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CrystalDiskInfoでドライブの健康状態が青色の「正常」から黄色の「注意」に変わると、多くの方が「今すぐパソコンが壊れる」「中のデータが全部消える」と焦ってしまいます。ですが、黄色の「注意」は、その瞬間に故障が確定したという意味ではありません。ドライブが自分自身を診断するS.M.A.R.T.(スマート)情報の一部が、正常とされる範囲から外れ始めたことを知らせる早期警告のサインです。
この記事では、まず「注意=即故障ではない」という前提を丁寧に説明したうえで、CrystalDiskInfoが何を見て黄色を出しているのか、代表的な数値(代替処理済みのセクタ数など)の意味、そして最も大切な「これから自分でどう判断していくか」までを、順番に整理していきます。最優先でやることは、再フォーマットでもエラーチェックでもなく、今あるデータのバックアップと、数値の推移を記録することです。

📑 この記事の目次(タップで開く)
この記事でわかること
- CrystalDiskInfoの黄色い「注意」が「即故障」ではない理由
- 「注意」が実際に見ているもの(S.M.A.R.T.の生の値の劣化)の仕組み
- 代表的な項目「05 代替処理済みのセクタ数」「C5 代替処理保留中のセクタ数」「C6 回復不可能セクタ数」の意味
- これらの生の値が、エラーチェック(chkdsk)・デフラグ・通常のフォーマットでは基本的に減らない理由
- 1週間おきに生の値を記録し、増加傾向で交換時期を自分で判断する具体的な運用手順と目安表
- 交換の前に必ずやるべきバックアップの考え方
- 交換用ドライブ(HDD/SSD・容量・用途)の選び方の基本
まず結論の早見表(色と数値でやることを判断する)
細かい説明の前に、全体像を早見表にまとめます。まずはご自身のCrystalDiskInfoの表示がどの状態に近いかを確認してみてください。数値の細かい読み方は、このあとの各章でじっくり解説します。
| 健康状態の表示 | おおまかな意味 | まずやること |
|---|---|---|
| 青「正常」(Good) | 監視対象の数値が正常範囲内 | 定期バックアップを続けながら通常利用 |
| 黄「注意」(Caution) | 一部の数値が劣化を示し始めた早期警告 | まずバックアップ、そのうえで数値の推移を記録して監視 |
| 赤「異常」(Bad) | 致命的とされる項目が基準を超えた状態 | すぐにバックアップを最優先、交換を強く検討 |
| 灰「不明」(Unknown) | S.M.A.R.T.情報を取得できていない状態 | 接続方法(USB変換など)や設定を見直す |
ここで覚えておいていただきたいのは、黄色の「注意」は「これから壊れていく可能性を示すサイン」であって、「今この瞬間に全滅した」という意味ではない、という点です。落ち着いて、順番に対応していきましょう。
1. 「注意」=黄色=即故障ではない、とまず理解する
CrystalDiskInfoの健康状態が黄色の「注意」になったとき、多くの方が最初に感じるのは強い不安だと思います。しかし、ここで慌てて不用意な操作をすると、かえって大切なデータを失うリスクが高まります。まずは「注意」という表示が持つ本来の意味を、正しく理解することが第一歩です。
1. 「注意」は故障の確定ではなく早期警告
黄色の「注意」は、ドライブが自己診断した結果、いくつかある監視項目のうち一部が「正常とされる範囲から外れ始めた」ことを示すものです。人間の健康診断でたとえるなら、いくつかの検査値のうち一つが基準値をわずかに外れて「要経過観察」になった状態に近いといえます。要経過観察になったからといって、その日に倒れるわけではありません。ドライブも同じで、「注意」が出た瞬間にすべてのデータが読めなくなるわけではない、というのが一般的な理解です。
実際、黄色の「注意」が出てからも、しばらくは問題なく使えているように見えるケースは珍しくありません。だからこそ油断しやすいのですが、「今は読めている」ことと「これからも安全である」ことは別問題です。早期警告が出ているという事実は変わらないため、「まだ大丈夫」と放置するのではなく、「これから壊れる前提で備え始める」という姿勢が大切です。
