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Excelの「データの分析」(旧名「アイデア」)は、表を選んでボタンを押すだけで、合計・平均・傾向・外れ値・グラフ候補などをExcelが自動で提案してくれる機能です。さらに「製品ごとの売上合計は?」のように日本語で質問すると、答えやピボットテーブルを返してくれます。難しい関数を覚えなくても、データの全体像を一瞬でつかめるのが最大の魅力です。
この機能を使うにはMicrosoft 365(旧Office 365)が必須です。買い切り版のExcel 2021/2019や無料のExcel Onlineでは、ボタンが表示されない、または機能が制限されることがあります。本記事ではまずこの前提を押さえたうえで、「データの分析」の使い方・自然言語での質問のコツ・提案されたグラフやピボットの挿入方法、そして「ボタンが出ない・分析されない」ときの対処までを順番に解説します。
「エクセル データの分析」「excel アイデア 機能」「データの分析 出ない」といった疑問でたどり着いた方も、読み終える頃には、手元の売上表やアンケート結果から数クリックで意味のあるグラフと集計を引き出せるようになります。関数を覚える前のいちばん最初のステップとして、ぜひ覚えておきたい機能です。

この記事でわかること
- Excelの「データの分析」とは何か(旧称アイデアとの関係)
- 「データの分析」を呼び出す具体的な手順(ホームタブ右端)
- 自然言語で質問して答え・ピボットを得る方法と質問の書き方
- 提案されたグラフ・ピボットテーブルをシートに挿入する手順
- 「データの分析」ボタンが出ない・グレーアウトするときの対処
- うまく分析されないときに表を整えるコツ(見出し行・空白セル)
- 実際の業務での活用場面と注意点
Excelの「データの分析」とは
「データの分析」は、表のデータをExcel側のクラウドエンジンが解析し、人が手作業で集計・グラフ化していた作業を自動で提案してくれる機能です。具体的には、選択した表に対して次のようなものをまとめて提示します。
- ランク(順位)…「どの項目の数値が突出して大きいか/小さいか」
- 傾向(トレンド)…「時系列で増えているか・減っているか」
- 外れ値…「他と大きく外れた値があるか」
- 多数派・割合…「全体に占める各項目の比率」
- グラフ候補…棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフなどの提案
- ピボットテーブル候補…クロス集計の自動作成
提案はサイドの作業ウィンドウ(「データの分析」ウィンドウ)にカード形式で並び、気に入ったものをワンクリックで新しいシートに挿入できます。集計関数やピボットの操作を知らなくても、「とりあえずこの表で何が言えるのか」を素早く把握できるのが特徴です。
従来、こうした「気づき」を得るには、SUM関数やAVERAGE関数で集計し、自分でピボットテーブルを組み、グラフを作り、外れ値を目視で探す、という手作業の積み重ねが必要でした。「データの分析」はその一連の作業を、表を選ぶだけで肩代わりしてくれます。あくまで提案であり最終判断は人が行いますが、分析の「とっかかり」を一瞬で用意してくれる点で、特にExcelに不慣れな方や、急いで全体像を掴みたいビジネスパーソンにとって心強い味方になります。
なお、内部ではAI(機械学習)に近い仕組みでデータのパターンを推測しています。そのため、同じ表でも見出しの付け方やデータの整い方によって提案内容が変わります。後半で説明する「データの整え方」を意識すると、より的確な提案が得られるようになります。
「クイック分析」や「ピボットテーブル」との違い
Excelには似た名前の機能がいくつかあり、混同しがちなので整理しておきます。表を選択すると右下に出る「クイック分析」ボタンは、合計やグラフ、条件付き書式などをその場のプレビューで素早く適用するための機能で、傾向や外れ値の「気づき」までは提案しません。一方「ピボットテーブル」は、自分で行・列・値を指定してクロス集計を組む機能です。これらに対して「データの分析」は、こちらが指定しなくてもExcel側が切り口を考えて提案してくれる点が大きく異なります。「何を集計すべきかまだ決まっていない」段階で全体像を掴みたいときに最も役立ちます。
旧称「アイデア(Ideas)」との関係
この機能は登場当初「アイデア(英語名 Ideas)」という名前でした。その後Microsoftが名称を「データの分析(Analyze Data)」に統一しました。中身はほぼ同じ機能で、名前だけが変わったと考えて問題ありません。古い解説記事や書籍では「アイデア」と書かれていることがありますが、現在のExcelでは「データの分析」というボタンを探せば同じものが見つかります。電球マークのアイコンが目印です。
