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Matter対応で本当に便利になるのか:実機検証レポート

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Matter対応で本当に便利になるのか:実機検証レポート

はじめに

スマートホームの新しい共通規格「Matter(マター)」をご存知でしょうか?AppleやGoogle、Amazonなど競合する大手各社が手を組んで策定した次世代規格であり、異なるメーカーのスマート家電同士を簡単かつ安全に連携させることを目指しています。

Apple、Google、Amazon、IKEA、Samsung含む世界800社以上が参加するこの統一規格は、「買えば使える」というシンプルな約束を掲げて2022年にスタートしました。日本でも2024〜2025年にかけて対応製品が急増しており、「これからはMatter対応を選べば間違いない」といった声も聞かれるようになりました。

しかし、ITに詳しくない一般家庭のユーザーにとって、本当にスマートホームが便利になるのでしょうか?

結論から言えば、**条件付きで「便利になる」**というのが実機検証の答えです。ローカル処理による高速反応と複数プラットフォーム間の相互運用性は実感できるレベルに達しているものの、高度なオートメーション機能には制限があり、本格的な普及は2026年以降と見られています。

本記事では、スマートホーム初心者向けに、Matter対応デバイスを実際に家庭内で試用したレポートをお届けします。木造戸建てや鉄筋コンクリート造マンションといった異なる住宅環境での検証を通じて、Matterのメリットと注意点、そして初心者におすすめの製品について分かりやすく解説します。

Matterとは何か?従来規格との違いとメリット

Matterは「スマート家電の共通言語」

Matterとは、簡単に言えばスマートホーム機器間の共通言語となる接続規格です。従来のスマートホームでは、Philips HueはPhilips専用アプリ、SwitchBotはSwitchBot専用アプリというように、メーカーごとに異なるアプリが必要でした。Amazon Alexa対応製品がApple HomeKitで使えないといった互換性の壁も大きな問題でした。

Matter以前は、例えばメーカーAの電球とメーカーBのセンサーを連携させたい場合、それぞれ専用のハブやアプリが必要で、「言葉の通じない」機器同士を無理に繋ぐような煩雑さがありました。これに対しMatterはスマートホーム機器の共通言語と言える存在で、異なる通信手段や規格でも共通ルールで意思疎通が可能になります。

Matterの最大の特徴は**相互運用性(Interoperability)**にあります。Matterロゴが付いた製品であれば、iPhone(Apple Home)、Googleアシスタント(Google Home)、Amazon Alexa(Alexaアプリ)のすべてで操作できます。さらに「マルチアドミン」機能により、1台のデバイスを複数のプラットフォームで同時に操作することも可能です。

たとえば、リビングのスマート電球を夫はiPhoneから、妻はAndroidのGoogle Homeから、子どもはEcho Dotの音声操作で、それぞれ自由にコントロールできます。従来のように「家族全員が同じメーカーのアプリを使わないと制御できない」「iPhoneの人しか操作できない」といった不便がなく、誰でも好きな方法でスマートホームを利用できる平等さは大きなメリットです。

ローカルファースト設計のメリット

もうひとつの重要な特徴がローカルファーストの設計です。従来のスマートホーム製品の多くはクラウドサーバーを経由して操作していたため、インターネット障害時には照明すら点けられない事態が発生しました。

Matterは基本的にローカルネットワーク内(自宅内)で機器同士が通信するため、クラウド経由に比べ応答遅延が少なく安定しています。インターネットが切れても家庭内での操作は継続できます。反応速度もクラウド経由と比べて格段に速く、「スイッチを押したら瞬時に点く」という当たり前の体験が戻ってきます。

実際の検証では、人感センサーが反応してから照明用スマートプラグがONになるまでほぼ一瞬(体感1秒前後)で処理が完了し、快適でした。Silicon Labs社の2024年末テストによると、Matter 1.4.2では安定性が大幅に向上し「プライムタイム対応レベル」との評価を得ています。

従来規格との違いを整理する

スマートホームには既にWi-Fi、Zigbee、Bluetooth、Z-Wave、Threadなど複数の通信規格が存在します。Matterはこれらと競合するものではなく、その上で動作する「アプリケーション層」の規格である点が重要です。

Wi-Fi接続タイプ:

  • 自宅に既にある環境をそのまま使える
  • 電力消費が大きくバッテリー駆動のセンサーには向かない
  • スマートプラグやスマートリモコンハブなどに採用

Thread接続タイプ:

  • 低消費電力でメッシュネットワークを構築
  • バッテリー駆動のセンサーやドアロックに最適
  • 自己修復機能があり、ネットワーク内のあるデバイスが故障しても別の経路を自動で見つける
  • Thread対応の電球やスマートプラグが「ルーター」として機能し、増やすほどネットワークが強化される
  • 理論上は最大250台以上のデバイスを接続可能

Matterはこの両方の上で動作し、「Matter over Wi-Fi」「Matter over Thread」という形で使い分けられます。

Threadには「ボーダールーター」が必要

Threadを使うにはボーダールーターと呼ばれる機器が必要です。これはThreadネットワークとWi-Fiを橋渡しする装置で、以下の製品がこの機能を内蔵しています:

  • HomePod mini(14,800円)
  • Google Nest Hub第2世代(11,000円)
  • Amazon Echo第4世代(11,980円)
  • Apple TV 4K Wi-Fi+Ethernet版(22,800円〜)※Wi-Fi版はThread非対応