2. 焦って最初にやってはいけないこと
「注意」を見た直後にやってしまいがちで、かつ避けたほうがよい操作があります。代表的なのは、状態を確認する前に、いきなり再フォーマットやエラーチェックを走らせてしまうことです。これらの操作はドライブに負荷をかけるうえ、後述するように黄色の原因となっている数値(生の値)を根本的に元へ戻すものではありません。むしろ、弱っているドライブに長時間の読み書きをさせることで、まだ読めていたデータまで読めなくなってしまう可能性があります。
大切なデータがまだ取り出せる段階であれば、何よりも先にバックアップを取るのが鉄則です。操作の順番を間違えると、「直そうとして壊した」という最悪の結果になりかねません。順番については、このあとの章で具体的に説明します。
3. とはいえ「無視してよい」わけでもない
「即故障ではない」と聞くと、今度は「では無視してよいのか」と考えたくなるかもしれません。しかし、それも正しくありません。黄色の「注意」は、ドライブが「劣化の兆候が出ている」と自ら申告している状態です。特に後述する不良セクタ関連の数値は、一度カウントされると基本的に元に戻らず、増える方向にしか動かないとされています。つまり「注意」は、良くなる可能性の低いサインでもあります。
正しい向き合い方は、「慌てない、でも軽視もしない」です。すぐに全データのバックアップ体制を整え、そのうえで数値の推移を継続的に見て、交換のタイミングを冷静に見極めていく。これが「注意」に対する最も現実的で安全な対応だといえます。
4. 「注意」を見たときの正しい行動順序
不安なときほど、やることを順番で決めておくと落ち着いて動けます。黄色の「注意」を見たときの行動順序を、あらためて整理しておきます。この順番を守るだけで、「直そうとして壊す」という失敗の多くを避けられます。
- まず深呼吸して、すぐに再フォーマットやエラーチェックを走らせないと決めます。
- なくなったら困るデータを、別の場所へバックアップします(これが最優先です)。
- CrystalDiskInfoで、どの項目が黄色の原因かを確認し、生の値を記録します。
- 1週間おきに数値をつけ、増えているか止まっているかの傾向を観察します。
- 増加が続く、または急に増えたと感じたら、交換用ドライブの準備に入ります。
この5ステップを頭に入れておけば、次に別のパソコンで同じ表示が出たときも、迷わず対応できます。大切なのは「一度で完璧に直すこと」ではなく、「データを守りながら、状態を見極めること」です。
2. CrystalDiskInfoの「注意」は何を見ているのか
次に、CrystalDiskInfoがどういう仕組みで黄色の「注意」を表示しているのかを理解しましょう。ここを押さえると、なぜ再フォーマットで色が戻らないのか、なぜ数値の推移を見る必要があるのかが、すっきり腑に落ちます。
1. S.M.A.R.T.という自己診断のしくみ
現在のHDDやSSDの多くは、S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)という自己診断機能を内蔵しています。ドライブ自身が、電源投入回数や使用時間、エラーの発生状況、不良セクタの数など、さまざまな項目を常に記録し続けています。CrystalDiskInfoは、このドライブ内部に蓄えられたS.M.A.R.T.情報を読み出して、私たちに分かりやすく一覧表示してくれるソフトです。
つまり、CrystalDiskInfoが数値を「作っている」わけではありません。ドライブ自身が記録した値を「見せている」だけです。この点はとても重要です。表示されている数値の元データはドライブの中にあるため、ソフトを入れ直しても、パソコンを再起動しても、記録された値そのものは変わりません。
2. 「現在値」「最悪値」「しきい値」と「生の値」
CrystalDiskInfoの各項目には、いくつかの数値が横並びで表示されています。代表的なのが「現在値」「最悪値」「しきい値」、そして一番右あたりに表示される「生の値(RAW値)」です。それぞれの役割を整理します。
| 表示名 | 意味の目安 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 現在値 | 正規化された健康度。多くは100や200から始まり、劣化すると下がっていく傾向 | しきい値に近づくほど悪化している目安 |