使うにはMicrosoft 365が必要
「データの分析」は常時更新されるサブスクリプション版(Microsoft 365)専用の機能です。表示の有無を環境ごとに整理すると次のようになります。
| エディション | 「データの分析」 | 補足 |
|---|---|---|
| Microsoft 365(個人・法人) | 使える | 本記事の前提。最新の機能が使える |
| Excel 2021/2019/2016(買い切り) | 原則使えない | ボタンが表示されないことが多い |
| Excel for the web(無料のオンライン版) | 一部使える | Microsoftアカウントでサインインが必要・機能は限定的 |
| Excel for Mac(Microsoft 365) | 使える | Windows版と同様にホームタブ右端から起動 |
つまり「ボタンが見当たらない」場合、最初に疑うべきは使っているExcelが買い切り版ではないかという点です。ライセンスの確認方法は後半で説明します。
「データの分析」の基本的な使い方
まずは難しいことを考えず、表を選んでボタンを押すだけの基本操作を覚えましょう。手順は次のとおりです。
- 分析したい表の中のいずれか1つのセルをクリックします(表全体を選択してもかまいません)。表に見出し行(列のタイトル)が付いていることが重要です。
- リボンの「ホーム」タブを開きます。
- ホームタブの右端にある「データの分析」ボタン(電球のアイコン)をクリックします。Mac版でも同じくホームタブの右端にあります。
- 画面の右側に「データの分析」作業ウィンドウが開き、しばらくするとExcelが自動で生成したグラフやピボットテーブルの候補が、カード形式で表示されます。
- 気に入ったカードの下にある「+挿入」(または「ピボットテーブルを挿入」など)をクリックすると、新しいシートにそのグラフや集計が作成されます。
初回起動時は解析に数秒~十数秒かかることがあります。提案を生成する間、ウィンドウに「分析しています」といった表示が出ますが、そのまま待てば結果が並びます。データ件数が多いほど時間がかかる傾向があるので、すぐに結果が出なくても慌てずに待ちましょう。
もし「ホーム」タブの右端を探してもボタンが見当たらない場合は、ウィンドウ幅が狭くてリボンが折りたたまれている可能性があります。Excelのウィンドウを最大化するか、リボン上の小さな展開ボタンを押して、隠れているコマンドを表示してみてください。それでも無い場合は、後半の「ボタンが出ない・使えないときの対処」で原因を切り分けます。

提案カードの見方
「データの分析」ウィンドウには、複数のカードがスクロールで並びます。それぞれが1つの「気づき(インサイト)」を表しています。たとえば次のような見出しが付きます。
- 「○○は△△が最も多い」…最大値・最頻値の指摘
- 「○○は時間とともに増加しています」…トレンドの指摘
- 「○○に外れ値があります」…他と大きく違う値の指摘
- 「○○の合計の内訳」…構成比を示す円グラフや積み上げグラフ
各カードにはグラフのプレビューが付いているので、内容をひと目で確認できます。下にスクロールすると、より多くの提案を見ることができます。提案の数や種類は、表のデータの中身によって変わります。数値の列が多い表ほど合計や平均、外れ値の提案が増え、分類項目(カテゴリや店舗名など)が複数ある表ほど、クロス集計のピボットテーブル候補が豊富になります。
提案カードは上に並ぶものほどExcelが「重要度が高い」と判断したものですが、必ずしも自分の知りたい順番とは限りません。最初の数枚だけを見て「思った提案が無い」と判断せず、最後まで一度スクロールして、どんな切り口が用意されているかをひととおり眺めるのがおすすめです。役立ちそうなカードが見つかったら、その場で挿入してもよいですし、いくつか挿入してから比較検討してもかまいません。
提案されたグラフ・ピボットを挿入する
気に入った提案をシートに反映する手順は簡単です。
- 挿入したいカードにマウスを合わせます。
- カード内に表示される「+挿入」ボタンをクリックします。グラフのカードなら新しいシートにグラフが、ピボットテーブルのカードなら新しいシートにクロス集計表が作成されます。
- 作成されたグラフやピボットは通常のExcelオブジェクトと同じなので、後から色・タイトル・項目を自由に編集できます。
- 不要になった場合は、挿入されたシートやグラフを削除すれば元の表には影響しません。
挿入されるのはあくまで「コピー」であり、元の表は書き換えられません。気軽に試して、合わなければ削除すればよいので安心です。
