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イーロンマスクが発表した「脳マシンインターフェイス」って何?基本と応用

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ニューラリンク社は7月16日に、脳と機械を繋ぐ技術の構想の発表が行われました。プレゼンは同社の代表を務めるイーロン・マスク氏によって進められ、技術の構想と2020年に臨床試験を開始する旨を伝えました。

イーロン・マスク氏はアメリカの実業家として知られています。「脳マシンインターフェイス」は長年研究が進められてきた技術ですが、同氏が牽引役となることで関連する技術開発がさらに進むことが期待されています。

本記事では 脳マシンインターフェイスの基本と応用 について解説したいと思います。脳から機械に指示を出すという革新的な技術。まだまだ遠い未来だと思っていた事が実現する時代が意外と早くやってくるのかもしれません。

脳マシンインターフェイスとは

脳と機械を接続する技術「脳マシンインターフェイス」

イーロン・マスク氏は、「Neural Lace(ニューラル・レース)」という、人間の脳と機械を接続させる技術について2015年より語っていました。

脳マシンインターフェイス(BMI)は、脳に微細なチップを埋め込み、脳波を情報へと変換して外部へ伝えるという技術です。イーロン・マスク氏は、このBMI技術を実用化を目指して「Neural Lace」の開発と研究を進めてきました。

脳波をコントロールするという、SF映画やアニメなどで良く見聞きする技術ですが、実現させようと古くから研究が進められてきた技術なんです。

BMIの実験は90年代に始まっている

脳と機械を融合させる技術の構想自体は、つい最近のものというわけはありません。

脳マシンインターフェイス(BMI)は 脳内に直接チップを埋め込む侵襲型脳外に装着する非侵襲型 に分けられます。侵襲型は精度が高い反面、感染症や脳の損傷のリスク。非侵襲型は、脳などへのリスクは低い反面、精度が低くなってしまうという特徴を持ちます。

非侵襲型はリスクが低いことから実験や研究が比較的容易とされており、古くから研究が進められてきました。

90年代には侵襲型によるサルのロボットアームの制御実験に成功。さらに2000年代には四肢に麻痺障害をもった人間に侵襲型の臨床応用が開始。脳活動記録によるコンピュータカーソルの制御に成功しました。

以降も様々な実験が続けられ、BMIは古くから実験と研究が繰り返されてきた技術なのです。

脳で意識した情報を機械に伝達する

通常、人が行動を起こすには、脳で考えてから手足を動かして実行する流れとなります。この流れの中で手足を動かす必要がなくなるのが「脳マシンインターフェイス(BMI)」という技術になります。

脳で考えたことを直接機械へ伝達させることで人々の生活の利便性の向上や様々な分野への活用が期待されています。

意思伝達に難がある人に向けて

今回のプレゼンでは、まずBMIが目指す所は脳の障害など先天的な障害から体を自由に動かすことが出来ない人達への支援ということが語られました。

脳で意識するだけで何かしらの行動が動かすことが出来るのであれば、体が麻痺して動かせない人でも一般的な生活を送ることができるのではという考えです。

確かにBMI技術が一般化されたら体に障害を持つ人々の生活は激変することは間違いないでしょう。仕事に就くことも現実的になるかもしれません。イーロン・マスク氏率いるニューラリンク社が最初に掲げる目標は 「障害を持つ人々への支援」 ということでした。

脳と機械を繋ぐ役目を果たすのはスレッド

脳から機械へと指示を出す仕組みを実現しているのは、糸のような繊細で細い 「スレッド」 です。

スレッド一本の幅は4~6マイクロメートルとされており、人間の髪の毛の遥かに細いと言われています。このスレッドを複数利用して脳と機械を繋いでいるのです。

これまでは硬い針のような固形物を使っていたことから脳へのダメージが懸念されてきましたが、今回発表された細く柔らかいスレッドを使うのであればその心配はないということでした。

脳マシンインターフェイスの期待される活用分野


脳マシンインターフェイスの研究開発が進み、一般化されたらどのような分野に活用することができるのでしょうか。

本項目では 脳マシンインターフェイスの期待される活用分野 について考えていきたいと思います。

①脳など体に障害を持つ人々を支援

一つは、プレゼンテーションでも発表された通り、障害を持った人々の支援であることが考えられます。

先天的な障害、または事故が原因で体の一部分が麻痺して動かせない人達は満足に行動を起こすことができませんでしたが、脳から機械へと指示を出すことで義手、義足などを動かすことも可能となるでしょう。

②医療分野への活用

二つ目は、医療分野での活用です。病院で患者の治療に活用する「BMI医療」が広がっています。

脳卒中などの後遺症で体を満足に動かせない患者のリハビリに、BMI技術を活用することで難病であるALS治療に役立つことが期待されています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症) は、運動神経系が少しずつ老化していくことで使いにくくなっていく難病と言われています。ALS患者の多くは、言葉を発することや四肢を満足に動かすことができないため、唇の動きなどで意思を伝えているのが現状です。

BMI技術は、患者自身のリハビリや介護者の負担の軽減に大きく活用されると考えられており、研究が進められています。

③広告ビジネスへの応用

三つ目は、広告ビジネスへの応用です。

現在のインターネット上で目にする多くの広告は、過去の閲覧履歴や購買情報を参考にして関連の深い広告を表示する仕組みとなっています。何かしらの情報を基にして表示する広告を決定していますよね。

これらのインターネット広告にBMI技術を応用すると コンテンツに対する反応を直接解読する ことでより関心の深い商品を提示することができるのではという考えです。

商品との接触から実際に購買行動に移るまでのプロセスは全て脳内で行われています。これらの動きを情報として解読することができれば、インターネット広告の効果をさらに拡大させることができると期待されています。

最終的には全ての人間が電脳化する時代がくる?

脳に埋め込むというと大掛かりな手術をイメージしてしまいますが、今回行われたプレゼンによるとスレッドを埋め込む作業は非常に簡単とされています。頭蓋骨にドリルで穴を開けるようなものではなく、ミシンでスレッドを埋め込んでいくというもの。

これまでのBMI技術と比較すると 脳への負担は劇的に軽減 されており、脳組織への影響は大幅の抑えられています。いずれは全身麻痺すら不要でレーシック手術の感覚で手術を受けられるようにしたいと考えを述べていました。

さらに開発と研究が進んで誰もが気軽に手術を受けられる時代がきたら、ほとんどの人間が脳にチップを埋め込み電脳化するかもしれません。

まとめ

「脳マシンインターフェイス」は、脳でイメージするだけで指示を出せる夢のような技術でした。

今回のプレゼンには人材を募る目的も含まれていることを語っています。現段階よりさらに先に進むためには深い関心を持つ人や電脳化技術に精通する人の協力が必要不可欠と考えているようです。

今後の研究開発や2020年の臨床試験に向けてその力の入れようを実感することができますね。遠くない未来に訪れるであろう新時代に、期待と不安が入り混じりながらも楽しみに続報を待ちたいと思います。

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