| 最悪値 | これまでで最も悪かったときの現在値 | 過去に一度でも大きく落ちたかの記録 |
| しきい値 | メーカーが「これを下回ると危険」と定めた境界値 | 現在値がここを割ると異常側の判定に傾く |
| 生の値(RAW値) | 実際の回数や個数などの生データ | 不良セクタ数などはここの数字そのものを追う |
健康状態の色分けは、おおまかにいえば、これらの数値を総合して判定されます。特に不良セクタに関する項目は、「生の値」がゼロから1以上に変わっただけでも黄色の「注意」に切り替わる設定になっていることが多いとされています。逆にいえば、黄色になったということは、どこかの項目で「生の値」に望ましくない記録が付いた、というサインなのです。
ここで一つ知っておくと役立つのは、健康状態を判定するための基準(しきい値)を、利用者側である程度調整できる場合がある、という点です。たとえば、代替処理済みのセクタ数がいくつまでなら正常と見なすか、といったしきい値を変更できることがあります。ただし、基準をゆるめれば黄色の表示は消えても、ドライブの実際の状態が良くなるわけではありません。表示を無理に緑へ戻すための設定変更は、かえって危険なサインを見えなくしてしまいます。初期設定のまま、素直に警告を受け止めるほうが安全です。設定に関する項目の名称や位置はバージョンによって異なるため、変更する場合は表示をよく確認してください。
3. どの項目が黄色の原因かを特定する
黄色の「注意」が出たら、次の手順で「どの項目が原因なのか」を必ず確認しましょう。原因の項目によって、深刻度も対応も変わってきます。
- CrystalDiskInfoを起動し、対象のドライブを選びます(複数ドライブがある場合は上部のタブで切り替えます)。
- 項目の一覧を上から順に見て、行の先頭のアイコンが黄色(注意)になっている項目を探します。
- 黄色の項目名を控えます。よく原因になるのは「代替処理済みのセクタ数」「代替処理保留中のセクタ数」「回復不可能セクタ数」などです。
- その項目の「生の値」の数字を、日付とともにメモしておきます(この記録がのちの判断材料になります)。
なお、表示される項目名や並び順は、ドライブの種類(HDDかSSDか)やメーカーによって多少異なります。同じ番号でも意味づけが違う場合があるため、細かな判断に迷うときは、お使いのドライブメーカーの公式情報もあわせて確認すると安心です。

3. 重要項目「05・C5・C6」の意味と、なぜ数値が減らないのか
黄色の「注意」の原因として特に多いのが、不良セクタに関わる3つの項目です。ここでは「05 代替処理済みのセクタ数」「C5 代替処理保留中のセクタ数」「C6 回復不可能セクタ数」を取り上げ、それぞれの意味と、なぜエラーチェックやフォーマットで数値が減らないのかを丁寧に解説します。
1. 05 代替処理済みのセクタ数とは
ドライブの記録面は、「セクタ」という小さな区画に分かれています。使っているうちに、どうしても読み書きがうまくいかない不良セクタが発生することがあります。このとき、多くのドライブは、あらかじめ用意してある予備の領域から新しいセクタを割り当てて、不良になった区画の代わりに使うようにします。この処理を「代替処理」と呼び、代替処理が行われたセクタの数が「代替処理済みのセクタ数」です。
言い換えると、この数字は「すでに不良と判断され、予備セクタに置き換えられた区画の累計」です。少数であれば、ドライブが自分で問題を吸収してくれている、とも解釈できます。ただし、この数が増え続けるということは、記録面の劣化が進行し、予備セクタを消費し続けているということでもあります。増加が続く場合は、劣化が進行しているサインとして受け止める必要があります。
2. C5 代替処理保留中のセクタ数とは
「代替処理保留中のセクタ数」は、読み取りが不安定で、正常か不良かをまだドライブが判断しきれていない区画の数を示すとされています。いわば「グレーゾーン」にあるセクタです。その後の読み書きの結果しだいで、正常に戻ることもあれば、正式に不良と判断されて代替処理済み(05)へ移っていくこともあります。