すでにこれらのスマートスピーカーを持っていれば、追加投資なしでThread環境を始められます。もし持っていない場合は、Aqara Hub M3/M100のようなMatterブリッジ製品を設置してThreadデバイスをMatterネットワークに参加させる必要があります。

逆にスマートプラグやスマートリモコンハブのようにWi-Fiで動作するMatterデバイスは、自宅のWi-Fiルーターにさえ繋がればOKなので追加ハブは不要です。

実機検証の構成と使用したMatter対応デバイス

今回、以下のMatter対応スマートホーム機器を実際に用意し、2つの異なる住環境で動作検証しました。

検証に使用した主要デバイス

モーションセンサー:Aqara 人感センサー P2

  • 人の動きを検知するセンサー
  • 電池駆動でどこにでも設置可能
  • Thread通信対応でMatter経由の利用が可能
  • 価格:約4,000〜5,000円

スマートプラグ:SwitchBot スマートプラグ(Matter対応)

  • 家電の電源をON/OFFできるコンセントアダプタ
  • Wi-Fi経由でMatterネットワークに直接参加
  • 照明や扇風機などをスマホ・音声操作可能に
  • 価格:約2,000〜2,500円

スマートリモコンハブ:Aqara スマートハブ M3

  • 赤外線リモコン機能とスマートホームハブ機能を兼備
  • 従来の赤外線家電(エアコン、テレビ等)をMatterネットワークに橋渡し
  • Threadのボーダールーター(中継器)も兼ねる
  • 価格:約10,000〜12,000円

スマート電球:Aqara LED電球 T2

  • E26口金のスマートLED電球
  • Thread通信対応で色温度や調光を制御可能
  • 1100lmと明るく、電球色〜昼光色まで調整可能
  • 価格:約2,500〜4,500円

操作プラットフォーム:

  • iPhone(iOS 17)+Apple「ホーム」アプリ
  • Android スマートフォン+Amazon「Alexa」アプリ
  • Amazon Echo(第3世代および第4世代)

木造戸建てと鉄筋マンションでの通信特性と使用感の比較

ケース1:木造2階建て戸建て住宅の場合

まずは典型的な木造一戸建て(2階建て、延床約120㎡)でMatter対応スマートホームを試したケースです。

住宅構造と電波環境: 木造の場合、Wi-Fiや無線通信の電波は比較的通りやすいと言われます。実際、1階リビングに設置した無線ルーターの電波が2階寝室まで安定して届いており、特段通信範囲の問題はありませんでした。木材も厚みがあると水分を含むため電波を多少吸収しますが、鉄筋コンクリート壁ほどの遮断効果はなく、壁越し・階越しでもある程度減衰が緩やかです。

検証内容と結果: 1階玄関ホールにAqara人感センサーP2を設置し、2階廊下の照明スタンドに繋いだSwitchBotスマートプラグ(ランプを接続)を制御するオートメーションを組みました。

Appleの「ホーム」アプリ上で**「玄関の人感センサーが動きを検知したら、2階スタンドライトをオン」というシーンを設定すると、セットアップ自体は1分とかからず完了。以後は玄関で人を感知してから2階のライトが点灯するまで体感1秒前後で反応**するようになりました。

センサー反応からアクション実行まで待たされるストレスはほぼなく、家族も「階段を上がる頃には廊下の照明が自動で点いている」状態を当たり前のように受け入れており、スマートホーム機器を意識せず自然に使えていました。

木造戸建ての推奨構成:

2階建て木造住宅:

  • ボーダールーター:1〜2台(1階中央または階段付近に設置)
  • Thread対応デバイス:各部屋に1台以上
  • Wi-Fi環境:2.4GHz対応必須、Wi-Fi 6推奨
  • 推奨予算:15〜25万円

3階建て木造住宅:

  • ボーダールーター:2〜3台(各階に1台ずつ)
  • Thread対応デバイス:10〜20台を各階に分散
  • メッシュWi-Fiの導入を強く推奨
  • 推奨予算:20〜30万円

設置のポイント:

  • ボーダールーターは床から1〜2mの高さ、家の中心付近に設置
  • 金属家具、電子レンジ、水槽の近くは電波干渉を受けやすいため避ける
  • 浴室など密閉空間は電波が届きにくいため、浴室用デバイスは脱衣所側に設置

Threadの屋内通信距離は約10〜30mですが、壁を1〜2枚挟むと5〜15m程度に低下します。Thread対応の電球やスマートプラグがルーターとして機能するため、各部屋に1台以上配置することでメッシュネットワークが強化されます。

ケース2:鉄筋コンクリート造マンション(2LDK)の場合

次に、都内の鉄筋コンクリート造マンション(2LDK、単一フロア)でのケースです。

住宅構造と電波環境: 鉄筋コンクリート(RC造)の建物は、その構造上どうしても無線電波が減衰しやすい環境です。コンクリート壁には金属製の鉄筋が組み込まれているため信号の透過性が低く、壁や床を通過する際に電波が大きく吸収・反射されてしまいます。

実際このマンションでも、Wi-Fiルーター(リビング設置)から見て玄関ホールや浴室など離れた場所では電波強度がかなり弱く、ドアを閉めると繋がりにくい部屋もありました。

