOSファイルを入手し、展開して、指定の名前にする
- ファイルはフォルダに入れず、いちばん上の階層に置く
- 電源だけをつなぎ、PCは起動しないまま専用ポートに挿す
- 専用ボタンを数秒長押しする
- LEDの点滅が止まるまで、絶対に何もせず待つ
失敗のほとんどは、難しい技術的な理由ではなく、USBメモリの形式・ファイル名・置き場所・挿すポートの4点のどこかで起きています。うまくいかないときは、この4点を一つずつ確認し直すのが最短ルートです。
機能が搭載されていないマザーボードだった場合も、すぐに買い替えを決める必要はありません。対応する旧世代のCPUを一時的に用立てて更新するのが最も費用のかからない解決策で、販売店やメーカーの取り扱いを確認する道も残っています。取り扱いの有無や条件は時期・店舗によって変わりますので、必ず最新の情報を直接ご確認ください。
最後にもう一度だけ。書き換えが始まったら、完了のサインが出るまでひたすら待つ。この1点さえ守れば、この作業はけっして怖いものではありません。組み立て直後の「何も映らない」という不安な時間を、落ち着いて乗り越えていただければ幸いです。
なお、この記事はパーツ交換直後から一度も映らないケースを対象にしています。今まで普通に動いていたPCが突然映らなくなった方は電源は入るのに画面が映らない場合の切り分け手順を、ビープ音が鳴る方はビープ音から原因を診断する方法を、マザーボードの型番の調べ方から知りたい方はマザーボードの型番と仕様の調べ方を、それぞれあわせてご覧ください。
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