C5は、状況が動きやすい項目です。そのため、C5がゼロではない状態は、これから05が増えていく前触れである可能性があります。C5の数字とあわせて、05や後述のC6がどう動くかを、時間をかけて観察することが大切です。
3. C6 回復不可能セクタ数とは
「回復不可能セクタ数」は、読み書きが最終的にできなかったセクタの数を示すとされる項目です。代替処理でも救えなかった、あるいは読み出しに失敗した区画が計上されるため、一般的には05やC5よりも深刻度が高いと受け止められます。C6が付いている、あるいは増えている場合は、実際のデータ読み出しに影響が出始めているおそれがあります。
これら3項目は、いずれも「不良セクタ」という同じ問題の、異なる段階を表していると考えると理解しやすいです。グレーゾーン(C5)→ 代替処理済み(05)→ 回復不可能(C6)という流れの中で、自分のドライブが今どのあたりにいるのかを把握するイメージです。
「では、いくつになったら危ないのか」という具体的な数字が気になるところですが、ここは一概にはいえません。同じ数個でも、そこで完全に止まっているのか、日ごとに増えているのかで意味が大きく変わるためです。数個で安定しているドライブを何年も使い続けられることもあれば、増え始めたら一気に進むこともあります。だからこそ、「今いくつか」という一点の数字より、「増えているか」という動きのほうを重視する、というのがこの記事を通しての一貫した考え方です。次の章で、その見方を具体的な運用に落とし込みます。
4. なぜchkdsk・デフラグ・フォーマットで数値は減らないのか
ここが多くの方が誤解しやすいポイントです。黄色の「注意」を消したい一心で、エラーチェック(chkdsk)やデフラグ、あるいは通常のフォーマットを試す方がいます。しかし、これらの操作では、05・C5・C6の「生の値」は基本的に減りません。その理由は、これらの数字が「ファイルの状態」ではなく「ドライブの物理的な履歴」を記録しているからです。
エラーチェックはファイルシステムの論理的な不整合を修復する機能、デフラグは断片化したファイルの配置を整理する機能、通常のフォーマットは管理領域を初期化してデータを消去する機能です。いずれも「どのセクタが物理的に不良と判断されたか」という累計の記録を書き換えるものではありません。代替処理済みのセクタ数は、ドライブが自分の内部台帳に刻んだ不可逆な記録であり、原則として増える方向にしか動かない、と考えておくのが安全です。
なお、一部では、ローレベルフォーマット(低レベルフォーマット)のような特殊な操作でC5やC6の表示が消えることがある、という情報も見られます。ただし、これは根本的な修復ではなく、弱ったドライブへ大きな負荷をかける操作でもあります。数字の見た目を消しても、記録面の劣化そのものが治るわけではないため、重要なデータを預ける用途で無理に延命することは、一般的にはおすすめしにくい方法です。数値を「消す」ことより、数値の「推移を見て判断する」ことのほうが、はるかに実用的です。
4. 1週間おきに生の値を記録して増加傾向を見る運用
ここからが、この記事で最もお伝えしたい実践的な部分です。黄色の「注意」に対して、あなた自身が落ち着いて交換タイミングを判断できるようにするための、「時系列で数値を追う」運用方法を紹介します。ポイントは、一度の数字に一喜一憂せず、増えているか・止まっているかという「傾向」で見ることです。
1. なぜ一回の数値より「推移」が大事なのか
黄色の「注意」が出たとき、その瞬間の数字だけを見ても、「これはすぐ交換すべきなのか、まだ様子見でよいのか」は判断しづらいものです。たとえば代替処理済みのセクタ数が数個あっても、そこからまったく増えずに何か月も安定しているドライブもあれば、数日で急激に増えていくドライブもあります。両者はまったく状況が違います。だからこそ、点ではなく線で、つまり時間の流れの中で数値を見ることが重要になります。
2. 記録のやり方(具体的な手順)
難しいことは必要ありません。次の手順で、シンプルな記録表を作るだけです。
- CrystalDiskInfoを起動し、黄色になっている項目(05・C5・C6など)の「生の値」を確認します。
- 「日付」「05の生の値」「C5の生の値」「C6の生の値」を、メモ帳や表計算ソフトに1行書き足します。