検証内容と結果: 通信面を補うためAmazon Echo(第4世代)をリビング中央に設置しました(Echo第4世代はThread対応のMatterコントローラー/ボーダールーター機能を内蔵)。

玄関付近にAqara人感センサーP2を置き、リビングのスタンドライト(E26電球)にはAqaraスマートLED電球T2を取り付け、「玄関で人を検知したらスタンドライトを点灯(優しい電球色で)」というAlexaルーティン(定型アクション)を設定しました。

結果、ルール設定自体はAlexaアプリ上で数タップで完了し、動作もほぼリアルタイムに近い形でライトが点灯します。RC住宅ゆえ心配された通信遅延も、Echoスピーカーがハブ兼中継器となったおかげで問題ありませんでした。

RC造特有の注意点と対策:

浴室(ユニットバス)内に設置した温湿度センサーからの信号は、壁と扉に囲まれると届きにくく、Matter対応を謳う製品でも環境次第では通信不安定になることがありました。

こうした場合、中継デバイスを追加するのが有効です。Thread対応のMatterデバイスは電源常時接続のもの(プラグや電球など)が中継器(ルーター役)として他のThread機器の電波を中継する仕様になっており、廊下コンセントにSwitchBotスマートプラグを挿しておくことでセンサー信号の届きやすさが改善しました。

3LDKマンションの推奨構成:

  • ボーダールーター:1〜2台(リビングと最も離れた部屋)
  • Thread対応デバイス:各部屋に最低1台(メッシュで電波遮蔽を克服)
  • 有線バックホール対応メッシュWi-Fi:RC造では壁越しの無線中継が不安定なため、LANケーブルを使ったメッシュ構築を強く推奨
  • 窓際を活用:ルーターやボーダールーターは窓近くに設置すると電波の取り込みが良くなる
  • 推奨予算:8〜15万円

集合住宅特有の注意点:

  • 管理規約で壁への穴開けが制限される場合がある
  • 隣接住戸のWi-Fiと2.4GHz帯で干渉しやすい(Threadはチャネルホッピングで軽減)
  • 築古物件ではVDSL方式でインターネット速度が制限される場合がある

鉄筋コンクリート住宅では、木造に比べて電波が通りにくいのは事実なので、Matter導入前にご自宅の電波状況を確認し、必要に応じて中継設備を検討すると良いでしょう。

プラットフォーム別の対応状況と選び方

Apple HomeKit/Homeアプリ

対応状況:

  • iOS 16.1以降でMatter対応
  • HomePod miniまたはApple TV 4K Wi-Fi+Ethernet版がThreadボーダールーターとして機能
  • 注意:Apple TV 4K Wi-Fi版はThread非対応
  • iOS 18ではiPhone 15 Pro以降がThread対応アクセサリを直接ペアリング・操作可能

メリット:

  • Apple製品で統一している家庭に最適
  • セキュリティとプライバシー保護が強固
  • iPhoneからの操作が直感的

デメリット:

  • 対応デバイスタイプが限定的
  • 現時点でカメラは未対応
  • Android環境との併用には制約

推奨ユーザー: 家族全員がiPhoneユーザーで、Apple製品で統一したい方

Google Home/Nestエコシステム

対応状況:

  • Android 8.1以降でMatter対応
  • Nest Hub第2世代、Nest Hub Max、Nest Wifi ProがThreadボーダールーター対応
  • 旧型のGoogle Home、Google Home Mini、Nest MiniはThreadボーダールーター機能なし

メリット:

  • Androidユーザーとの相性が良い
  • Fast Pair for Matterによるセットアップが簡単
  • Google Assistantの音声認識精度が高い

デメリット:

  • 汎用スイッチへの対応が不完全
  • 一部機能に制限

推奨ユーザー: Androidスマートフォンを使用している方、Google製品を既に持っている方

Amazon Alexa/Echoシリーズ

対応状況:

  • Echo第4世代以降がThreadボーダールーター対応
  • 1億台以上のMatter対応Echoが存在(最大の設置台数)
  • Echo Hub(25,980円)は壁掛け可能なタッチパネル型コントローラー

メリット:

  • 「Frustration-Free Setup」により、Amazon.comで購入した対応製品は開封後の電源投入だけでゼロタッチセットアップが可能
  • 音声操作の自由度が高い
  • Echo製品のラインナップが豊富

デメリット:

  • 漏水センサーなど一部デバイスタイプが未対応
  • 既存のEcho Dot(第2〜4世代)はMatter対応だがThread非対応

推奨ユーザー: 音声操作を重視する方、既にEchoデバイスを持っている方

マルチアドミン機能の実態

1台のMatterデバイスを複数プラットフォームで同時操作する「マルチアドミン」は、Matterの大きな魅力です。実際の使い方は以下の流れになります:

  1. 最初のプラットフォーム(例:Google Home)でデバイスをセットアップ
  2. デバイス設定から「他のアシスタントとアプリ」を選択し、ペアリングコードを生成
  3. 生成されたコード(有効期限3〜15分)を別のプラットフォーム(例:Apple Home)でスキャン

検証では、夫がAlexaに話しかけてエアコンをオンにし、その後妻がHey Siriで同じエアコンをオフにするといったことも問題なく動作しました。照明やプラグの状態は双方のプラットフォーム間で同期され、どちらから操作しても問題ありませんでした。