挿入されたピボットテーブルは、通常のピボットテーブルとまったく同じものです。右側に表示される「ピボットテーブルのフィールド」ウィンドウから、行・列・値に好きな項目をドラッグして、自分なりの切り口に作り替えることができます。「データの分析」が作ったたたき台をもとに、自分の見たい角度へ自由に調整できるわけです。同じくグラフも、グラフを選んだときに表示される「グラフのデザイン」「書式」タブから、色・タイトル・軸ラベルなどを整えられます。
提案カードに表示されているグラフが「もう少し違う種類で見たい」というときは、いったん挿入してから、グラフを右クリックして「グラフの種類の変更」を選べば、棒グラフから折れ線グラフへ、円グラフから横棒グラフへといった変更も自在です。「データの分析」はゴールではなく出発点だと考えると、活用の幅が広がります。
自然言語で質問して答えを得る
「データの分析」のもう1つの目玉が、日本語の質問で集計できる機能です。「データの分析」ウィンドウの上部には「データに関する質問」という入力欄があります。ここに知りたいことを文章で入力すると、Excelが答えとなる数値や、ピボットテーブル・グラフを返してくれます。
質問の入力手順
- 表の中のセルを選び、ホームタブ右端の「データの分析」をクリックして作業ウィンドウを開きます。
- ウィンドウ上部の質問入力欄をクリックします。欄の下に、列名を使った質問例が候補として表示されることがあります。
- 知りたいことを文章で入力します。たとえば「製品ごとの売上合計は」「月別の平均は」「最も売上が多い店舗は」など、表の列名に沿った聞き方が有効です。
- EnterキーまたはGoボタンで質問を送信します。少し待つと、答えがカードとして表示されます。
- 返ってきた集計表やグラフが役立つものであれば、これも「+挿入」でシートに追加できます。
うまく答えてもらえる質問の書き方
自然言語の質問は、表の列名(見出し)に沿った言葉を使うほど精度が上がります。質問が抽象的すぎると「分かりませんでした」と返ることがあります。次の表に、良い例と惜しい例を整理しました。
| 良い質問の例 | 惜しい質問の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 製品ごとの売上合計は | 儲かってる? | 列名(製品・売上)を含める |
| 月別の来店数の平均は | だいたいどれくらい? | 集計方法(合計・平均)を明示する |
| 最も売上が多い店舗はどこ | 一番すごいのは | 「最も多い」「上位」など順位を表す語を使う |
| 地域別の販売数を棒グラフで | グラフにして | 軸にしたい列と集計対象を指定する |
コツは「何を(どの列を)・どう集計するか(合計・平均・件数・順位)」を具体的に書くことです。話し言葉でも理解されますが、列名を入れるほど狙った結果になりやすくなります。日本語に対応していますが、列名が英語の表では英語で質問したほうが通りやすいこともあります。
質問入力欄をクリックすると、その表の列名を組み合わせた質問の候補が自動で表示されることがあります。何を聞けばよいか思いつかないときは、まずこの候補から選んでみると、どんな質問が通るのかの感覚をつかめます。候補をそのまま使うだけでも、店舗別・月別・カテゴリ別といった基本的な集計はひととおり試せます。
うまく答えが返らないときは、質問を短く・単純にしてみるのも有効です。「先月と今月で売上が最も伸びた製品はどれで、その理由は」のように複数のことを一度に尋ねると答えにくくなります。「製品ごとの売上合計は」と「月ごとの売上合計は」のように、1つの質問につき1つの集計に分けると、それぞれきれいな結果が返ってきます。返ってきた集計をいくつか組み合わせて、最終的な気づきへつなげていきましょう。

分析がうまくいくデータの整え方
「データの分析」は万能ではなく、表の形が整っているほど良い提案を返します。逆に、見出しが無い・空白セルが多い・1セルに複数の情報が詰まっているといった表では、提案が少なくなったり的外れになったりします。良い結果を得るための準備を押さえましょう。
見出し行を1行だけ用意する
表の一番上に、各列が何を表すかを示す見出し行(列タイトル)を必ず1行入れます。「日付」「製品名」「店舗」「売上」のように、列の内容が分かる名前を付けてください。見出しが無いと、Excelがどの列が数値でどの列が分類項目かを判断できず、分析の質が落ちます。見出しは1行だけにし、2段組みの見出しや結合セルは避けます。
空白セル・結合セルを減らす
表の途中に空白行・空白列・結合セルがあると、Excelがそこで表が途切れたと判断したり、集計が正しく行われなかったりします。次の点に気を付けてください。
- 表の途中にまったくの空白行・空白列を作らない。区切りたいときは色や罫線で見分ける。
- セルの結合は使わない(特に見出し行の結合は分析を妨げます)。