- これを1週間おきに繰り返します(曜日を決めておくと忘れにくくなります)。
- 数回ぶんたまったら、前回から数字が増えているかどうかを見比べます。
CrystalDiskInfoには、一定間隔で自動的に状態を記録する常駐機能や、状態が変化したら通知する機能が用意されている場合があります。手動の記録が面倒な方は、こうした機能を併用すると、変化を見逃しにくくなります。設定項目の名称や位置はバージョンによって異なることがあるため、詳細はお使いのバージョンの表示をご確認ください。
記録を続けるうえでのちょっとしたコツを挙げておきます。まず、記録する曜日を決めてしまうことです。「毎週日曜の夜に見る」のように習慣化すると、続けやすくなります。次に、数字だけでなく、その週に気づいたこと(動作が重かった、特定のファイルが開きにくかった、など)も一言メモしておくことです。数値の変化と体感の変化が重なると、状態を判断する手がかりが増えます。そして、記録表そのものは、警告の出ているドライブではなく、別の場所(クラウドのメモや別ドライブ)に保存しておくと、いざというときに記録ごと失う心配がありません。
3. 増加傾向で判断するための目安表
記録した数値の「増え方」から、次にどう動くかを判断するための目安を表にまとめました。これはあくまで一般的な考え方の目安であり、絶対的な基準ではありません。ドライブの用途(大切なデータを置いているか、消えても困らないか)によって、判断は前後してよいものと考えてください。
| 数値の推移パターン | 状態の見立て | おすすめの動き |
|---|---|---|
| 数週間、生の値がまったく増えない | 劣化が今のところ止まっている | バックアップ体制を保ったまま継続利用。記録は続ける |
| ときどき少しだけ増えるが、ゆっくり | ゆるやかに進行している可能性 | 記録間隔を短くし、交換用ドライブの準備を始める |
| 毎週のように着実に増えている | 進行が続いている段階 | 交換を前提に計画。大切なデータは先に移す |
| 数日で急に大きく増えた | 急速に悪化しているおそれ | すぐにバックアップを完了させ、早めの交換を検討 |
| C6(回復不可能)が現れた・増える | 読み出しへの影響が出始めた段階 | 使用を最小限にし、バックアップ後に交換を強く検討 |
4. 「様子見でよい」と「もう交換」の線引き
上の表を踏まえると、線引きの考え方はシンプルになります。「増えていない=バックアップを取りながら継続利用してよい段階」、「増え続けている=交換段階に入った」と受け止めるのが、分かりやすく安全な目安です。特に、急な増加やC6の出現は、より慎重に、より早く動くべきサインです。
注意したいのは、黄色の「注意」が出ている以上、たとえ数値が止まっていても「絶対に安全」とはいえない、という点です。あくまで「今のところ増えていない」だけであり、いつ動き出すかは分かりません。だからこそ、様子見の期間中も、バックアップだけは常に最新に保っておくことが欠かせません。
5. 交換前に必ずやること=今すぐ全データをバックアップ
数値の監視と並んで、いえ、それ以上に大切なのがバックアップです。黄色の「注意」が出た時点で、「いつ壊れてもおかしくない」という前提に立つのが安全です。ここでは、交換を検討するかどうかにかかわらず、まず取り組むべきバックアップの考え方を説明します。
1. バックアップを最優先にする理由
不良セクタが関わるトラブルの怖いところは、ある日突然、特定のファイルだけが読めなくなったり、動作が急に不安定になったりすることがある点です。「まだ読めているから大丈夫」と思っているうちに、必要なデータに手が届かなくなる、というのは避けたい事態です。数値がまだ落ち着いている今のうちに、読み出せるデータを安全な場所へ複製しておく。これが、後悔しないための最も確実な備えです。
2. どこにバックアップするか
バックアップ先は、必ず「今警告が出ているドライブとは別の場所」にします。同じドライブの中に複製を作っても、そのドライブが壊れれば一緒に失われるため意味がありません。一般的な選択肢を整理します。
| バックアップ先 | 向いている用途 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 外付けHDD/SSD | 写真・動画・書類などまとめて大容量を保存 | 接続しっぱなしにせず、普段は外しておくとより安全 |