注意点: すべてのプラットフォームを同時に使う場合は複数のThreadネットワークが競合する問題が報告されています。Matter 1.4以降で改善されているものの、初期設定時には注意が必要です。

セットアップ手順と必要な前提環境

必要な前提環境

1. Wi-Fiルーター:

  • IPv6有効が必須(Matterのセキュリティ機能やThread⇔Wi-Fiブリッジ機能にIPv6が必要)
  • 2.4GHz帯Wi-Fi必須(5GHzのみでは初期設定不可)
  • Wi-Fi 6推奨(特にRC造住宅では電波改善効果が大きい)

2. スマートフォン:

  • Android 8.1以降(Google Play開発者サービス22.48.14以降)
  • iOS 16.5以降
  • Bluetooth BLE 4.2以降対応必須(ペアリング時に使用)

3. ボーダールーター(Thread使用時):

  • HomePod mini、Nest Hub第2世代、Echo第4世代など
  • または、Aqara Hub M3/M100のようなMatterブリッジ

セットアップ手順(Google Homeアプリの場合)

新しいデバイスの追加時、箱に同梱されたMatterコード(QRコード)をスマホで読み取るだけで利用開始できました。従来のようなSSID入力や複数アプリのインストールが不要なのは非常に楽です。

具体的な手順:

  1. Google Homeアプリを開き「+追加」→「新しいデバイス」をタップ
  2. 「Matter対応デバイス」を選択
  3. デバイス本体またはパッケージのQRコードをスキャン(スマホから約12cm離す)
  4. Wi-Fiの認証情報は自動で提供される
  5. 部屋を割り当てて名前を設定
  6. 約30秒〜2分で追加完了

例えばSwitchBotスマートプラグをAlexaに追加した際も、SwitchBotの専用アプリは使わずAlexaアプリから直接QRコードをスキャンしデバイス登録するだけで済み、「あれこれアカウント連携する手順が無くなったな」と感じました。

**重要:デバイスは電源投入後15分以内にペアリングを完了する必要があります。**時間切れになった場合はデバイスのリセットボタンを5〜10秒長押しして再試行してください。

よくあるトラブルと解決方法

トラブル 主な原因 解決方法
接続できない IPv6が無効 ルーター設定でIPv6を有効化
5GHz Wi-Fiのみ接続 2.4GHz帯のSSIDに接続し直す
デバイスが見つからない ペアリングモードではない リセットボタン5〜10秒長押し
15分経過 電源再投入してやり直し
反応が遅い Thread経路が非効率 Thread対応デバイスを追加してメッシュ強化
アプリに表示されない カテゴリ未設定 フィルタ設定や表示名を確認し、正しいカテゴリや部屋に割り当て

ファームウェア更新が必要なケース: 一部製品では、Matter対応を有効にするためにファームウェア更新が必要なものがあり、その更新には結局メーカー純正アプリが必要になる場合もありました。

  • Philips HueランプをMatter対応させるにはHueブリッジのアップデートが必要
  • SwitchBotハブ2も購入直後は一度専用アプリで最新ファームにしてからMatterペアリングする必要がある

初心者の方は「なんだ結局アプリ入れるのか…」と感じるかもしれませんが、最初の一回限りの作業ですのであまり構えず対応しましょう。今後は製品出荷時から最新対応になっているケースも増えるはずです。

実際に感じた便利だった点

実機検証を通じて、Matter対応スマートホームの便利さを強く実感できたポイントをまとめます。

異なるメーカー製品がスムーズに連携できた

今回の例ではAqara社の人感センサーとSwitchBot社のプラグという別メーカー同士の組み合わせでしたが、AppleのホームアプリやAlexaアプリ上ではまるで同じシリーズ製品かのように一括して設定・操作できました。アプリ間の連携を意識せず1つのアプリで完結できた体験は、スマートホーム初心者にとって大きなハードル低下です。

セットアップの手軽さ

新しいデバイスの追加時、箱に同梱されたMatterコード(QRコード)をスマホで読み取るだけで利用開始できました。従来のようなSSID入力や複数アプリのインストールが不要なのは非常に楽です。

SmartHomeDBの調査では、Matterスマート電球の音声操作反応速度は従来比25%高速という結果が出ています。セットアップ時間も従来比40%短縮されたとのデータがあります。

自動化のレスポンスが速い

人感センサー→プラグ/電球という自動点灯の流れでは、検知から動作まで体感的にほぼリアルタイムでした。Matterは基本ローカルネットワークで完結するため、クラウド経由の遅延やネット回線の影響を受けにくいことを実証できました。

特にThread経由のローカル通信は「ハードワイヤードのように速い」というユーザー評価があり、クラウド遅延がない分、体感速度は明らかに向上します。またThread利用機器の安定性も高く、センサー検知の取りこぼしや誤作動は今のところ起きていません(通信が混雑しにくいこともメリットです)。

複数のThread Border Routerがある環境では、1台がダウンしても数分で自動的に別のボーダールーターに切り替わる(単一障害点の解消)。これはMatterの「自己修復」機能の恩恵です。