- 数値の列に「-」や「未定」などの文字を混ぜない。空欄にするか0を入れる。
- 金額に「円」「¥」などの単位文字を直接書かず、数値は数値として入力し、見せ方は表示形式(書式)で整える。
表を「テーブル」に変換しておく
データ範囲を正式な「テーブル」に変換しておくと、Excelが表の範囲を正確に認識し、分析や質問の精度が上がります。手順は次のとおりです。
- 表の中のセルを1つクリックします。
- 「挿入」タブ>「テーブル」をクリックします(ショートカットは Ctrl と T)。
- 「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックが入っていることを確認してOKを押します。
- 表に縞模様が付き、見出しにフィルターボタンが表示されればテーブル化は完了です。
テーブル化しておくと、行を追加したときも範囲が自動で広がるため、繰り返し分析する表ではおすすめです。後述する「分析されない」トラブルの多くも、見出し整備とテーブル化で解消します。
日付・数値の形式をそろえる
「データの分析」は、日付の列を見つけると自動で時系列の傾向を分析しようとします。このとき、日付が文字列として入力されていると正しく認識されません。「2026年1月」のように文字で書くのではなく、Excelが日付として扱える形(セルの表示形式が「日付」になっている状態)で入力しておくと、月別・年別のトレンド分析が正確になります。セルを選んで右下に合計や平均が表示されれば数値として認識されています。表示されない場合は文字列のおそれがあります。
数値も同様で、全角で入力された数字や、前後に空白が混じった数字は文字列扱いになり、集計から漏れることがあります。心当たりがある場合は、対象の列を選んで「データ」タブの「区切り位置」を最後まで進める、あるいは「ホーム」タブで表示形式を「数値」に設定し直すと、文字列が数値に変換されて分析対象に含まれるようになります。
「データの分析」ボタンが出ない・使えないときの対処
「ホームタブの右端を探してもボタンが無い」「ボタンがグレーで押せない」という相談は非常に多いです。原因はおおむね次のいずれかです。上から順に確認してください。
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| そもそもボタンが見当たらない | 買い切り版Excel(2021等)を使っている | Microsoft 365に切り替える |
| ボタンがグレーで押せない | 表を選んでいない・表の形が不適切 | 見出し付きの表内のセルを選ぶ |
| 押すとエラー・空のまま | ネット未接続・サインインしていない | オンラインにしMicrosoftアカウントでサインイン |
| 提案がまったく出ない | データ量が極端に少ない・大きすぎる | 適切な件数の表で試す |
1. 買い切り版を使っていないか確認する
前述のとおり、この機能はMicrosoft 365専用です。自分のExcelがどのエディションか分からない場合は、次の手順で確認できます。
- Excelで「ファイル」タブ>「アカウント」を開きます。
- 右側の「製品情報」に表示される名称を見ます。「Microsoft 365」と書かれていれば対象です。「Excel 2021」「Office Home & Business 2019」などと書かれていれば買い切り版で、原則この機能は使えません。
買い切り版の場合は、Microsoft 365へ切り替えるか、無料のExcel for the web(一部機能あり)で試す方法があります。
2. 表を正しく選択しているか確認する
ボタンがあるのにグレーで押せないときは、分析対象の表が選べていない可能性が高いです。表の中のいずれかのセルをクリックしてから、改めて「データの分析」を押してください。空白のセルや、表から離れたセルを選んでいると押せないことがあります。見出し行が無い表でも反応しないことがあるため、列タイトルを付けましょう。
3. オンライン状態とサインインを確認する
「データの分析」は解析をクラウドで行うため、インターネット接続とMicrosoftアカウントへのサインインが必要です。オフラインだったり、サインアウトしていたりすると、押してもエラーになったり空のまま止まったりします。画面右上にアカウント名が表示されているか確認し、サインインしていなければ「ファイル」>「アカウント」からサインインしてください。社内ネットワークでは、管理者の設定でクラウド機能が無効化されている場合もあります。
4. プライバシー設定(接続エクスペリエンス)を確認する
