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視覚障がい者向け選挙サイト「聞こえる選挙」が素敵

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「聞こえる選挙」という視覚障がい者向けに選挙公報がまとめられたサイトが2019年7月12日に公開されました。「聞こえる選挙」は実施される度にソーシャルメディア上で大きく話題になっていますので、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

本来全ての人に対して平等に届けられるべきである選挙公報が視覚障がい者には満足に行き届いていないという現状を打破するべく制作されたサイトとなります。

本記事では 視覚障がい者向け選挙サイト「聞こえる選挙」 について詳しく見ていきたいと思います。どのような試みがされているのか、また視覚障がいに対して認識を深めるきっかけにもなります。「聞こえる選挙」サイトと合わせてぜひご覧ください。

「聞こえる選挙」とは

視覚障がい者に向けた選挙情報を掲載したサイト、またその取り組みを指します。

https://kikoeru.yahoo.co.jp/sangiin

サイトの運営をするのはYahoo!JAPANです。「選挙をみんなに平等に」 という目標を掲げ、全ての人が平等に選挙情報を取得できるような取り組みを見せています。

スクリーンリーダーで情報を取得する

視覚障がい者は視覚的に情報を取得することができません。パソコンやスマートフォンなどの画面に表示された情報を取得するためには スクリーンリーダー と呼ばれる補助機能を使う必要があります。

総務省の調査で視覚障がいのある人のうち 91.7% がインターネット上の情報を読み上げソフトを利用し、情報を得ていることが判明しています。

またスクリーンリーダーは単純にテキストを読み上げるだけではなく、操作を読み上げることで端末の操作をサポートしてくれる役目も果たします。パソコンや携帯端末にも標準搭載されているものが多くなってきており、MicrosoftのExcelやWordも使いこなすことができます。

選挙公報はPDFファイルで掲載される

前述したように視覚障がいのある方はスクリーンリーダーを使うことで情報を聞いて入手しています。しかし選挙公報は「紙の選挙公報をそのまま画像化したPDFファイル」で掲載することが求められています。

通常であれば問題はないのですが、視覚障がいのある人にとっては 「画像化されたPDFファイル」 というのが問題点となります。画像化されたPDFファイルはスクリーンリーダーでは読み取ることができない… つまりはネット上で選挙公報を収集しにくいという現実がありました。

全ての国民に対して平等に配布されるべき情報である選挙公報なのに健常者と視覚障がいのある人の間で格差が生まれてしまっているわけですね。

現に「立候補者や投票会場の情報がわからない」といった理由から投票意欲が湧かないという意見が出ていることも「聞こえる選挙」に取り組んでいるYahoo!JAPANの調べから明らかになっています。

選挙をみんなに平等に

この社会的な課題とも言える選挙情報の格差に取り組みを見せるのはYahoo!JAPANです。

立候補者など選挙に関わる情報をスクリーンリーダーで読み上げることができる形式で制作。一つのサイトに全ての情報を集約し、視覚障がい者にも公平に情報が行き届く 「Yahoo! JAPAN聞こえる選挙」 を公開しました。

これまではインターネットを介して選挙情報を入手しづらい傾向にありましたが、「聞こえる選挙」によって大幅に解消したと感じられます。実施もまばらであり、まだまだ平等とは言えませんが「選挙をみんなに平等に」の実現に大きく近づいた印象を受けます。

「聞こえる選挙」のサイトでは音声例を聞くことができる

「聞こえる選挙」のサイトでは、スクリーンリーダーを入れていなくても視覚障がいのある方が聞いている音声例を聞くことができます。下記ページを開いて画面下部へスクロールしてみると音声を再生するボタンが目に入ると思います。

https://kikoeru.yahoo.co.jp/about/3

音声例を聞いてみると、読み上げ速度がかなり早いように感じます。視覚的に情報を入手することができない視覚障がいのある方の多くはこのように音声から情報を入手してわけなんですね。

健常者に視覚障がいに対して認識を深めてもらうことを意識したサイト作りであることも感じ取れます。

2019年7月参議院議員通常選挙

掲載期間 7月12日(金)~ 終了時期未定
掲載内容 全国の参院選立候補者のプロフィール、政策、各政党の公報と開票結果
運営協力 選挙ドットコム
サイトURL https://kikoeru.yahoo.co.jp/sangiin

今回、聞こえる選挙に掲載される参議院議員通常選挙は、2017年7月の東京都議会議員選挙、2017年10月の衆議院議員総選挙に引き続き3回目の実施となります。

2017年10月12日に「聞こえる選挙」サイトが公開され、21日以降に開票結果が公開されるというものでした。現在アクセスしてみると当選結果などが確認できることが分かります。

「聞こえる選挙」がもたらす影響とは


今回Yahoo!JAPANが公開した「聞こえる選挙」サイトは、大きな話題にもなりましたし、今後社会に与える影響も大きくなることが考えられます。

ここではどのような影響を及ぼすことが考えられるのか、見ていきたいと思います。

「選挙をみんなに平等に」の実現

一つ目は「選挙をみんなに平等に」という、視覚障がい者の方々に対しても 公平に選挙情報を届ける という目的の達成ですね。まだまだ知名度も低く、行き渡っているとは言い切れませんが、継続的な実施が叶えば「選挙をみんなに平等に」の実現も可能であると考えられます。

視覚障がい者が抱えている課題を健常者に認識させる

そして二つ目は彼らが直面している問題を健常者に認識してもらうという目的です。選挙公報が掲載されている「聞こえる選挙」サイトは「テキスト、HTML、CSS」のみを使って制作されたものです。

通常のウェブサイトであれば視覚的に情報が入手できるよう様々な装飾を施しています。サイト訪問者も必要最小限の機能だけではなく+αを求めるため当然の処置ですよね。

一方「聞こえる選挙」サイトは黒い背景に白いテキストのみで制作されています。必要最小限の情報だけで構成されているため、視覚障がい者が普段受けている印象を健常者も少しだけ感じ取ることができるようになっているんですね。

今回で3回目の実施となる「聞こえる選挙」は平等に選挙公報を届けるという目的と共に 健常者に社会的課題を認識してもらう取り組み でもあるということが感じ取れます。

まとめ

テレビなどでは全ての立候補者の情報を入手することは難しい状況にあります。となると頼りになるのはインターネットですよね。選挙公報を入手するためにインターネットを駆使するのが自然な流れかと思います。

「聞こえる選挙」サイトの試みは大きな影響を及ぼすことが考えられます。今回は選挙公報という形でしたが、他にも様々な問題に直面していることは事実です。こういった取り組みを継続的な実施を行い、社会的な課題を大きく取り上げることにより、社会全体の意識を改革することにも繋がるのではないでしょうか。

本記事が選挙公報の在り方や、視覚障がいに対する認識を深めるきっかけとなれば幸いです。ありがとうございました。

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