家族も自然に使いこなせた

照明が自動で点いたり消えたりする生活に最初は戸惑うかと思いきや、家族(高齢の両親を含む)も特に説明不要ですぐ馴染んでいました。「消し忘れが減って助かるね」といった好意的な反応で、スマートホーム化がストレスになるどころか快適性向上につながっている様子でした。

また音声操作についても、例えば**「アレクサ、テレビ消して」「…サーキュレーターつけて」**といったコマンドを家事の合間に使うようになり、手が離せない時でも声だけで家電を操作できる便利さを日常的に享受できています。

複数プラットフォームを併用できる柔軟性

Matter対応のおかげで、一家で好きなプラットフォームを使い分けられるのも便利な点です。筆者は主にiPhone/Homeアプリで操作し、家族はAndroid端末からAlexaで操作するといった併用を試しましたが、照明やプラグの状態は双方のプラットフォーム間で同期され、どちらから操作しても問題なく動作しました。

デバイス拡張性と安心感

Matterは業界標準として今後ますます普及が進むことが見込まれており、現時点でも世界で800社以上が参加しています。そのため**「この製品、将来別のスマートホームに乗り換えても使えるかな?」という不安が少ないです。

実際、AmazonやAppleなど主要各社がMatterアップデートを次々リリースしているため、「買ったはいいが対応しなくなった」という心配は減りつつあります。またセキュリティ面でも、Matterはブロックチェーン技術の活用やデバイス認証の厳格化など高度なセキュリティ対策が盛り込まれており、プライバシー保護にも配慮されている点は安心できる材料です。

初心者がつまずきやすかった点と対策

一方で、実際にMatter対応スマートホームを構築する中で初心者の方が戸惑いそうだと感じたポイントもいくつかありました。事前に知っておくとスムーズに導入できる注意点としてまとめます。

「Matterコントローラー」の存在を理解する必要

Matter対応デバイスを使うには、必ず司令塔となるコントローラー(制御役の機器やアプリ)が必要です。具体的には、今回使用したようなスマホのスマートホームアプリやスマートスピーカーがその役割を担います。

初心者には少し分かりづらい概念ですが、「デバイス同士が勝手に繋がるわけではなく、橋渡し役の”親機”がいる」と認識しましょう。幸い、多くの場合は普段お使いのスマホ+アプリでOKですし、Amazon EchoやGoogle Nest Hubなど既存のスマートスピーカーもソフトウェアアップデートでMatterコントローラー化されています。

例えばEcho第2世代(2018年発売)ですらMatter対応にアップデート済みです。ただし、もし「家にそういったスマートスピーカーが全く無い」「スマホも古くOSが対応していない」といった場合は、新たにコントローラーとなる製品を用意する必要があります。

Threadデバイスにはボーダールーターが必要

Matter対応製品には、大きく分けてWi-Fi経由で直接つながるタイプと、Thread経由で動作するタイプがあります。後者の場合、ネットワーク上にThread用の中継器(Threadボーダールーター)がないと通信できません。

具体例を挙げると、Aqara人感センサーP2はThreadを用いて通信しますが、我が家ではApple HomePod miniやAmazon Echo (第4世代) がThreadボーダールーターを兼ねていたため直接つながりました。もしこれらが無い環境では、代わりにAqara Hub M3/M100のようなMatterブリッジ製品を設置してThreadデバイスをMatterネットワークに参加させる必要があります。

「Threadって何?」という初心者の方は、簡単に言えば”スマートホーム専用の省電力無線”くらいの理解で大丈夫ですが、「Thread機器を買うなら手元のスマートスピーカーがそれに対応しているか確認する」というチェックをお忘れなく。

機能制限の現実

重要な注意点として、Matter経由では使えない機能が多数存在します。

たとえば:

  • エアコンはON/OFFと冷暖房切り替えはできるが、風量調整はMatter非対応
  • 照明の調色・調光、テレビのチャンネル切り替え、シーン連携なども現時点ではMatter経由では制限される
  • これらの高度な機能を使うには、引き続きメーカー専用アプリが必要

対応デバイスの種類は徐々に拡大中

現時点(2025年~2026年初頭)でMatterがサポートしているデバイスカテゴリは、照明・コンセント・センサー・鍵・サーモスタット・ブラインド(カーテン)・メディアデバイスなどが中心です。

逆に言えば、スマートカメラやロボット掃除機、エアコン(エアコンはサーモスタット扱いで一部対応)などはまだ規格上サポート途上です。しかし2023年秋にリリースされたMatter 1.2では待望の家電(白物家電)やロボット掃除機などが新たにサポートされ、対応範囲が着実に広がっています。

「今手持ちの○○はMatterに未対応だ…」という場合でも、将来的に対応製品が登場する可能性が高いので悲観しすぎる必要はありません。Matterは進化中の規格なので、焦らず必要なところから取り入れていくのが良いでしょう。

スマートホームアプリ上での表示に注意

AlexaやGoogle Homeアプリでは、Matter経由で追加したデバイスが時折**カテゴリ未設定(未分類)**の状態で表示されることがありました。

例えばAlexaの場合、Matterスマートプラグが追加直後「その他」デバイスに分類され、自動的に「照明」カテゴリにならなかったため、自分で電球アイコンに変更したということがありました(機能自体は問題なく使えます)。最初デバイス一覧に見当たらず焦るかもしれませんが、その際はフィルタ設定や表示名を確認し、正しいカテゴリや部屋に割り当ててあげてください。