会社のExcelなどで「分析機能が灰色のまま」という場合、プライバシー設定でオンライン機能がオフになっていることがあります。「ファイル」>「オプション」>「トラストセンター」>「トラストセンターの設定」>「プライバシーオプション」から、オンラインの接続エクスペリエンスを有効にすると改善することがあります。設定変更後はExcelの再起動が必要です。なお企業ポリシーで固定されている場合は、情報システム部門に相談してください。
5. Excelを最新の状態に更新する
Microsoft 365を使っていても、長期間アップデートしていないと一部の新機能が表示されないことがあります。「ファイル」>「アカウント」>「更新オプション」>「今すぐ更新」を実行して、Excelを最新の状態にしてください。更新後はExcelを再起動します。アップデートにより「データの分析」ボタンが追加・改善されることもあるため、機能が見当たらない、または動作がおかしいときは、まず更新を試す価値があります。
6. アドインの不調を切り分ける
ほかのアドインと干渉して機能が動かなくなることもまれにあります。Excelをいったん「セーフモード」(Ctrlキーを押しながらExcelを起動)で立ち上げ、「データの分析」が使えるかを確認すると、アドインが原因かどうかを切り分けられます。セーフモードで使えるなら、「ファイル」>「オプション」>「アドイン」から、不要なアドインを一時的に無効化して原因を特定します。
分析結果がしっくりこないときのコツ
ボタンは押せて提案も出るものの、「欲しい切り口の集計が出てこない」「的外れな提案ばかり」というケースもあります。そのときは次の点を見直すと改善します。
分析する列を絞る
列が多すぎると、Excelがどの列を重視すべきか判断しにくくなります。「データの分析」ウィンドウの下部や、表示される設定リンクから「分析する対象フィールド(列)を選ぶ」設定があります。注目したい列だけにチェックを入れると、狙った切り口の提案が出やすくなります。たとえば「店舗」と「売上」だけに絞れば、店舗別の集計が前面に出てきます。
1セルに1情報の原則を守る
「東京/新宿店」のように1つのセルに複数の情報を詰め込むと、分析が混乱します。地域と店舗を別の列に分けるなど、1セルには1つの情報を入れる形に整えると、クロス集計(地域×売上、店舗×売上など)がきれいに出ます。データの分割には「データ」タブの「区切り位置」やフラッシュフィル(Ctrl と E)が便利です。
件数が極端な表は避ける
数行しかない表では分析の余地が少なく、逆に数十万行の巨大な表では処理が重くなったり対象外になったりします。まずは数十行~数千行程度の、傾向が読み取れる規模の表で試すのがおすすめです。大きな表は、必要な期間や部門に絞ってから分析するとよい結果になります。
「データの分析」が役立つ業務シーン
この機能は、次のような「まず全体像を把握したい」場面で特に力を発揮します。
| シーン | 使い方の例 | 得られるもの |
|---|---|---|
| 売上データの月次確認 | 売上表を選んで分析、または「月別の売上合計は」と質問 | 増減トレンド・好調/不調の月 |
| アンケート集計 | 回答一覧を選んで構成比の提案を挿入 | 回答割合の円グラフ |
| 在庫・発注管理 | 「在庫が少ない商品は」と質問 | 下位ランキング・補充候補 |
| 店舗・担当者比較 | 「店舗ごとの売上合計を棒グラフで」と質問 | 比較しやすい棒グラフ |
| 外れ値チェック | 数値表を分析して外れ値カードを確認 | 入力ミス・異常値の早期発見 |
いずれの場面でも、まず「データの分析」でざっくり全体を眺めてから、必要に応じてピボットテーブルや関数で深掘りする、という流れが効率的です。資料の下書きとして提案グラフを挿入し、そこから整える使い方もおすすめです。
結果を鵜呑みにしないことも大切
「データの分析」はあくまで自動提案であり、ビジネス上の正しい結論まで保証してくれるわけではありません。たとえば「売上が増加しています」という提案が出ても、それがキャンペーンの効果なのか季節要因なのかまでは判断できません。外れ値として指摘された値が、実は入力ミスではなく本当に起きた特別な数字、ということもあります。提案は「ここに注目すると良いですよ」というヒントとして受け取り、最終的な解釈や意思決定は必ず人が行うようにしましょう。
とはいえ、見落としていた傾向や、思いがけない外れ値に気づかせてくれる価値は大きいものです。毎月の定例レポートづくりでは、まず「データの分析」を一度かけてから資料を組み立てると、「言われてみればこの店舗だけ落ち込んでいる」といった発見を、漏れなく拾えるようになります。手作業の集計と組み合わせて、効率と精度の両方を高めていくのが理想的な使い方です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 「データの分析」と「アイデア」は違う機能ですか?