| 別の内蔵ドライブ | デスクトップなどで容量に余裕がある場合 | 警告が出ているドライブとは物理的に別であること |
| クラウドストレージ | 特に大切な書類・写真の二重化 | 容量や料金は各サービスの公式情報で要確認 |
| USBメモリ | 少量の重要ファイルの持ち出し | 長期保存の主役にはしない(あくまで補助) |
より安心を求めるなら、「大切なデータは2か所以上に置く」という考え方が有効です。たとえば外付けドライブとクラウドの両方に置いておけば、どちらか一方が使えなくなっても、もう一方から取り戻せます。今回のように片方のドライブが弱っている状況では、この「二重化」の考え方がとくに効いてきます。
また、バックアップは「取ったら終わり」ではなく、取れたかどうかを確認することも大切です。コピーしたつもりでも、途中でエラーが起きてファイルが欠けていることもあります。作業のあとは、バックアップ先を開いて、写真が実際に表示されるか、書類が問題なく開けるかを、いくつか抜き取ってチェックしておくと安心です。弱ったドライブが相手のときほど、この最終確認がものをいいます。
3. 弱っているドライブに負荷をかけすぎない
バックアップは大切ですが、警告の出ているドライブに対して、何度も全体をまるごとコピーし直すような重い操作を繰り返すのは避けたいところです。弱ったドライブに長時間の連続読み出しをさせると、状態を悪化させてしまう可能性があります。まずは「なくなったら本当に困るもの(写真・仕事の書類・思い出の動画など)」から優先的に、落ち着いて一度で取り出すのがコツです。
4. 起動ドライブが「注意」になっている場合
Windowsが入っている起動ドライブそのものが黄色の「注意」になっている場合は、より慎重な対応が必要です。データのバックアップに加えて、環境全体を新しいドライブへ移す(クローンや新規セットアップ)ことも視野に入ります。作業中にドライブがさらに弱ることもあるため、まずは大切な個人データを別の場所へ確保してから、移行作業に取りかかる順番が安全です。移行の細かな手順はパソコンやドライブの構成によって異なるため、無理のない範囲で進め、不安な場合は専門のサポートに相談することも検討してください。
6. 交換用ドライブの選び方(HDD/SSD・容量・用途)
数値の増加傾向から「そろそろ交換」と判断したとき、あるいは念のため予備を用意しておきたいときのために、交換用ドライブの選び方の基本を整理します。ここは実際の買い替えに直結する部分なので、用途に合わせて考えていきましょう。
1. HDDとSSD、どちらを選ぶか
大きく分けて、記録方式の異なるHDDとSSDがあります。それぞれの一般的な特徴を表にまとめます。どちらが正解ということではなく、使い方に合うほうを選ぶのがポイントです。
| 種類 | 得意なこと | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| SSD | 読み書きが速く、動作が軽快。衝撃に比較的強い | Windowsを入れる起動用、日常的に使う作業用 |
| HDD | 同じ予算で大容量を確保しやすい傾向 | 写真・動画などをまとめて保存する保管用 |
最近は、パソコンの起動ドライブにはSSDを選び、大量のデータ保管には大容量HDDを組み合わせる、という使い分けが一般的になってきています。今回「注意」が出たのが起動ドライブなら、体感速度も上がるSSDへの交換を検討する価値があります。データ保管用の大容量ドライブなら、容量あたりの価格を重視してHDDを選ぶ、という考え方もあります。
なお、SSDにはSSDなりの寿命の考え方があります。SSDは書き込みできる総量におおよその限界があるとされ、S.M.A.R.T.情報にも総書き込み量や寿命の目安を示す項目が用意されていることがあります。HDDのように機械的に回転する部品がない一方で、長年の書き込みで少しずつ消耗していく性質があるため、「SSDだから絶対に壊れない」とは考えないほうが安全です。交換用にSSDを選んだ場合も、これまでと同じように、定期的なバックアップと状態の確認を続けていくのが安心につながります。