こうした部分は今後のアップデートで改善が期待されます。

日本市場で購入できるMatter対応製品一覧

日本のMatter対応製品は2024年後半から急速に充実してきました。以下にカテゴリー別の主要製品と価格帯を整理します。

スマート照明(電球・シーリングライト)

スマート電球:

  • Aqara LED電球 T2:約2,500〜4,500円(Thread/Matterネイティブ対応、ハブなしで単体動作)
  • Philips Hue:約5,000〜9,000円(Hueブリッジ経由でMatter化、既存ユーザーは買い替え不要)
  • TP-Link Tapo L535E:約2,500円(低価格帯の選択肢)
  • Edison Smart LED電球:約2,000〜3,000円(低価格帯の選択肢)

シーリングライト:

  • オーデリック SH8353LDR:約30,000〜40,000円(ネイティブMatter対応)
  • スワン UZUKAZE III:約50,000〜60,000円(ネイティブMatter対応)

センサー類(ドア・窓、人感、温湿度)

Aqaraセンサー:

  • Aqara開閉センサーP2:約3,000〜4,000円(Thread/Matterネイティブ対応)
  • Aqara人感センサーP2:約4,000〜5,000円(Thread/Matterネイティブ対応)

IKEAセンサー(2025年日本発売予定):

  • MYGGBETT扉/窓センサー:約1,500〜2,000円(DIRIGERAハブ約8,999円が別途必要)
  • MYGGSPRAY人感センサー:約1,500〜2,000円(DIRIGERAハブ約8,999円が別途必要)

SwitchBotセンサー:

  • SwitchBot開閉センサー:約2,000〜2,500円(SwitchBotハブ経由でMatter対応)
  • SwitchBot人感センサー:約2,000〜2,500円(SwitchBotハブ経由でMatter対応)

スマートロック

  • 美和ロック PiACK HOME PG:推定約30,000〜50,000円(2024年12月発売、国内ロックメーカー初のネイティブMatter+Thread対応)
  • SESAME 5:約4,400〜5,000円+Sesame Hub3:約3,000〜4,000円(合計約8,000円からスマートロックをMatter化)
  • SwitchBot ロック:約10,000〜12,000円(ハブ経由でMatter対応)
  • SwitchBot ロックPro:約15,000〜18,000円(ハブ経由でMatter対応)

エアコン操作デバイス(スマートリモコン)

日本のスマートホームでは、赤外線リモコンで操作するエアコンやテレビを「スマート化」するニーズが極めて高い。

  • Nature Remo nano:約3,980円(世界初の赤外線リモコン家電をMatter連携するブリッジデバイス、最大3台の赤外線家電をMatter化)
  • Nature Remo Lapis:約6,980〜8,000円(最大20台まで対応、本格的な導入向け)
  • SwitchBot ハブ2:約8,000〜9,000円(温湿度センサー内蔵で多機能)
  • SwitchBot ハブミニMatter対応版:約5,500〜6,000円(コスパ重視の選択肢)
  • Aqara M3ハブ:約10,000〜12,000円(Matterコントローラー機能も備え、Thread対応デバイスのハブとしても機能)

スマートカーテン

  • SwitchBot カーテン第3世代:約8,000〜9,000円(ハブ経由でMatter対応、両開きカーテンには2台必要で合計約16,000円)
  • IKEA FYRTUR電動ブラインド:約20,000〜30,000円(DIRIGERA経由でMatter化)

ロボット掃除機(Matter 1.2で対応カテゴリに追加)

  • ECOVACS DEEBOT T30 OMNI:約150,000〜180,000円(ネイティブMatter対応)
  • Roborock S8 MaxV Ultra:約180,000〜200,000円(ネイティブMatter対応)
  • SwitchBot S10:約100,000〜120,000円(ネイティブMatter対応)

スマートプラグ

  • TP-Link Tapo P110M:約2,500〜3,000円(ネイティブMatter対応、最も手軽な導入口)
  • SwitchBot スマートプラグ(Matter対応):約2,000〜2,500円

スマートホームハブ

  • Aqara Hub M3:約10,000〜12,000円(赤外線リモコン・警報アラームなども内蔵したハイエンドハブ)
  • Aqara Hub M100:約5,000〜7,000円(コンパクトなスティック型ハブ)
  • IKEA DIRIGERA:約8,999円(IKEA製品のハブ)

コスト分析:間取り別の初期投資目安

最小構成(スマート電球×2、スマートプラグ×2)

項目 価格目安
SwitchBotハブミニMatter対応 約6,000円
スマートプラグ×2 約4,000円
スマート電球×2 約4,000円
合計 約14,000〜20,000円

基本構成(照明、センサー、スマートロック)

項目 価格目安
ハブ(SwitchBot Hub 2等) 約8,000〜13,000円
スマートロック 約15,000〜25,000円
人感センサー 約2,000〜4,000円
開閉センサー 約2,000〜3,000円
スマート照明×3 約6,000〜9,000円
合計 約33,000〜54,000円

間取り別の推奨予算

間取り 推奨予算 ボーダールーター デバイス例
1R〜1LDK 2〜4万円 1台 電球2、プラグ1、センサー1
2LDK 4〜8万円 1台 電球3、プラグ2、センサー2、スマートロック1
3LDK以上 8〜15万円 1〜2台 電球5、プラグ3、センサー3、スマートロック1、カーテン1
戸建て 15〜25万円 各階1台 電球8、プラグ5、センサー5、スマートロック1、カーテン2