同じ機能です。以前は「アイデア(Ideas)」という名前でしたが、現在は「データの分析(Analyze Data)」に名称が変更されました。古い解説で「アイデア」と書かれていても、現在のExcelでは「データの分析」ボタンを探せば同じものが使えます。アイコンは電球マークです。
Q2. 買い切り版のExcel 2021でも使えますか?
原則使えません。「データの分析」はMicrosoft 365(サブスクリプション版)専用の機能で、買い切り版ではボタンが表示されないことがほとんどです。エディションは「ファイル」>「アカウント」の製品情報で確認できます。Microsoft 365へ切り替えるか、無料のExcel for the web(機能は限定的)で試してください。
Q3. 日本語で質問しても答えてくれますか?
はい、日本語に対応しています。「製品ごとの売上合計は」のように、表の列名を含めて具体的に書くと精度が上がります。ただし列名が英語の表では、英語で質問したほうが通りやすいことがあります。質問が抽象的すぎると答えられないことがあるため、集計方法(合計・平均・順位など)を明示するのがコツです。
Q4. ボタンを押しても何も表示されません。
インターネットに接続していない、Microsoftアカウントにサインインしていない、表を選んでいない、のいずれかが原因のことが多いです。オンライン状態とサインインを確認し、見出しの付いた表の中のセルを選んでから再度押してください。会社のPCではプライバシー設定でオンライン機能が無効化されている場合もあります。
Q5. 提案されたグラフを挿入すると元の表は変わりますか?
変わりません。「+挿入」で追加されるグラフやピボットテーブルは新しいシートに作られ、元のデータはそのまま残ります。挿入後は通常のグラフ・ピボットと同じように色やタイトルを編集できますし、不要なら削除しても元の表には影響しません。安心して試せます。
Q6. 提案がほとんど出ないのはなぜですか?
表の見出しが無い、空白セルや結合セルが多い、データ件数が極端に少ない(または多すぎる)といった原因が考えられます。1行の見出しを付け、空白や結合を解消し、数値は数値として入力したうえで、数十行~数千行程度の表で試すと提案が増えます。表を「テーブル」に変換しておくのも効果的です。
Q7. 大きなデータでも分析できますか?
非常に大きな表では処理が重くなったり、分析対象外になったりすることがあります。まずは期間や部門で絞り込み、傾向が読み取れる規模に減らしてから分析するのがおすすめです。全データの傾向を見たいときは、いったん集計済みの表を作ってから「データの分析」にかけると安定します。
Q8. Mac版のExcelでも使えますか?
使えます。Microsoft 365のExcel for Macでも、Windows版と同じく「ホーム」タブの右端に「データの分析」ボタンがあります。操作の流れもほぼ同じで、表内のセルを選んでボタンを押すと作業ウィンドウが開きます。やはりMicrosoft 365が前提で、オンライン接続とサインインが必要です。
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まとめ
Excelの「データの分析」(旧称アイデア)は、表を選んでホームタブ右端のボタンを押すだけで、合計・傾向・外れ値・グラフ候補・ピボットを自動で提案してくれる便利な機能です。さらに「製品ごとの売上合計は」のように日本語で質問すれば、答えや集計表をそのまま挿入できます。関数やピボット操作を覚える前の「最初のひと押し」として最適です。
使ううえでの最重要ポイントは、Microsoft 365が必須であること、そして見出し付き・空白や結合の少ない整った表を用意することです。ボタンが出ないときは買い切り版でないか、押せないときは表を選べているか、結果が出ないときはオンライン・サインイン状態を確認しましょう。表を「テーブル」に変換し、列名に沿った具体的な質問を投げれば、Excelはあなたの代わりにデータの中から意味のある気づきを見つけ出してくれます。まずは手元の売上表やアンケート集計で、気軽に「データの分析」ボタンを押してみてください。
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