2. 容量の考え方
容量選びの基本は、「今使っている容量に、これから増える分の余裕を足す」ことです。目安として、現在の使用量に対して余裕を持たせておくと、すぐに満杯になって買い替える手間を避けられます。特に写真や動画はあとから増えやすいため、少し大きめを選んでおくと安心です。ただし、大きすぎても費用がかさむので、無理のない範囲で選びましょう。
3. 接続方式・規格を確認する
ドライブには、接続方式や形状の規格がいくつかあります。パソコンに内蔵するタイプでは、対応する接続端子や物理的なサイズ、SSDの場合は差し込む形状などが機種によって決まっています。手持ちのパソコンに取り付けられるかどうかは、事前の確認が欠かせません。自分で内蔵ドライブを交換するのが難しい場合は、まずは外付けドライブで運用する方法もあります。外付けなら差し込むだけで使えるものが多く、交換のハードルが下がります。対応規格の細かな条件は、パソコンやドライブの公式仕様で必ず確認してください。
4. バックアップ機器も一緒に考える
交換用ドライブを選ぶタイミングは、バックアップ体制を見直す好機でもあります。今回のように突然「注意」が出て慌てないためにも、日常的にデータを複製しておける外付けドライブを一台用意しておくと、次に何かあったときの安心感がまるで違います。交換用の内蔵ドライブと、普段づかいのバックアップ用外付けドライブ。この2つをセットで考えておくと、トラブルへの備えがぐっと堅くなります。用途に合った製品は、この下の商品ボックスもあわせて参考にしてみてください。

うまくいかないときのチェックポイント
ここまでの手順を試しても、思ったように進まないことがあります。よくあるつまずきと、その見直しポイントをまとめました。
1. 健康状態が「不明」と表示されて数値が見られない
健康状態が灰色の「不明」になっている場合、S.M.A.R.T.情報そのものがうまく取得できていない可能性があります。USB変換アダプタや一部の外付けケース経由では、S.M.A.R.T.情報が正しく渡らないことがあるとされています。可能であれば別の接続方法を試したり、CrystalDiskInfoの詳細設定で情報取得に関する項目を見直したりすると、表示が改善することがあります。設定名や位置はバージョンによって異なるため、表示をよく確認しながら進めてください。
2. いったん消えたはずの警告がまた出る
特殊な操作で数値の表示が一時的に消えても、しばらくすると再び黄色の「注意」に戻ることがあります。これは、記録面の劣化という根本原因が残っているためと考えられます。表示を消すこと自体を目的にせず、「劣化の傾向が続いているかどうか」を数値の推移で見る、という本来の目的に立ち返りましょう。
3. 数値は落ち着いているのに動作が不安定
S.M.A.R.T.の数値が大きく動いていなくても、パソコンの動作が重い・特定のファイルが開けない、といった症状が出ることがあります。この場合、ドライブ以外の原因(ケーブルの接触、電源、他の部品、ソフトの問題など)も考えられます。まずは基本的な対処として、ケーブルの挿し直し、再起動、別のポートやケーブルでの接続を試し、それでも改善しないときは、無理をせず全体のバックアップを優先してください。
4. 交換したいが自分で作業する自信がない
内蔵ドライブの交換や環境の移行は、機種によっては分解が必要で、難易度が高い場合があります。無理に作業してほかの部品を傷めてしまうと、かえって費用がかさむこともあります。自信がない場合は、外付けドライブでのバックアップまでを自分で行い、内蔵ドライブの交換や移行は購入店やメーカーのサポートに依頼する、という分担も現実的な選択です。
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よくある質問(FAQ)
1. 「注意」が出たらすぐ壊れるのですか?
いいえ、黄色の「注意」は「その瞬間に故障が確定した」という意味ではなく、劣化の兆候が出始めたことを知らせる早期警告です。実際、しばらく問題なく使えているように見えることもあります。ただし、良くなる可能性は低いサインでもあるため、無視は禁物です。すぐにバックアップを整え、数値の推移を見ながら交換時期を判断するのが安全です。
2. 代替処理済みのセクタ数は減らせますか?