既存資産の活用: 既存のZigbee/Z-Wave製品からの移行は、ブリッジ(Philips Hue Bridge、IKEA DIRIGERA等)を追加するだけで対応できるため、既存資産を活かした段階的移行が可能です。追加コストはブリッジ購入費の1〜1.5万円程度で済みます。

特に初心者におすすめしたいMatter対応製品

最後に、これからスマートホームを始めたい初心者の方に向けて、実機検証して「これは導入効果が高い」と感じたおすすめMatter対応製品をご紹介します。

SwitchBot ハブミニ / Nature Remo nano(スマートリモコンハブ)

特徴・用途: エアコン・テレビなど赤外線リモコン家電をまとめて操作できるスマートリモコン。SwitchBotハブミニ(Matter対応版)は従来製品がアップデートされ共通規格Matterに対応。Nature Remo nanoは2023年に発売された日本初のMatter対応スマートリモコンです。

初心者へのメリット: 家の既存家電を一気にスマート化できる入門に最適なデバイス。例えばエアコンや照明を外出先から操作したり、声だけでテレビを消すことも可能になります。Matter対応により各社プラットフォームからシームレスに制御でき、設定もQRコード読み取りのみと簡単です。エアコンの節電やリモコン紛失防止にも役立ち、初心者でも導入効果が実感しやすいでしょう。

価格:

  • SwitchBotハブミニMatter対応:約5,500〜6,000円
  • Nature Remo nano:約3,980円

Aqara 人感センサー P2(モーションセンサー)

特徴・用途: 人の動きを検知する高性能センサー。感度調整や照度検知も可能で、Thread通信による安定動作が特長。Matter経由で他社デバイスと連携でき、電池駆動で設置も自由自在です。

初心者へのメリット: 「人を感知して自動でライトON」などスマートホームらしい体験を手軽に実現できます。玄関や廊下に設置すれば”つけっぱなし””消し忘れ”を防止でき、生活の満足度がグッと上がります。価格も数千円程度と手頃で、たった1つのセンサー+対応プラグの組み合わせで未来の暮らしを始められるコスパの良さも魅力です。初心者でも効果を実感しやすいガジェットと言えます。

**価格:**約4,000〜5,000円

SwitchBot スマートプラグ(Matter対応)

特徴・用途: 家電の電源をON/OFFできるコンセント型アダプター。Wi-Fi接続でそのままMatter対応し、Alexa・Google Home・Appleホーム等どのプラットフォームからも操作可能。

初心者へのメリット: スマートライトのように電球ごと交換しなくても、スタンド照明や扇風機など既存の家電を差し込むだけでスマート制御できる便利アイテムです。センサーと組み合わせた自動制御はもちろん、スマホアプリや音声で手元の家電を操作できる快適さは一度味わうと手放せません。タイマー設定による節電や安全対策(消し忘れ防止)にも役立つため、スマートホーム初心者が最初に導入する製品としておすすめです。

**価格:**約2,000〜2,500円

Aqara LED電球 T2(Matter対応)

特徴・用途: E26口金のスマートLED電球。1100lmと明るく、電球色~昼光色まで色温度調整が可能。Thread経由でMatter対応し、各プラットフォームから直接コントロールできます。

初心者へのメリット: 天井照明やスタンドライトの電球を入れ替えるだけで、照明のオンオフや調光をスマホ・音声でコントロール可能にします。家族それぞれがスマホや声で操作できるので、「消しに行く」「スイッチを探す」手間が省けますし、就寝前にベッドから消灯するといった体験の快適さは格別です。Matter対応なのでApple・Google・Alexaいずれの環境でもシームレスに使え、初期設定もスキャン一発。照明は生活への影響度が高いため、スマート化の満足感を得やすいおすすめ製品です。

**価格:**約2,500〜4,500円

Aqara Hub M3 / M100(スマートホームハブ)

特徴・用途: Aqara社の多機能スマートホームハブ。M3は赤外線リモコン・警報アラームなども内蔵したハイエンドハブ、M100はコンパクトなスティック型ハブ。どちらもMatterブリッジ兼Threadボーダールーターとして機能し、手持ちのAqara製センサーやボタンなどZigbeeデバイスをMatterネットワークに統合できます。

初心者へのメリット: もし既にAqara製品(または他社Zigbee製品)を持っているなら、このハブを導入することで今あるデバイスをMatter対応デバイスとして再活用できます。初心者にとっては少し玄人向けですが、Matter非対応デバイスと最新Matter製品を橋渡ししてまとめて操作できる点は大きな魅力です。特にM3は単体でIRリモコンハブにもなり、まさにオールインワンの司令塔。

Aqara以外にも、HueブリッジやSwitchBotハブ2など各社からMatter対応ブリッジが登場しているので、**「既存資産を活かしつつMatter移行したい」**方におすすめです。

価格:

  • Aqara Hub M3:約10,000〜12,000円
  • Aqara Hub M100:約5,000〜7,000円

まとめ:Matterの将来性と導入前のチェックポイント

結論:条件付きで「便利になる」

今回の検証を通じて、「Matter対応スマートホーム機器は一般家庭にとって本当に便利なのか?」という問いに対する答えは、現時点では**「YES(便利である)」**と感じました。

特に異種メーカー間の連携ハードルが下がり、設定の手軽さや動作安定性が向上した点は、初心者にとって大きな恩恵です。スマートホームの醍醐味である”家電のシームレスな自動化”が、Matterによってより簡単に実現できるようになったことを実感しました。

便利になる点:

  • QRコード1つでどのプラットフォームにも簡単追加(セットアップ時間が従来比40%短縮)
  • ローカル処理による高速・安定動作(インターネット断でも動作継続)
  • プラットフォーム選択の自由度向上(特定エコシステムへの囲い込みからの解放)
  • 価格低下(IKEAが10ドル以下のMatter製品を投入)

まだ便利ではない点:

  • メーカーアプリでしか使えない高度な機能が多い(調色、風量調整、シーン連携など)
  • 同じMatter製品でもプラットフォームによって使える機能が異なる
  • 日本特有のスマートリモコン需要に対し、Matter経由の赤外線操作が制限的

Matterはまだ発展途上

もっとも、Matterはまだ発展途上の規格でもあります。対応製品の種類や数はこれからさらに増えていくでしょうし、アップデートによって新機能・新カテゴリへの対応も拡大していくでしょう。

実際、2023年末時点でCSA(Connectivity Standards Alliance)には800社以上が参画し、プロモーター企業(主要推進企業)32社が仕様策定や認証に携わっています。AmazonやGoogle、Appleといったビッグネームに加え、家電大手や半導体メーカー、家具メーカーのイケアまで名を連ねていることからも、Matterへの本気度と将来性の高さがうかがえます。

2024年はMatterが「勢いをつけた年」であり、2025〜2026年に本格的な普及期を迎える見通しです。

導入前のチェックポイント

これからMatter対応製品を購入・導入しようと考える際、事前にチェックすべきポイントを整理します。

①デバイスがMatter対応か確認 当たり前ですが購入前にMatterロゴがパッケージ等に表示されているか確認しましょう。スマートホーム製品は似たような型番でMatter非対応版と対応版が混在していることもあります(例:SwitchBotハブミニ通常版とMatter対応版)。公式サイトや販売ページの商品説明で「Matter対応」の記載を必ずチェックしてください。

②手持ちのプラットフォームとの相性 ご自宅で主に使いたいプラットフォーム(例:iPhoneのHomeKit/Siri、Amazon Alexa、Google Homeなど)でそのMatter製品がサポートされているかを事前に調べましょう。基本的にMatter対応ならどれでも動くはずですが、一部プラットフォームではまだ対応していないデバイスカテゴリもあります。

またスマートスピーカーやスマートディスプレイをお持ちの場合、ソフトウェア更新でMatterコントローラー化できるか確認しましょう。もし持っていなければ、今後のために1台用意しておくと音声操作も含めて楽しめます。

③ネットワーク環境の準備 Wi-Fiルーターの2.4GHz帯を有効にしておきましょう(多くのIoT機器は2.4GHz帯を使います)。スマホとデバイスが同一ネットワークにいることも重要です。加えて、住宅の構造による電波事情も考慮してください。必要に応じてWi-Fi中継機やメッシュWi-Fiを導入すると良いでしょう。

Threadデバイスの場合は、**Threadボーダールーター(中継役)**となる機器を配置するのをお忘れなく。

④既存スマートデバイスとの共存 すでにHueやNature Remoなど別規格のスマートホーム製品を使っている場合、それらをすぐMatterに統合できるか確認しましょう。HueならブリッジのMatter対応アップデートの有無、Nature RemoならMatter対応モデル(Remo nano)の検討などが挙げられます。

AqaraやSwitchBotのハブ系製品はブリッジとして有効活用できます。すぐ乗り換えなくてもブリッジ経由で共存できるのがMatterの良いところなので、焦らず徐々に移行すると安心です。

推奨アクション

導入すべき人:

  • これからスマートホームを始める人
  • 複数プラットフォームを使い分けたい家庭
  • シンプルな操作(ON/OFF、基本調整)で十分な人

今は見送るべき人:

  • 既存のスマートホーム環境に満足している人
  • 高度なオートメーションを求めるパワーユーザー
  • 最高の安定性を求める人(あと1年待つのが賢明)

新規導入者はMatter対応製品を選ぶのが正解です。既存ユーザーは急いで移行する必要はなく、買い替えタイミングで段階的にMatter製品を追加していくのがベストな戦略となります。

日本市場ではSwitchBot、Aqara、IKEAの3ブランドを中心に検討すれば、幅広いカテゴリーをカバーできます。

以上のポイントを押さえておけば、Matter対応スマートホーム導入はきっとスムーズにいくでしょう。

結びに

Matter対応によってスマートホームは初心者にとって確実に扱いやすく、便利なものになりつつあります。まだ完全無欠とは言えないものの、その将来性は明るく、各社の本格参入によって今後ますます製品が充実していくはずです。

スマートホーム化を検討中の方は、「Matter対応かどうか」を一つの基準に製品選びをすると同時に、事前準備をしっかり行って賢く導入してみてください。生活がちょっと未来に近づく快適さを、ぜひ体験してみましょう。

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