基本的には減らせないと考えるのが安全です。この数字は、不良と判断されて予備セクタに置き換えられた区画の累計であり、ドライブ内部に刻まれた履歴のような記録です。原則として増える方向にしか動かず、通常の操作で元へ戻すことはできない、とされています。数字を消すことより、増えているかどうかの傾向を見ることのほうが実用的です。
3. エラーチェック(chkdsk)をすれば直りますか?
黄色の原因が不良セクタ関連の数値である場合、エラーチェックでその生の値が減ることは基本的にありません。エラーチェックはファイルシステムの論理的な不整合を整える機能であり、物理的な不良セクタの累計記録を書き換えるものではないためです。むしろ弱ったドライブに負荷をかけることもあるので、実行する場合はバックアップを取ってからにしてください。
4. このまま使い続けても大丈夫ですか?
数値が増えずに落ち着いているうちは、バックアップを最新に保ちながら継続利用する、という選択もあり得ます。ただし「注意」が出ている以上、絶対に安全とはいえません。数値が増え続けている、あるいはC6(回復不可能セクタ数)が現れた場合は、交換段階に入ったと考え、早めに動くことをおすすめします。
5. バックアップは何を使えばよいですか?
別の場所に複製できるものであれば、外付けHDD/SSD、別の内蔵ドライブ、クラウドストレージなどが選択肢になります。大切なのは、警告が出ているドライブとは別の場所に保存することです。特に重要なデータは、外付けとクラウドなど2か所以上に置いておくと、より安心です。容量や料金は各サービスの公式情報でご確認ください。
6. SSDでも「注意」は出ますか?
はい、SSDでもS.M.A.R.T.情報は記録されており、健康状態が黄色の「注意」になることがあります。ただしSSDはHDDと構造が異なるため、注目される項目(総書き込み量や代替関連の項目など)や表示のされ方が違う場合があります。基本的な向き合い方は同じで、バックアップを整えたうえで、該当項目の生の値の推移を見て判断していくのが安全です。
7. どの数値を見ればよいのですか?
不良セクタに関わる「05 代替処理済みのセクタ数」「C5 代替処理保留中のセクタ数」「C6 回復不可能セクタ数」の生の値が、まず注目したい項目です。これらが黄色になっている、あるいは時間とともに増えているかどうかを追うと、状態の変化がつかみやすくなります。項目名や番号はドライブによって異なることがあるため、迷うときはメーカーの公式情報も参考にしてください。
8. 交換の目安を教えてください。
ひとつの分かりやすい目安は、「生の値が増え続けているかどうか」です。数週間まったく増えないなら様子見(ただしバックアップは維持)、毎週のように着実に増える・急に大きく増える・C6が現れる、といった場合は交換段階に入ったサインと考えられます。大切なデータを預けているドライブほど、早めに動くほうが安心です。
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まとめ
CrystalDiskInfoで黄色の「注意」が出ても、それは「即故障」ではなく、劣化の兆候を知らせる早期警告です。まず慌てず、次の流れで落ち着いて対応しましょう。第一に、今あるデータのバックアップを別の場所に取ること。第二に、どの項目が黄色の原因かを確認し、その生の値を記録すること。第三に、1週間おきに数値をつけて、増えているか止まっているかの傾向を見ること。
05・C5・C6といった不良セクタ関連の生の値は、エラーチェックやデフラグ、通常のフォーマットでは基本的に減らない、不可逆な記録です。だからこそ、「数字を消す」ことにこだわるのではなく、「増えていないか」を見張ることが、いちばん実用的な向き合い方になります。数値が止まっているならバックアップを保ちつつ継続、増え続けているなら交換段階、という線引きを持っておけば、専門知識がなくても自分で冷静に判断できます。
そして、交換を考える段になったら、用途に合わせてHDD/SSD・容量・接続規格を選び、あわせて普段づかいのバックアップ機器も一台用意しておくと、次のトラブルにも強くなります。仕様や料金など流動的な部分は、お使いの機種やサービスの公式情報を最後に確認しながら進めてください。黄色の「注意」は、大切なデータを守るための準備を始める合図です。この記事が、その第一歩の助けになれば幸いです。
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